奈良県の四季

春季

さくらとつくし


 3月のはじめは気温も低く、北西の季節風が吹くこともあるが、中・下旬になると季節風も衰え、移動性高気圧が3~4日の周期で日本付近を通過し、その影響で天気は概ね周期的な変化となる。日中は風も弱まり暖かくなる。
 4月は桜の季節となる。特に吉野の桜は日本でも有数の桜の名所として知られている。吉野の桜は北部の奈良盆地に比べ、吉野山(下)で4~5日、吉野山(上)で10日くらい遅れて開花する。
 奈良盆地では4月上旬には「モンシロチョウ」が飛ぶようになるが、南部の大台ヶ原でこの蝶が見られるようになるのは5月の終わりから6月のはじめにかけてである。

夏季

青空に浮かぶ雲


 6月は梅雨本番である。近畿地方の梅雨入りの平年日は6月6日ごろ、梅雨明けの平年日は7月19日ごろである。月降水量が一番多いのは、北部が6月、南部が7月、8月である。
 年降水量の平年値は、県の北部で1500ミリ前後、南部では2600ミリ前後に達し、6月から9月にかけての4か月間でその半分が降ってしまう。
大台ヶ原山を中心に降る大雨で、「背降り」といわれる現象があり、7月から9月にかけて、現れやすい。
 8月は、最も気温の高い月であるが、奈良盆地では気温の日較差が大きい。日中は風も弱く、蒸し暑いが、夜は気温も下がる。隣接府県の大阪市や和歌山市に比べて熱帯夜の日数も少なく凌ぎやすい。
しかし、この時期は雷雨等により天候・気温が急変することが多く、特に県南部の山岳地への登山は注意が必要である。また、近年では、北部の平野部の人口密集地への雷雨による集中豪雨で、浸水などの被害が多く見られるようになってきた。

秋季

夕日に映える赤トンボとお月見団子


 初秋の気象の特徴は台風であり、大型台風の接近は9月の後半から10月にかけてが多い。秋の深まりと共に急速に気温も低くなり、「紅葉」の季節を迎える。
 県南部の山々では10月に入ると「カエデ」が色づきはじめ、中旬の「ミズナラ」に続き、下旬の「ブナ」の紅葉で最盛期となる。これらの樹々も10月の終わりから11月の始めにかけて落葉し、冬の訪れを待つようになる。なお、奈良(奈良市)の初霜の平年日は11月18日、「イロハカエデ」の平年紅葉日は11月21日である。
 奈良盆地などの県北部では、10月下旬から11月上旬にかけて木枯らしが吹き始め、大台ヶ原山では11月に入ると、雪がちらつくようになる。

冬季

飛火野一面に降りる霜と鹿たち


 冬の気象は、西高東低の冬型の気圧配置で代表される。
 奈良(奈良市)の初雪の平年日は12月13日であるが、過去で最も早かったのは昭和51年の11月29日である。
 冬型の気圧配置になると、北西の季節風が吹くが、奈良県では全般に強風の出現は少ない。
 南部の山岳地などでは、厳しい冬山の様相を呈する。一方、北部の奈良盆地などでは一般には天気は良く、放射冷却による底冷えが起こる。
 南部の山岳地などと違って、北部の盆地で積雪が多くなるのは、低気圧が発達しながら紀伊半島の南岸沿いを通過する時で、2月に現れやすく、銀世界を作るときがある。
 この期間で最も気温が低くなるのは、1月下旬から2月のはじめにかけてである。また、早ければ2月のはじめには日本海を低気圧が発達しながら通過し、「春一番」が吹くようになる。春一番が吹くときは暖かく、翌日は寒くなるなど、寒暖の差が大きくなり、この寒暖を繰り返しながら季節は春へと移っていく。

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