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飛行場実況気象通報式(METAR、SPECI)の解説

電文例の内容と形式について項目毎に解説します。 

○電文例(電文中の下線をクリックして下さい。その項目の形式について解説をしています。)
METAR RJGG 150230Z 34007KT 300V010 2300 SHRA BR FEW005 SCT020 BKN030 FEW030CB 13/12 Q1009 RMK 1ST005 3CU020 7CU030 1CB030 A2982 CB 10KM E MOV N=
なお、上記電文には解説のためにア~ケのカナ文字及び下線を施しましたが、正式な電文にはありませんのでご承知願います。

ア:地点略号

観測の対象となっている飛行場をICAO*1の国際4文字地点略号で表します。
当飛行場は「RJGG」です。

 *1:ICAOは「国際民間航空機関」の略語です。

イ:観測日付時分

観測した日付及び時刻を協定世界時(UTC)で表します。

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ウ:風向風速・最大瞬間風速

(1)風向は真方位により10度刻みの3数字で表します。
(2)風速は2桁で表し、数値に続けて風速の単位を付します。わが国ではkt(ノット、1kt=1,852m/h=約0.5144m/s)単位で表します。
(3)平均風速を10kt以上上回る最大瞬間風速(「ガスト」といいます。)が観測された場合は、平均風速の後にGを付して、続けて観測されたガストの値を記述します。
  (例)05030G40KT
(4)風速が100kt以上(50m/s以上)の場合は、P99で表します。
  (例)28080GP99KT
(5)静穏(0.4kt以下【0.2m/s以下】)は00000KTで表します。風速が3kt未満(1.5m/s未満)で風向が定まらないとき(60度以上変動するとき)には、風向はVRBを使い、それに続けて風速を記述します。
  (例)VRB03KT  なお、VRBはVariableの略語です。

エ:視程又はCAVOK

(1)わが国では卓越視程を4桁の数字で表します。5,000m未満は100m単位、5Km以上10km未満は1km単位、10km以上のときは9999としています。
(2)CAVOK*2
CAVOKとは次の条件が満たされた場合に使用します。
ア)卓越視程は10km以上。
イ)5,000ftまたは最低扇形別高度*3の最大値のいずれか高い値未満に雲がなく、かつ重要な対流雲がない。
ウ)天気略語表に該当する天気がない。
  (例)METAR RJGG 010300Z 32008KT CAVOK 14/05 Q1025=
    1日03UTCの実況。
    風向320度・風速8ktでCAVOKの条件に該当し、気温14℃、露点温度5℃、
    気圧1,025hPa。

*2:CAVOKはVisibility,cloud and present weather better than prescribedvalues or conditionsの略語です。
*3:最低扇形別高度とは、航行用無線施設を中心とした半径25NM(ノーティカルマイル、1NM=1,852m)の円内の部分に含まれる区域に所在する全ての障害物件から、平野部では300m(1,000ft)、山岳部については600m(2,000ft)の垂直間隔をもって設定した緊急時用の最低高度です。各空港でこの値は異なり、当飛行場では5,200ftとなっています。

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オ:現在天気

天気現象は天気略語の組み合わせで、降水現象・視程障害現象・そのほかの現象ごとに必要に応じて強度・特性を付加して、最大3群まで、1つの群につき最大9文字で表します。天気現象の組み合わせの表し方は卓越順としています。

よく使われる天気現象は次のとおりです。

天気略語表
付帯条件 天気現象
強度 特性 降水現象 視程障害現象

(弱)
SH
(しゅう雨性)
RA
(雨)
  BR
  (もや)
(表示なし)
(並)
TS
(雷電)
SN
(雪)
  FG***
  (霧)

(強)
  GR
(ひょう)
  VA
  (火山灰)
        HZ**
  (煙霧)

*   :視程1km以上5km以下
**  :視程5km以下
***:視程1km未満

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カ:雲又は鉛直視程、及びNSC

(1)雲量及び雲底の高さは3層まで使用しています、ただし、重要な対流雲(積乱雲、塔状積雲)が存在する場合は4層まで使用しています。
(2)雲量は次のとおり使用しています。

