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あびき

潮位の「副振動」って知っていますか? お知らせ(2011年9月29日)
あびきに関するリーフレット『潮位の「副振動」って知っていますか?』を作成しました。
あびきの発生原因などについてわかりやすく解説したものです。

あびきとは・・・

あびきとは長崎湾で発生する副振動のことをいい、30〜40分周期で海面が上下振動します。過去には大きなあびきで係留していた船舶の流失や低地での浸水被害が発生しています。 あびきの語源は早い流れのため魚網が流される「網引き」に由来すると言われています。現在は長崎に限らず、九州西方で発生する同様な現象に対して広く用いられるようになっています。
副振動とは数十分周期の港湾の振動で、長方形の容器に水を入れ、一方の端を持ち上げて少し傾けてから元に戻すとしばらく水全体が左右に振動するのと同じ現象です。

気象庁長崎検潮所(長崎市松ヶ枝町)で観測された過去最大のあびきの例を示します。このあびきは1979年(昭和54年)3月31日に発生し、最大全振幅は278cm、周期は約35分でした。

1988年(昭和63年)3月16日のあびきで、海水が浦上川を遡っている様子

あびきの発生月

「あびき(100cm以上)」の発生月は冬から春にかけて多くなっています。
特に2月から4月で全体の約70%を占めています。

あびき発生時の天気概況

「あびき(100cm以上)」が発生した時の天気概況は、九州の南海上を低気圧が通過した場合が最も多く、
次に九州の南海上に前線が停滞していた場合となっています。

あびきの発生原因


あびきは東シナ海大陸棚上で発生した気象現象の擾乱(じょうらん)による気圧の急変が原因とされています。 これによって発生した海洋長波が海底地形などの影響を受けて増幅していきます。 湾内に入った海洋長波は共鳴現象などの影響を受けてさらに増幅し、湾奥では数メートルの上下振動になることがあります。
Hibiya and Kajiura (1982)による数値シミュレーションから、1979年(昭和54年)3月31日に発生した過去最大のあびきは、東シナ海をほぼ東向きに約110km/hで進行した振幅約3hPaの気圧波によっておこされたことがわかっています。
東シナ海大陸棚上で発生した気圧波
大陸棚上で気圧波との共鳴的カップリング

[約3倍の増幅]
長崎湾内での浅水増幅、反射干渉

[約5倍の増幅]
長崎湾と五島灘の各振動系の共鳴

[約3倍の増幅]

過去の副振動

現地調査報告−平成22年(2010年)2月1日に鹿児島県薩摩川内市上甑島で発生した顕著な海面昇降(副振動)に関する現地調査−

現地調査報告−平成21年(2009年)7月15日に対馬市で発生した潮位の副振動に関する現地調査−

災害調査報告−平成21年(2009年)2 月24日から28日にかけて九州西岸を中心に発生した潮位の副振動に関する現地調査−

2004年3月1日に発生した副振動

参考文献


寺田一彦,安井善一,石黒鎮雄(1953) 長崎港の副振動について.長崎海洋気象台報告, 4, 1-73.

赤松英雄(1978) 長崎港のあびき.長崎海洋気象台100年のあゆみ, 154-162.

赤松英雄(1982) 長崎港のセイシュ(あびき).


気象研究所研究報告, 33, 95-115.

西部海難防止協会(1982) 津波(長崎港アビキ)対策委員会報告書, 77-78.

HIBIYA, T. and K. KAJIURA (1982) Origin of the Abiki Phenomenon (a kind of Seiche) in Nagasaki Bay.


J. Oceanogr. Soc. Japan, 38, 172-182.

小長俊二,半沢洋一,富山吉祐,
高浜 聡(1990)
長崎港の"あびき"について.海と空, 65, 203-222.

志賀 達,市川真人,楠元健一,
鈴木博樹 (2007)
九州から薩南諸島で発生する潮位の副振動の統計的調査.
気象庁測候時報第74巻特別号

福岡管区気象台,長崎海洋気象台,沖縄気象台(2009) 異常気象レポート九州・山口県・沖縄版2009, 57-60.


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