組織概要

 気象庁は平成25年10月1日に「日本海海洋気象センター」を京都府舞鶴市に設立しました。
 日本海は太平洋や大西洋と比較して面積こそ小さいものの、対馬暖流と北方からの冷水の境に前線域を形成する、深層の海水が循環している、海氷が生成される等、大洋としての性格を備えており、「ミニ大洋」と呼ばれています。大洋に比べて面積が小さいために、日本海では地球温暖化による異変が大洋よりも早く起きると考えられています。このため海水温の上昇等、日本海で現在起きている現象を把握することによって、今後世界の大洋で起こるであろう地球温暖化の影響の予測に役立つと考えられています。
 日本海海洋気象センターは気象庁本庁の組織として、日本海の海面水温や対馬暖流、日本海固有水と呼ばれる深層水の変化を監視するとともに関連する海洋気象情報を発表していきます。また、気象庁が発表する海洋気象情報を改善するために数値モデルの高度化や高潮・高波等の顕著現象のメカニズム解明に向けた調査研究を行います。さらに地域のニーズを踏まえながら再生可能エネルギー利用に向けた海洋気象統計情報のとりまとめを行い、関係官庁や自治体等に提供していきます。

業務概要

業務概要

■海洋気象情報発表のため、顕著現象等に関するメカニズムの調査

  • 海洋気象データベースの作成

気象庁がより適切な沿岸防災情報を発表するために、日本海等に特徴的な潮位や波浪に関する顕著現象をデータベースにまとめ、その要因等について解析する。

■海洋気象業務に用いる予測モデル・システムの改良・高度化

  • 高潮に対する波浪効果(wave setup)評価モデルの高度化

高波が沿岸域で砕波することに伴う潮位上昇を評価し、高潮の予測精度を向上させるために気象庁海洋気象情報室で開発が進められてきたwave setupモデルの高度化を行う。

■予測モデルやシステムの検証等業務化に向けた対応

  • 次世代海況監視予測システムの特性調査

異常潮位や陸棚波等、特に沿岸域における詳細な海洋現象の再現を目的として、気象研究所が開発を進めている高精度な海況予測・解析モデルについて、現業利用に向けた事例検証を行う。

■日本海に関する海洋気象に関する調査と発表

  • 日本海の海況に関する情報発表

毎月10日、20日、末日に日本海の海面水温や対馬暖流の状況と1ヶ月先までの予測情報を発表する。