気球を用いた高層大気の観測について

気球を用いた高層大気の観測

天気予報の精度を高めるためには、地上での気象観測だけではなく、上空での気象観測が不可欠です。また、天気予報以外に気候変動の監視にも、上空大気を継続的に高精度に観測することが必要です。

このため、気球に軽い水素ガスを詰めて気象観測器を吊り下げて空に飛ばし、地上から高度約30kmまで、気温、湿度、風などの気象要素を連続的に観測しています。この気象観測器には様々な種類がありそれぞれ観測要素も異なりますが、これらの気象観測器を総称して「ラジオゾンデ(Radiosonde)」といいます。

空を飛ぶゾンデの様子

空を飛ぶラジオゾンデ
一番上に気球、中央部にパラシュート、一番下にラジオゾンデ(気象観測器)がついています

ラジオゾンデの種類

現在高層気象台で使用しているラジオゾンデは、以下とおりです。

  • iMS-100型GPSゾンデ
  • RS41-SG型GPSゾンデ
  • ECC型オゾンゾンデ
  • 気温基準ゾンデ(MTR)
  • 水蒸気基準ゾンデ(SKYDEW)

この他、過去にはレーウィンゾンデ、放射能ゾンデなど、様々なラジオゾンデを使用していました。

各ラジオゾンデの詳細については、ラジオゾンデによる高層気象観測の変遷のページをご覧ください。

ラジオゾンデ観測の特徴

観測は、地上から気球とラジオゾンデを空に放つ「放球」と同時に始まります。ラジオゾンデによって観測されたデータは無線によってリアルタイムで地上の受信器に送られます。気球は少しずつ膨張しながら一定の速度でどんどん上昇し、気球が大きくなり過ぎて割れた所で観測終了となります。観測を終えたラジオゾンデはパラシュートでゆっくりと落ちてきます。観測データは品質管理を行ってから公開され、世界中で天気予報や気候監視などに利用されています。

ラジオゾンデ観測は、大気を直接観測するため観測精度が高い、鉛直方向に連続的に観測するため精密な鉛直分布がわかる、という特徴があります。このため、高い精度の観測データをそのまま使用するだけでなく、気象衛星などの他のリモートセンシング観測(間接的な観測)によるデータを較正するための基準値としても利用されています。

高層気象観測データ処理の様子

ラジオゾンデ観測データ処理の様子

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