熊谷地方気象台長からのメッセージ

蓼沼信三写真

 熊谷地方気象台のホームページを閲覧いただき、有難うございます。熊谷地方気象台長の蓼沼 信三(たでぬま しんぞう)です。


 埼玉県は関東平野の中央部に位置し、1都6県と隣接する内陸県です。西部は標高2000m超の自然豊かな秩父山地、東部は荒川・利根川を主流とする河川が数多く流れる平地で多くの人たちが暮らしています。埼玉県の気候は、冬は北西の季節風が強く乾燥し晴天の日が多く、夏はかなりの高温になり雷の発生が多いのですが、暮らしやすい気候といえましょう。


 しかし、自然は時として私たちに牙を剥くこともあります。この10年間に埼玉県を襲った気象災害を振り返ってみます。


 まず、記憶に新しいところでは、令和元年東日本台風(台風第19号)があり、北・東日本に記録的な大雨をもたらし、埼玉県でも多くの河川で決壊や越水が発生し、また、土砂災害や浸水害も発生しました。埼玉県で「大雨特別警報」を発表した初めての事例です。


 また、平成30年は「災害級の暑さ」という流行語で印象にあると思いますが記録的な猛暑となり、多くの方が熱中症により救急搬送されました。熊谷でも7月23日に41.1℃の歴代最高気温を記録(その後、令和2年8月17日に浜松でタイ記録)しています。


 さらに遡ると、平成25年9月2日には、さいたま市や越谷市で、藤田スケールで F2(風速で毎秒 50 ~ 69メートル)の強さの竜巻が発生し、住家の屋根が飛ばされるなど大きな被害が多数発生しました。


 このような自然災害から皆さまを守るため、気象庁では観測・予測精度向上にかかる技術開発を推進しています。熊谷地方気象台は、その成果であるさまざまな気象情報を、県民の皆さまへ、適時、的確に届けることを第一の使命としています。しかし、気象台から発表される警報や注意報、市町村から発表される避難指示などに応じて行動するのは皆さまです。気象台では、大雨などの異常時に、皆さまご自身と大切な人の命を守るための行動が的確にとれるよう、防災関係機関や住民の方々に対して、平時から気象情報の利用について解説し、過去の自然災害や防災に関する知識の普及に努めています。


 また、気象台長みずから積極的に、県内各市町村を訪問し、市町村長と防災担当の方々に直接お会いし、「顔の見える関係」が深化するよう、市町村や県との連携を今まで以上に推進してまいります。


 熊谷地方気象台は、さまざまな自然災害から733万の埼玉県民の生命・財産を守るとともに、日々の暮らしを支えるために、地域の声に耳を澄ませ、地域に寄り添って共に考え行動し、地域に役立つ情報を提供し、地域に頼られ信頼される気象台になれるよう努めてまいりたいと考えておりますので、よろしくお願いします。


令和4年4月

熊谷地方気象台長 蓼沼 信三