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日本の静止気象衛星のあゆみ

世界気象機関(WMO)が1963年に計画を立案した気象監視計画(WWW)の基本構想の中で、気象衛星観測システムは、 静止気象衛星5機を赤道上空にほぼ等間隔に配置し、また、極軌道衛星2機を6時間間隔で飛行させ、 地球全体にわたる広域の連続した気象観測を実現させることでした。
その後、西太平洋及びアジア地区の観測のための静止気象衛星を打ち上げることがわが国に要請があり、 1972年に国の宇宙開発委員会が静止気象衛星を開発し打ち上げることを決定しました。

目次

ひまわり

昭和52年7月14日に日本で初めての静止気象衛星ひまわりがアメリカから打ち上げられ、翌年の昭和53年4月6日に本格的な観測を開始しました。3時間ごとのフルディスク観測(衛星から見える地球全体の観測)と12時間ごとに風計算のためのフルディスク観測(雲の動きを捉え上空の風を算出するための観測)を3回を行い、1日に合計14回のフルディスク観測を実施しました。昭和56年12月にひまわり2号が運用衛星となり、ひまわりは待機衛星となりましたが、昭和58年11月に発生したひまわり2号の可視赤外走査放射計(VISSR)不具合に伴い、昭和59年1月21日から再び運用衛星となりました。その後、風計算のためのフルディスク観測の中止、北半球ハーフディスク観測(フルディスクの北側半分の観測)など変則的な運用を行いました。昭和59年8月にひまわり3号が打ち上げられたことに伴い、ひまわり3号の待機衛星として運用され、ひまわり4号打ち上げ直前の平成元年6月に運用を終了しました。

GMS 打ち上げ日 : 1977年(昭和52年)7月14日
打ち上げロケット : デルタ2914型ロケット(米国)
打ち上げ場所 : ケネディ宇宙センター(フロリダ州ケープカナベラル)
質量 : 約315kg
全長 : 約2.7m
円筒部直径 : 約2.2m

ひまわり2号

昭和56年8月11日種子島宇宙センターから打ち上げられ、昭和56年12月21日からひまわり2号の運用が開始されました。ひまわり2号は、ひまわり(初号機)と同じ観測機能、同じ運用形態でした。昭和58年11月3日に可視赤外走査放射計(VISSR)のスキャンミラーに不具合が発生し、観測できないケースがしばしば発生するようになりました。このため、昭和59年1月21日で運用を中止し、その後、ひまわりによる運用が続きましたが、ひまわりも観測制限をせざるを得なくなったため、昭和59年6月29日ひまわり2号による6時間ごと(1日4回)のフルディスク観測を再開しました。台風が日本付近に接近している状況でも6時間ごとのフルディスク観測を継続せざるを得ない状況が続きましたが、防災面を考慮して、7月28日からは台風接近時に3時間ごとにフルディスク観測を行う運用をとりました。実質的な運用期間は約2年でした。

GMS-2 打ち上げ日 : 1981年(昭和56年)8月11日
打ち上げロケット : Nロケット8号機(F)
打ち上げ場所 : 種子島宇宙センター
質量 : 約296kg
全長 : 約3.5m
円筒部直径 : 約2.2m
運用停止 : 1987(昭和62)年11月

ひまわり3号

昭和59年8月3日に種子島宇宙センターから打ち上げられました。台風第7号の接近により2日遅れでの打ち上げでした。ひまわり2号のVISSR不具合のため、打ち上げからわずか2ヶ月弱の9月27日に運用を開始しました。運用開始当初はひまわり2号までの運用形態と同様に1日に14回のフルディスク観測を行っていましたが、昭和62年3月1日からは、毎時の北半球ハーフディスク観測が追加されました。ひまわり(初号機)の打ち上げから10年を経てやっと毎時観測が始まったことになります。昭和64年1月5日から毎時のフルディスク観測を開始しました。ひまわり3号は、GMSシリーズ(初号機~5号)の中で運用形態が最も大きく変わった衛星でした。平成元年12月14日にひまわり4号に観測を引き継ぎ、待機衛星となり、平成7年6月のひまわり5号運用開始直後の同年6月22日に運用を終了しました。

GMS-3 打ち上げ日 : 1984年(昭和59年)8月3日
打ち上げロケット : Nロケット13号機(F)
打ち上げ場所 : 種子島宇宙センター
質量 : 約303kg
全長 : 約3.5m
円筒部直径 : 約2.2m
運用停止 : 1995(平成7)年6月

ひまわり4号

平成元年8月1日に予定されていたひまわり4号の打ち上げは、大型で強い台風第11号の影響で8月4日に延期されました。同日の打ち上げも天候条件不良により、再度8日に延期されました。8日の打ち上げも第1段エンジンの不具合という不測の事態により打ち上げには至りませんでした。9月6日に打ち上げが行われ、予定より1ヶ月余り遅れて無地宇宙へと旅立ち、平成元年12月14日に観測を開始しました。ひまわり4号の観測スケジュールはひまわり3号と同じであり、運用期間中に大きなトラブルもなく、予定より1年遅れて、平成7年6月にひまわり5号に観測を引き継ぎ、待機衛星となりました。平成12年の運輸多目的衛星の打ち上げ失敗後の平成12年2月24日に運用を終了しました。

GMS-4 打ち上げ日 : 1989年(平成元年)9月6日
打ち上げロケット : H-Ⅰロケット5号機(H20F)
打ち上げ場所 : 種子島宇宙センター
質量 : 約325kg
全長 : 約3.5m
円筒部直径 : 約2.2m
運用停止 : 2000(平成12)年2月

