金沢地方気象台長からのご挨拶

台長メッセージ  4月1日付で金沢地方気象台長を拝命しました田中恵信(たなかよしのぶ)と申します。1月1日の令和6年能登半島地震で多くの方々が亡くなられたことにお悔やみを申し上げますともに、被災された皆様にお見舞いを申し上げ、1日でも早く皆様の生活が再建され地域が復興することを願って止みません。
 防災を担当する者として能登地方には近くお伺いする機会はあろうかと見ておりますが、被災した地域の復興が進み妨げにならない時期が来ましたら一観光客としてプライベートでもじっくり訪れることを待ち望んでおります。「スキップとローファー」の主人公”みつみちゃん”の故郷のモデルとされることから、珠洲市の風景をこのアニメ作品から想像しているところです。両親が旅行で訪れた輪島の朝市や総持寺の話も聞いております。海の幸に目がないので、各地で漁が再開されることをお祈りするばかりです。
 加賀地方については若いころスキーで一度訪れたことがありますが、台長室からも見える白山については行ったことがなく、赴任中に御前峰の登山とスキーを楽しんでみたいものです。

 さて、令和4年8月3日から5日にかけての大雨では、加賀を中心に非常に激しい雨が降り続き、石川県土砂災害警戒情報を発表し、手取川と梯川に指定河川洪水予報を発表しました。加賀地方では土砂災害、浸水害、洪水災害が発生し重軽傷者を含む多数の被害がありました。
 続く令和5年の7月12日から13日にかけての大雨では、かほく市、津幡町、内灘町付近では、猛烈な雨が降り、線状降水帯が発生したことから、令和3年6月の運用開始以降石川県で初めてとなる「顕著な大雨に関する石川県気象情報(第1号)」を発表しました。大きな人的被害こそ無かったものの、家屋や農業等被害が多数ありました。
 このように、近年の特徴として「災害は忘れる前にやってくる」と言えるのではないかと思います。石川県内は加賀地方も含め、令和6年能登半島地震により地盤が緩んでいる地域や土砂で流れにくくなっている河川が多く土砂災害と洪水災害のリスクが通常より高まっており、気象台も大雨警報(土砂災害)、洪水警報の発表基準を多くの市町で暫定的に引き下げて運用して対応しております。早めの避難をこころがけていただくため、気象台の発表する防災気象情報や自治体が発令する避難情報にご留意いただければと思います。

 石川県は厳しい幕開けの年となりましたので、県民のみなさまによりお役に立てるよう、気象台一丸となって取り組んでまいりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 
令和6年4月 金沢地方気象台長 田中 恵信