3.8μm帯差分画像の利用上の注意

 利用に際しては、海上警報等の気象情報も合わせて参照するようお願いします。

 3.8μm帯差分画像(以下、単に「差分画像」と呼びます)は、霧や下層雲が分布している領域を明るく(白っぽく)表示する画像ですが、次のような場合は霧(下層雲)域を正しく表すことができません。


①  上層に雲がかかっている場合
 赤外画像で白く写っている部分は温度が低い、つまり上層に雲が存在する領域です。気象衛星は宇宙から地球を見下ろして観測しているので、上層に雲があると、その下の様子は観測できません。赤外画像を併用して上層の雲の有無を考慮しながら差分画像を利用するようお願いします。

②  太陽光が当たっている場合(日中)
 差分画像では、太陽光が当たっている領域の霧(下層雲)域を正しく表すことができず、逆に黒っぽく表示してしまいます(詳細は下記参照)。したがって、日中は可視画像をご利用いただき、差分画像は可視画像が写らない夜間にご利用ください。


 また、衛星観測では、霧(接地している下層雲)と接地していない下層雲の区別をすることはできません。
 差分画像上での表示が白ければ白いほど、霧が濃いとは言えません(表示の明るさと霧の濃さとの間の関係については、よくわかっていません)。


◎差分画像の利用(霧域の検出)に対する太陽光の影響について


 差分画像は、3.8μm帯センサーで観測した温度から赤外センサーで観測した温度を差し引いて画像化したものです。3.8μm帯センサーで霧域を観測すると、赤外センサーで観測した温度よりも低くなります。差分画像は、この部分を明るく表示することにより、霧域を特定しやすくしたものです。
 しかし、3.8μmの波長帯は可視光線の波長帯に近いため、日中はこの波長で観測した温度に太陽光の反射のエネルギーが加わり、3.8μmの波長帯で観測した霧域の温度は赤外センサーで観測した温度より高い温度となってしまいます。そのため、差分画像では日中の霧域は夜間とは逆に暗く表され、霧域の識別に利用することが難しくなります。
 このようなことから、日中に霧域をご覧になる際には、差分画像ではなく、可視画像をご利用ください。また、日の出や日没頃は、可視画像を併用して太陽光の影響がどの範囲まで及んでいるかを考慮しながら差分画像を利用するようにお願いします(同時刻の可視画像をご覧いただいて、太陽光が当たっている領域については、差分画像を利用しないで下さい)。


(昼間の画像例)下の図は2006年4月11日09時の可視画像(左)と差分画像(右)です。
2006年4月11日09時の可視画像 2006年4月11日09時の差分画像

可視画像(左)で特定できる霧域は、差分画像(右)では全く識別できず、誤認してしまう可能性もあります。


(夜間の画像例)上記の事例の3時間前にあたる2006年4月11日06時の赤外画像(左)と差分画像(右)を下に示します。
2006年4月11日06時の赤外画像 2006年4月11日06時の差分画像

この両図より、太陽光の影響がない場合には、差分画像で明瞭に霧域を識別することができることがわかります。