長野県の春の特徴 [長野地方気象台 TOPへ]

雪崩はどうして起きるのか
3月は天気の変化が大きく、気温も短い周期で変動する月です。このため、長野県の積雪のある山沿いでは、真冬と同様に春にかけても雪崩が発生しやすくなります。
 雪崩は、山の斜面に積もった雪が、急速に崩れ落ちる現象をいいます。
 山腹に積もった雪には、斜面方向にすべり出そうとする力(重力)が常に働いています。この力は斜面の傾き(傾斜)がきついほど、また積雪が多いほど大きくなります。
 積雪が斜面に留まっていられるのは、凹凸のある地面との間に働く摩擦の力や、雪の重みで沈み込む(沈降)圧力などで力の釣り合いが保たれているからです。しかし、何らかの原因で、雪を支える力の限界を越えると、雪崩が発生します。

表層雪崩
 雪が降り止んでから、積雪の表面は日射、風、気温の影響で変化し、次の雪の時にはその面は弱い層となります。そして、抵抗力が弱くすべり落ちやすくなったその弱い層の上の積雪が、一気に崩れ落ちるのが「表層雪崩」です。

全層雪崩
 地面の上に積もった積雪全層が落下する現象で、春先に一番多く発生します。

表層雪崩は古い雪の上に新たに積もった雪(=表層の雪)のみが、崩れ落ちる現象です。
全層雪崩は地面の上に積もった積雪の全ての部分(=全層の雪)が、一気に崩れ落ちる現象です。

図1 表層雪崩(左の図)と全層雪崩(右の図)の模式図


着氷とは
4月の中頃までは、本州の南を低気圧が通過する時に、長野県では標高1,000m前後の地域を中心に着氷により、被害の発生する場合があります。
 着氷とは、空気中の過冷却した小さな水滴が、木や架線、電線、地上の物体に衝突し凍結してできる氷のことです。着氷には、その時の気象条件によって、霧氷(むひょう)と 雨氷(うひょう)に分けられます。

過冷却とは
 霧や雲の粒は直径が約0.01~0.03mmと非常に小さな水滴です。この水滴は、-10~-20℃以下になっても凍るきっかけとなる核(凍結核)がないと、水滴のままでいることができます。このような状態を「過冷却」といいます。
 過冷却した水滴が、0℃以下に冷えた木や物体にぶつかると、凍るきっかけができるので、瞬間的に凍ります。

雨氷(うひょう)現象について
 着氷の中で「雨氷」は架線、電線、樹木に付着し、電車の運休、倒木、路面を凍結させるなど私たちの生活に障害をもたらします。
 雨氷が発生する条件は、南からの暖かい空気が上層に入って、0℃以上の逆転した層(普通、上層に行くにつれて気温は低くなりますが、そうではない場合があります。このような状態を逆転した層といいます)ができることです。そして、これより上の層から降る雪が、この層で溶けて水滴となり、下層の0℃以下の冷たい層の中を過冷却のまま通過して、0℃以下に冷えた地上の物に当たって凍結する現象です(図2)。

雨氷(うひょう)発生時の模式図です。

図2 雨氷発生時の模式図



長野県の桜の咲き始める平年の日は、飯田:4月6日、松本:4月12日、長野:4月14日です。これは平年の日平均気温が10℃位になる日にだいだい一致しています。
 また、桜の開花(数輪咲いた状態)した等しい日を結んだ線を「さくら前線」と呼んでいて、さくら前線が南部から長野県の高冷地(標高800m以上)に到達するには約1ヶ月かかります。それは、山は平地より気温が低いので、桜の開花が、標高100m高くなるごとに約2~3日遅くなるからです。
 四月はじめ頃、県の最南端で桜が咲き始め、しばらくは天竜川沿いに伊那谷を北に上がりますが、地形が複雑で、標高差が大きい長野県は、途中から松本・長野・上田などの盆地で咲きだし、その後は標高の低い所から高い所へと開花が移っていきます。
 桜の開花から満開(全体の80%咲いた状態)までの期間は、その時に気温が高く経過したか、冷たい空気が入って「花冷え」となったかで決まります。
 暖かい年は3日で、寒い年は7日もかかって満開となっています。
 日平均気温:1日の毎正時の24回の平均値

