(はじめに)地球温暖化予測情報第9巻とRCP8.5シナリオによる21世紀末の気候予測について

  • 地球温暖化予測情報第9巻(2017年)は、IPCC温室効果ガス排出シナリオRCP8.5(高程度の温室効果ガスの排出が続く場合)を用いた非静力学地域気候モデルによる日本の気候変化予測です。
  • 地球温暖化予測の前提となる温室効果ガスの将来変化は、単一シナリオについてのみ予測対象としています。
  • このため、他のシナリオを用いた場合、異なる予測結果となる可能性があります。
  • 地球温暖化予測情報第9巻では、大気の変動のみを予測する気候モデルを用いて将来気候を計算する際に、現在の観測値に海面水温(SST)データ(4通り)の将来変化パターンを加えています。
  • RCP8.5シナリオは、2100年における温室効果ガス排出量の最大排出量に相当するシナリオです。2100年頃の大気中二酸化炭素濃度は、1000ppmを超えることを想定しています。
  • 地球温暖化予測は、自然変動に伴う気候の「ジグザグ」な揺らぎの影響を取り除いて、温室効果ガスの増加に伴って「じわじわ」と進行する長期的な変化の傾向を検出することを目的としています。
  • 地球温暖化予測情報第9巻において、現在気候は20世紀末(1980~1999年)を、将来気候は21世紀末(2076~2095年)を想定しています。
  • 降水の変化予測は、気温に比べて一般に不確実性が大きいです。
  • 台風や梅雨前線に伴う大雨などの顕著な現象の頻度や程度は、年々の変動が大きいことに加え、空間的な代表性が小さい上に、発生頻度が稀で、20年程度の計算対象期間を設けても統計解析の標本数が少ないため、系統的な変化傾向が現れにくい場合があります。