長野県の冬の特徴 [長野地方気象台 TOPへ]

長野県北部の大雪
 12月になると本格的な冬の訪れとなり、「冬型の気圧配置」となる日が多くなります。
 冬のシベリア大陸では、放射冷却により非常に冷たい空気が蓄積され、高気圧が発達します。一方、日本付近を低気圧が発達しながら通過した後、カムチャツカ半島あるいは日本の東海上で、その低気圧が猛烈に発達することがあります。このような"西が高く東が低い"気圧配置(冬型の気圧配置)になると、シベリア大陸から日本列島にむけて冷たい季節風が吹き、本州の脊梁山脈を境にして天気が一変し、長野県の北部では、雪の日が多くなります。

上層の気温と大雪
 冬型の気圧配置における北陸地方及び長野県北部の雪の降る量は、上層の気温と深い関係があり、特に500hPa (5,300m付近)で-35℃以下の寒気が入ると大雪になりやすいといわれています。また、700hPa (2,900m付近)では-20℃以下、850hPa(1,500m 付近)では-10℃以下といわれています。
 1983(昭58)~1984(昭59)年の冬は、大雪となりました。この時の午前9時の輪島500hPaの気温経過図(1図)と、この年の野沢温泉の一日で最も深い積雪(日最深積雪)の変化をみると(図2)、12月中旬から3月中旬まで周期的に-35℃以下の冷たい空気(寒気)が入り、この寒気に対応するように大雪となっています。

能登半島の輪島上空、約5000mの気温グラフです。-35℃以下の寒気が周期的に入っています。

図1 輪島500hPa9時の気温経過図(1983年12月10日~1984年3月31日)

野沢温泉の大雪の年の積雪と降雪の経過図です。

図2 野沢温泉の日最深積雪と日降雪量の経過図(1983年12月10日~1984年3月31日)

北部が大雪となる時は、冬型の気圧配置でも上層の寒気の入る経路や風向などによって、大雪の分布は必ずしも一様というわけではなく、おおよそ次の4つに大別されます。

(1)北西部山沿いの大雪
 発達した低気圧が日本付近を通過し、大陸の高気圧が西から張り出す季節風の吹き出しの初期で、上層の寒気(輪島500hPaの気温が-35℃以下)が日本海の中部か南部にあって上層の風は西~西北西の場合です。
 雪雲は北アルプスにぶつかり、風上側の富山県山沿いで大雪となりますが、長野県でも北アルプス山沿いの小谷・白馬・上高地等でも大雪となります(大糸線の大雪)。また、南部の中央アルプスの木曽地方も、岐阜県からの雪雲が流入するため大雪となります。

(2)北部全域の大雪
 季節風の最盛期で、上層の寒気の中心は日本海北部や北日本にあって、下層から上層まで北西の風となり、上層の気圧の谷が通過中に出現します。
 地上の等圧線は南北に立って、北部の信越県境に近づくほど雪の量が多くなります(信越線の大雪)。新潟県では、山沿いで大雪となります。
 気圧の谷:通常、上層の流れが蛇行したときの谷の部分について用いられます。

(3)北東部の大雪
 季節風の衰弱期で、飯山線沿いの野沢温泉地方で大雪となります(飯山線の大雪)。
 風上にあたる新潟県側の山地は標高1,000m前後と、ここで雪雲は斜面を強制的に上昇して、雪雲の雲頂が2,000~3,000mにも発達するため、長野県側へは、この雪雲の一部が飯山線沿いに進入し、局地的にたくさんの雪を降らせます。

(4)長野市付近までの大雪
 低気圧が北日本付近で猛烈に発達して、上層の寒気の中心は能登半島付近まで南下していること、輪島の850hPaの風向は北西よりで、風速が15m/s以上と強いこと、また、日本海沿岸の泊や糸魚川の風向は西~北の風で、風速は10m/s 以上である時には、長野市内でも24時間の雪の量が20cmを超える大雪となります。


中部・南部の大雪

南岸低気圧
 東シナ海などで発生した低気圧が、日本の南海上を進むとき「南岸低気圧」と呼んでいます。2月から3月にかけて、この低気圧が太平洋の沿岸を発達しながら進む場合には、北からの冷たい気流が流れ込み中部・南部を中心に「大雪」になることがあります。
 また、低気圧の発達の程度や進路のわずかな違いで「雨やみぞれ」になることもあります。雨で降れば被害にならないものが、雪になると被害の出ることが有るため、雪か雨かの判断が大切となります。
 県内の地上の気温が2℃以下で、上空 1,500m(850hPa)での0℃の温度線が太平洋側まで下がる時には、南岸低気圧による県内の降水は雪になります。

1998年1月の大雪
 平年の1月は冬型の気圧配置の最盛期ですが、1998年の1月は、冬型の気圧配置が長続きせず、南岸を低気圧(図3)が周期的に通過したため、中部・南部を中心に大雪が続き、以下のデ-タで見るような記録的な大雪となりました(図4)。

 

南岸低気圧の時の地上天気図です。太平洋岸を低気圧が進みます。

図3 地上天気図 1998年1月15日9時

南岸低気圧による県内の大雪分布図です。この時は中部で60cmを超える降雪となりました。

図4 1998年1月14日9時~16日9時までの降雪量(cm)

1998年1月に降った雪の総合計
松本 :107cm(平年の4.5倍)
軽井沢: 97cm(平年の3.1倍)
飯田 : 59cm(平年の3.1倍)
  • 1月15日の最も積もった時の積雪
軽井沢:72cm 観測開始以来(1925年~)の第1位
松本 :69cm 観測開始以来(1898年~)の第2位
  • 1月15日の1日で降った雪の量
松本 :56cm 統計開始以来(1953年~)の第2位
軽井沢:38cm 統計開始以来(1965年~)の第2位

冬の乾燥
 1月~2月は冬型の気圧配置となる日が多く、雪雲は風上側の北部山沿いでその水分をほとんど雪として降らせるので、水分の少なくなった乾いた空気が、中部や南部の平地を冷たい風となって吹き抜けます。そのため、長野県の平地の冬は、晴れの日が多く空気が乾燥します。

冬の最低気温
 長野県で一番寒い時期の2月上旬の平年の最低気温の分布(図5)を見ますと、標高1,000m以上では-10℃~-14℃と北海道並みの寒さとなります。
 そして、この時期に上層に寒気が入っていて冬型の気圧配置が緩み、夕方から晴れて風も弱く空気も乾いていると、地表面からは人の目に見えない赤外線(赤外放射)が放出される「放射冷却」で、地表面の温度はどんどん下がっていき、非常に厳しく冷え込みます。
 各地の日最低気温の一番低い値は、約4割がこの時期に記録しています。また、3割が2月下旬に記録していますので、長野県では2月末まで厳寒期といえます。
 中部の盆地では、朝の最低気温が-15℃以下の日もあります。

 

2月上旬の平年の最低気温分布図です。

図5 2月上旬の平年の最低気温(℃) (平年値の統計期間:1981~2010年 伊那のみ1993~2010年)

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