春の強風と乾燥
 春は冬から夏への季節の変わり目に当たり、激しい気象の現象の起きる季節です。「花に嵐」というように、時には発達した低気圧が通過して、強い風を吹かせ、満開の桜を散らせることもあります。また、4月は季節の進みぐあいが一番早い月です。例えば、長野の日平均気温は、4月初めは6.8℃ですが月末には13.5℃にもなり月初めから月末にかけて約7℃も上昇します。

春はなぜ空気が乾燥し、強い風が吹きやすいのか
 春になると、移動性の高気圧や低気圧が交互に日本付近を通過しはじめます。移動性の高気圧に覆われると晴れる日が続き、太陽からの日射エネルギ-も強いため地面は乾き空気が乾燥し、盆地では気温が上がります。
 盆地での地面の温度が上がると地面付近の空気も暖められるため、膨らんで(膨張)軽くなりそこの空気は上昇します。それを補うように周りからは、乾燥した空気が吹き込んで来ますし、上空の乾燥した空気も強い風でかきまぜられて、地上に下りてくるので、午後に風の強くなる地域があるのはこのためです。
 また、移動性の高気圧が日本の東海上に進んだ後に、日本海を低気圧が発達しながら進むと、この低気圧に吹き込む南よりの湿った強い風は、高い山を越える時に風上側で雲ができて水蒸気(気体となっている水)を吐き出し、暖かな乾いた空気として盆地や日本海側に吹き下りるという「フェ-ン現象」が発生しやすくなります。
 乾燥した状態は益々進み、湿度が10%を割ることもあります。
 このように春は乾燥し、強風も吹きやすくなります(図3)。このため、長野県のような内陸部や日本海側では、この時期に林野火災が最も多く発生します。また、風速(10分間の平均した風の速さ)が10m/s を超すと、火が煽られて大火になります。
 春に火災が多いのは、強風と乾燥に加えて、枯れ葉・枯れ枝などが乾燥して燃えやすくなっていること、仕事や行楽で人々が野山に出かける機会が多くなることなどが理由と考えられます。


図3 松本の平年の旬別相対湿度と平均風速の図(統計期間:1971~2000年)

遅霜-夜になるとなぜ気温が下がるのか-
 
 日中は太陽からの日射エネルギ-によって地面が暖められます。暖められた地表面の熱は、地中に向かうものと、地面に接している大気にも伝わります。日中は熱の受け取る量の方が多いため、地表面の温度は上がります。
 夜間は、太陽からの日射はなく、逆に地面から熱が放出(放射)されます(図4)。
 地面のような低温の物体からの熱の放出は、人の目に見えない「赤外線」で放出(赤外放射)を行い、地表面の温度は次第に下がります。これを「放射冷却現象」といっています。

夜間は、大気から地面が受け取る熱より地面から大気への熱の放射の方が大きくなります。

図4 夜間における地表面の熱の出入

放射冷却の緩和
 上空に雲や霧があると、地面から出る赤外放射と同じように、雲や霧からも地面に向かって熱が放出されるので、地面からの放射冷却はゆるみます。また、大気中の水蒸気も赤外放射をしているので、水蒸気が多いと同様なことがいえます。風が強いと地表面の大気はかき乱されるため、放射冷却は緩和されて温度はあまり下がりません。

霜の発生
 以上から地面付近の気温がどんどん下がっていく条件は、「晴れている夜で、風が弱く、大気が乾燥していて、地面が乾いている時」です。また、このことから気温が一番下がるのは、日没からの時間が長くなる朝方ということになります。
 放射冷却が進んで、地面の温度が0℃より高いときは、大気中の水蒸気が若葉などに水滴として付着する「露」となりますが、0℃より低い氷点下になると、水蒸気から氷となる昇華により「霜」が葉に氷結して、葉を枯らしてしまいます。もっと気温が下がると若芽自体を凍らせてしまいます。

遅霜が発生するときの気圧配置は
 本州の南岸や日本海を低気圧が通過して日本の東海上に進み、大陸から冷たい空気が入り、移動性の高気圧が日本付近をすっぽりと覆うときに、霜がおりやすくなります(図5)。
 関東より西の地方では5月に入ると、もう霜の時期も終わりになるので「八十八夜の別れ霜」と言っていますが、長野県は標高が高いので、逆に5月に入ってからの霜(遅霜)に最も注意しなければなりません。

遅霜が発生しやすい天気図です。本州は移動性の高気圧に覆われています。

図5 遅霜がおりる時の代表的な地上天気図 1999年4月30日09時

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