天気の部屋

ここでは、私たちの身のまわりに起こっている様々な自然現象がどのような仕組みによって発生しているのか、人々に被害をもたらすような現象から身を守るために気象台がどのような情報を発表しているのかを知ることができます。

カエデやイチョウの紅葉・黄葉について

 秋になると、多くの広葉樹が紅色や黄色に色づき、山は紅葉を見に来る人たちでにぎわいます。ここでは、カエデやイチョウの見頃や紅葉・黄葉の仕組みなどを紹介します。

紅葉の色づきと見頃っていつ?

10月中旬頃になると、山の上から徐々に広葉樹の葉が紅や黄色に色づき始め、秋も深まる11月中旬から下旬が紅葉シーズンで最も見頃となります。気象台では、カエデとイチョウを生物季節観測の対象としており、イチョウは発芽日、黄葉日及び落葉日、カエデは紅葉日と落葉日を観測しています。これらの平年値を表1に示します。島根県では、イチョウは4月中旬頃に発芽します。そして、11月中旬頃に黄葉し、10日くらい経つと落葉日を迎えます。カエデは11月中旬から下旬に紅葉し、12月初旬から中旬頃に落葉日を迎えます。これらは平年値ですので、年によってこれらより早まったり遅くなったりすることがあります)。

表1 松江のカエデとイチョウの発芽日、紅(黄)葉日、落葉日
現象 平年値
イチョウ 発芽 4月16日
黄葉 11月17日
落葉 11月26日
カエデ 紅葉 11月22日
落葉 12月10日

※発芽日はイチョウのみ

発芽日 対象とする植物の芽の総数の約20%が発芽した日
紅葉日
黄葉日
対象とする植物の葉の色が大部分紅(黄)色系統の色に変わり、
緑色系統の色がほとんど認められなくなった日
落葉日 対象とする植物の葉の約80%が落葉した日

カエデやイチョウはいったい何種類くらいあるの?

 まず、イチョウは裸子植物門イチョウ属に属しています。この属のイチョウ類は中生代には繁栄していましたが、過去の大きな気候変動によって多くの種が絶滅し、現在では現存種のイチョウ(写真1)しか残っていません。一方、カエデの種は多く、その数は世界中に100種以上が存在しています。この内、日本の広い範囲で見られる一般的な種としては、イロハカエデ(写真2)、オオモミジ、ヤマモミジ(写真3)などが挙げられます。松江地方気象台では、イロハカエデを生物季節観測の対象としています。

イチョウの写真

写真1 イチョウ

イロハカエデの写真

写真2 イロハカエデ

ヤマモミジの写真

写真3 ヤマモミジ

黄葉の仕組み

 イチョウなどの黄葉は、葉に含まれているカロチノイドという色素によって起こります(図1)。

 元々葉には、クロロフィルという緑色の色素とカロチノイドという黄色の色素が含まれています。秋の初めまでは、カロチノイドがクロロフィルの強い緑色に隠れてしまっているため、葉は緑色なのですが、秋が深まり、気温が低くなると、クロロフィルの分解が始まってカロチノイドの方が目立ってくるため、次第に黄色に変化していきます。

黄葉の仕組み

図1 黄葉の仕組み

紅葉の仕組み

 カエデなどの紅く色づく葉には、黄葉とは違った変色の仕組みが働いています。イチョウと同じように、カロチノイドも含まれているのですが、紅葉はアントシアニンという色素によってもたらされます(図2)。

 気温が低くなると、葉の根元と枝の間に「離層」と呼ばれるコルク状の物質ができます。そのため、光合成で葉の中に作られていた糖分が、枝の方に運ばれずに、葉の中に留まってしまいます。すると、葉の中の糖の濃度が上昇します。そこに日光が当たることによって、糖とタンパク質が化学反応を起こし、アントシアニンという赤色の色素がつくられます。このアントシアニンがたくさんできることによって、鮮やかな紅に変色していくのです。

紅葉の仕組み

図2 紅葉の仕組み

謝辞

ヤマモミジを撮影させていただいた島根県立緑化センターに感謝します。