【コラム2】クジラの尾と猛暑

 図7-1は全国で記録的な猛暑が連日続いた頃の2013年8月12日午前9時の地上天気図です。この図の1012hPaの等圧線に沿って曲線を描いてみますと、クジラが泳いでいるような形にも見えます。(わかりやすいようにクジラのイメージ図を合成させています。)

図7-1


 この「クジラ」に囲まれた領域は太平洋高気圧に覆われているため、晴れて気温が高くなっています。この日は全国的に厳しい猛暑となり、多くの観測点で高温の記録を更新しました。なかでも、高知県四万十市江川崎では国内の観測史上1位となる最高気温41.0℃を記録しました。
 このような地上天気図で太平洋高気圧の等圧線がクジラの尾のような形で西日本に張り出す気圧配置になる理由は、夏にチベット高原を中心に対流圏上層(高度約12km)で発達するチベット高気圧の東への勢力が、中国を経由して広く西日本までおよんで、西日本付近は背の高い高気圧となるためです。 このような気圧配置となると、九州を含む西日本を中心に猛暑となることが多く、厳しい暑さが持続することが知られています。


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