雲量電文表示 意味 8分雲量 参考(10分雲量)
FEW 少しの 1以下で0(雲がない)ではない~2 1以下で0(雲がない)ではない~3
SCT 散在している 3~4 4~5
BKN すき間あり 5~7以上ですき間があります 6~9以上ですき間があります
OVC 全天を覆う 8(すき間がありません) 10(すき間がありません)

*全天を8とした時に、雲によって覆われた部分の全天空に対する見かけ上の割合

(3)雲底の高さは100ft単位の3桁の数字で表し、5,000ft未満は100ft刻みで、5,000ft以上は1,000ft刻みで表します。
(4)重要な対流雲(積乱雲、塔状積雲)が存在する場合は、雲底の高さに続けて雲形(CB、TCU)を記述します。
  (例)雲量4のCBが2,000ftのとき SCT020CB
(5)いくつもの雲層が存在する場合は次の要領で行っています。
ア)雲量に関係なく最も低い雲層をFEW、SCT、BKN、OVCのいずれかで表します。
イ)第1層の高さより上にあって、雲層の量が3オクタス以上の場合SCT、BKN、OVCで表します。
ウ)第2層の高さより上にあって、雲層の量が5オクタス以上の場合BKN、OVCで表します。
エ)雲の群は、雲底の高さの低い雲から順に表します。
オ)上記のいずれの項にも重要な対流雲を記述しない場合は重要な対流雲を雲形を付加して1層だけ表します。この場合、重要な対流雲の雲底の高さを他の雲層又は雲塊の高さと同一に存在する場合は、重要な対流雲を後に記述しています。
  (例)・・・・・BKN008 BKN020 SCT020CB OVC040
(6)鉛直視程
霧(FG)などで空を透視できない時は、鉛直視程(上空の見通しが遮られている場合の鉛直方向の最大可視距離)で表します。
  (例) RJGG 010300Z ・・・ FG VV003 ・・・
    天気は霧で、鉛直視程300FT
(7)NSC(Nil Significant Cloud)の使用
NSCは次の条件が満たされたときに使用します。
ア)CAVOKではない
イ)5,000ft又は最低扇形別高度*3の最大値のいずれか高い値未満に雲がなく、かつ重要な対流雲がないとき。
  (例)RJGG 010300Z 16008KT 6000 NSC ・・・

*3:最低扇形別高度とは、航行用無線施設を中心とした半径25NM(ノーティカルマイル、1NM=1,852m)の円内の部分に含まれる区域に所在する全ての障害物件から、平野部では300m(1,000ft)、山岳部については600m(2,000ft)の垂直間隔をもって設定した緊急時用の最低高度です。各空港でこの値は異なり、当飛行場では5,200ftとなっています。

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キ:気温及び露点温度

気温及び露点温度は小数点以下1/10位まで読み取り、値が正の場合は1/10位の値は四捨五入、値が負の場合は五捨六入し1℃単位で表します。
0℃未満の気温はM(マイナス)で表します。例えば-9.4℃はM09、-0.3℃はM00と表します。

ク:気圧

気圧はQNHと言われる値を通報します。QNHとは滑走路に着陸した航空機の気圧高度計が滑走路の標高を示すように気圧高度計原点を平均海面上3mの高さに合わせるための気圧値を言います。
QNHはhPaを単位とし、10分位を切り捨てた値を指示文字Qに続けて4桁の数値で通報します。

ケ:国内記事

RMKS以下は国内記事を示し、以下の内容などが含まれます。
・雲についての詳細な情報:8分雲量、雲形、雲底の高さ
・QNHとして報じた気圧の値をinHg(水銀柱の高さ、インチ単位)に換算した値
・方向視程
・操縦士報告(航空機の操縦士からの気象に関する報告)
・雷・積乱雲・霧などの、強度・存在位置および移動方向
・その他 現在天気であられを観測した場合の氷あられ(SMALL HAIL)、雪あられ(SNOW PELLETS)の区別

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