奈良地方気象台ホームページ ホーム>奈良県における地球温暖化

1 はじめに

 現在、地球環境問題については国や地方自治体、企業、国民により、大きな関心がもたれています。 特に地球温暖化に伴う気候変動についての関心が高まっています。ここでは地球温暖化について、奈良の気候の変化を中心に述べていきます。

2 地球温暖化

 IPCC第3次評価報告や第4次評価報告によると、20世紀に世界の平均気温は約0.74℃上昇しました。 これは過去1000年のどの世紀よりも変動が大きかった可能性が高く、日本でも約1℃上昇しています。 年降水量は長期的には緩やかな減少傾向にありますが、年ごとの変動は大きくなっています。 また、1960年代後半以降、積雪面積の約10%が減少し、20世紀中に地球の平均海面水位は0.12〜0.22m上昇しています。 20世紀後半には、北半球中・高緯度での大雨の発現頻度が2〜4%増加した可能性が高いと報告されています。 [IPCC第4次評価報告書要約(気象庁訳)]
 このような変化は地球温暖化による影響と考えられています。 地球温暖化とは、全世界平均気温が長期的に上昇する現象を言い、その主な要因は人類が排出した二酸化炭素やメタンなどの温室効果ガスの増加にあります。実際、大気中の二酸化炭素濃度は工業化以前の280ppmから2005年には379ppmに増加しています。
 地球は太陽放射により暖められ、温室効果ガスを含んだ大気が存在するため熱を吸収して気温が保たれています。 温室効果ガスが増えすぎると、その熱を吸収しすぎて、気温がさらに上昇してしまいます。 言わば地球が毛布をかぶったようになってしまうのです。
 都市部ではヒートアイランド現象が加わって、より高温状態になっています。 ヒートアイランド現象とは、空調や自動車等による人口排熱の増加や人口地表面の増加・緑地の減少、 あるいは高層建築物など都市形態の変化が原因となって都市が周囲の地域より高温になる状態を指します。

3 奈良の気候変化

 では、地域レベルでは気候や身近な生物にどのような変化が起きているのでしょうか?

奈良における年平均気温の経年変化  奈良県では1954年以降10年あたりで、平均気温は0.19℃・最高気温は0.2℃、 最低気温は0.14℃上昇しています。特に1980年代後半から気温が高い年が増加しています。 最低気温が0℃未満である冬日は10年あたり3.2日減少しています。 最低気温が25℃以上である熱帯夜の日数は有意な変化は認められません。 奈良では最高気温の上昇が最低気温を上回っていますが、全国的には最高気温よりも最低気温の上昇のほうが顕著です。 降水量も1年単位では変化は有意ではありませんが、長期的には約12%減少しています。 また、年ごとの変動が大きくなっており、こうした変化も地球温暖化によってもたらされている可能性があります。


ソメイヨシノ開花の平年値との差  ソメイヨシノの開花は1954年以降50年間あたりで約6日早まり、イロハカエデの紅葉は約19日遅くなっています。 桜は、夏に翌春咲く花のもととなる花芽(かが)を形成します。 花芽はそれ以上生長することなく休眠に入り、秋から冬にかけて一定期間低温にさらされると休眠から覚めます。 その後、積算温度が一定の値に達すれば開花することが分かっています。 また、落葉樹は最低気温が7℃以下になると葉のクロロフィルという色素が減少し、葉が紅や黄色になり始めると言われています。 つまり、気温の上昇に伴って、開花が早くなったり、紅葉(黄葉)が遅くなったりすることがあるのです。 このように私たちの身近な自然にも影響が出始めているのです。


4 気象庁の取り組み

 気象庁では、地球温暖化を始めとする地球環境問題に対して積極的に取り組んでいます。 二酸化炭素やメタン、一酸化二窒素など大気・海洋の温室効果ガスを測定し、気温や降水量、生物季節の経年変化を監視しています。 またスーパーコンピュータを用いて約100年後の気候を予測しています。
 観測結果は、毎年「気候変動監視レポート」で 世界や日本の気候変動や温室効果ガス、オゾン層の状況について刊行し、 月に1回気象庁HPで速報を発表しています。「地球温暖化予測情報」では 温室効果ガスの増加に伴う日本付近の詳細な気候変化の予測を行い、これまでに第7巻まで発表しています。 現在、日本・地域レベルでの通年の予測ができるのは、世界でも気象庁のみです。 さらに5年に1回「異常気象レポート」も刊行しています。
 このように実態を把握し、将来の予測を立ててその影響を評価し最新の科学的知見を公表することで、温暖化防止策のための基礎資料となり、啓発活動にも利用されています。

5 約100年後の気候変化の予測

 上述の地球温暖化予測情報第6巻の予測結果を基に約100年後(2081〜2100年)と現在(1981〜2000年)を比較してみました。
約100年後と現在の 年平均気温の差 約100年後と現在の 1年間の冬日の差 約100年後と現在の 1年間の熱帯夜の差 約100年後と現在の 年降水量の比
 西日本の太平洋側では、気温は一年を通して上昇し、昇温量は夏はほかの季節と比較すると小さく、8月に最小、12月に最大のピークがあり、冬日が減少し、熱帯夜が増加すると予想されています。 降水量は冬から春には減少する傾向が見られるものの、夏には増加し、年間の降水量も増加しています。
 このまま温暖化が進めば私たちの生活にも様々な形で影響が現れてくるでしょう。 自然生態系の変化や農作物の収穫量の減少から、熱中症の増加や熱帯地域の病気の拡大など健康面にまで及ぶと考えられます。
 上記の結果は飽くまで予測に過ぎません。 私たちの努力次第で温暖化を遅らせることは可能なはずです。一人一人の小さな一歩が、人類にとっては大きな飛躍になるのです。
 奈良県では地球温暖化防止活動推進センターが平成18年4月から活動を開始しています。 また、気象台でも広報活動の一環として、地球温暖化に関する「出前講座」を行っています。 ご希望の方は総務課までお問い合わせ下さい。

6 地球温暖化に関連したウェブサイト

気象庁 地球環境ポータルサイト
環境省
奈良県の環境情報サイト エコなら
全国地球温暖化防止活動推進センター

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