題目をクリックすると、pdfファイルで全文を読むことができます。
題 目 | 著 者 | |
---|---|---|
スペイン・ウエルバにおけるWMOヨーロッパ地区ブリューワー分光光度計相互比較(2019) | [要旨] | 藤原 宏章・上里 至・津田 元気・高野 松美 |
スペイン・ウエルバのスペイン国立航空宇宙技術研究所El Arenosillo実験センターにおいて,2019年6月17日~28日の日程で開催された,世界気象機関ヨーロッパ地区ブリューワー分光光度計相互比較に参加した.気象庁は国内基準器Brewer MKIII #174(BR#174)を現地に持ち込み,ブリューワー分光光度計の世界基準器を保有するカナダ環境・気候変動省の移動基準器Brewer MKIII #190(BR#190)とのオゾン全量,二酸化硫黄全量および波長別紫外線量の相互比較観測を実施した.その結果,BR#174はBR#190に対しオゾン全量は約1.5%小さく,二酸化硫黄全量は1.3 m atm-cm大きい結果となった.この結果を受け,オゾン・二酸化硫黄観測用常数の変更を行った.波長別紫外線量については1%以内の差に収まっていることが確認された.
また,スペイン気象局が保有するヨーロッパ地区基準器Brewer MKIII #185(BR#185)との比較では,BR#174はBR#185に対しオゾン全量は約2.3%小さく,二酸化硫黄全量は0.4 m atm-cm小さかった.BR#190による校正後ではBR#174はBR#185に対しオゾン全量は約0.9%小さく,二酸化硫黄全量は1.8 m atm-cm小さかった.波長別紫外線量は,BR#174はBR#185に対し約6%小さかった.ダボス物理気象観測所/世界放射センターの紫外域スペクトルラジオメータの移動基準器(QASUME)との波長別紫外域日射照度の比較では,太陽高度の高い日中はBR#174はQASUMEに対し5~10%小さく,朝晩では最大で15%程度小さい結果となった.太陽高度が低くなるにつれて出力が低下する要因として,ブリューワー分光光度計が持つ入射角特性が大きく影響していると考えられる.