ひまわり5号

当初の予定より1年遅れた平成7年3月18日に種子島宇宙センターから打ち上げられました。ひまわり5号は赤外が従来の1バンドから3バンドと観測機能の強化が図られ、平成7年6月13日から運用が開始されました。本来であれば、平成11年打ち上げの運輸多目的衛星と交代するはずでしたが、運輸多目的衛星の打ち上げが失敗したことから引き続き運用衛星として働くこととなりました。設計寿命を超えた平成12年以降は、観測機能の維持のために観測範囲の縮小を行い、平成13年には南半球ハーフディスク観測を3時間に1回のみに変更しました。平成15年5月22日にはアメリカの静止気象衛星GOES-9に観測を引き継ぎましたが、観測データの配信は継続しました。ひまわり6号の運用が開始された後の平成17年7月に運用を終了しました。

GMS-5 打ち上げ日 : 1995年(平成7年)3月18日
打ち上げロケット : H-Ⅱロケット3号機
打ち上げ場所 : 種子島宇宙センター
質量 : 約345kg
全長 : 約3.5m
円筒部直径 : 約2.2m
運用停止 : 2005(平成17)年7月

(運輸多目的衛星)

- 打ち上げ日 : 1999年(平成11年)11月15日
打ち上げロケット : H-Ⅱロケット8号機
打ち上げ場所 : 種子島宇宙センター
質量(燃料除く) : 約1,600kg
全長 : 約33m
運用停止 : ―(打ち上げ失敗)

ひまわり6号

運輸多目的衛星新1号(ひまわり6号)は、平成17年2月26日に種子島宇宙センターから打ち上げられました。運輸多目的衛星(MTSAT)シリーズは、国土交通省航空局及び気象庁が運用する静止衛星で、「ひまわり(GMS)」シリーズの後継機としての気象観測の機能(気象ミッション)と航空管制の機能(航空ミッション)を併せ持っています。気象観測機能としては、赤外4バンドが搭載され、また、観測頻度が北半球ハーフディスクでは30分ごとの観測が可能となるなど大きな機能向上が行われました。同年7月1日にアメリカの静止気象衛星GOES-9から観測を引き継ぎました。設計寿命である5年間を経過した平成22年7月1日に観測をひまわり7号に引継ぎましたが、気象衛星からの観測データの直接配信(中規模利用局(MDUS)、小規模利用局(SDUS)向けの配信)は継続しました。平成23年から平成26年にかけては、航空機の運行に大きな影響を与える急速に発達する積乱雲などを監視するために、夏季日中に日本付近を5分ごとに観測する「高頻度衛星雲観測」を行い、航空機の安全な運行に大きく貢献しました。ひまわり8号の運用を開始した後の平成27年12月に運用を終了しました。

MTSAT-1R 打ち上げ日 : 2005年(平成17年)2月26日
打ち上げロケット : H-ⅡAロケット7号機
打ち上げ場所 : 種子島宇宙センター
質量(燃料除く) : 約1,300kg
全長 : 約33m
運用停止 : 2015(平成27)年12月

ひまわり7号

運輸多目的衛星新2号(ひまわり7号)は、ひまわり6号と同じように気象観測の機能(気象ミッション)と航空管制の機能(航空ミッション)を併せもっています。平成18年2月18日に種子島宇宙センターから打ち上げられ、9月4日にひまわり6号のバックアップとして気象ミッションの待機運用を開始しました。平成22年7月1日にひまわり6号から気象ミッションを引継ぎ、運用を開始しました。その後、約5年間に渡って気象観測を継続し、平成27年7月7日に観測を後継のひまわり8号に引き継ぎました。 「ひまわり」の観測データは多くのアジア・太平洋地域の国々の気象機関で気象監視や災害の軽減に利用されています。そのため、ひまわり8号の運用開始後も、アジア・太平洋地域の国々の気象機関がひまわり8号の利用に円滑に移行できるように、平成28年3月まで運用を継続しました。平成29年3月のひまわり9号の待機運用開始に伴い、ひまわり7号の気象ミッションは終了しました。

MTSAT-2 打ち上げ日 : 2006年(平成18年)2月18日
打ち上げロケット : H-ⅡAロケット9号機
打ち上げ場所 : 種子島宇宙センター
質量(燃料除く) : 約1,700kg
全長 : 約27m
運用停止 : 2017(平成29)年3月(気象ミッションの終了)

ひまわり8号

ひまわり8号は平成26年10月7日に種子島宇宙センターから打ち上げられました。軌道上試験の後、平成27年7月7日に観測をひまわり7号から引継ぎました。ひまわり7号に比べ、観測バンド数は約3倍、空間分解能は2倍、フルディスク観測の観測頻度は6倍になるなど大幅に観測機能が大幅に向上しました。観測機能が大幅に向上した新世代の気象衛星としては世界に先駆けて運用を開始することとなり、世界から大きな注目をもたれた衛星となりました。ひまわり8号は平成34年頃まで運用を行い、その後はひまわり9号のバックアップとして待機運用を行う予定です。

HIMAWARI-8 打ち上げ日 : 2014年(平成26年)10月7日
打ち上げロケット : H-ⅡAロケット25号機
打ち上げ場所 : 種子島宇宙センター
質量(燃料除く) : 約1,300kg
全長 : 約8m
設計寿命 : ミッション8年以上、本体15年以上

ひまわり9号

ひまわり9号は平成28年11月2日に種子島宇宙センターから打ち上げられました。軌道上の試験の後、平成29年3月10日からひまわり8号のバックアップとして待機運用を開始しました。ひまわり9号は平成34年頃まで待機運用を行い、その後、ひまわり8号と交代して運用を平成41年度にかけて行う予定です。ひまわり9号の待機運用の開始で、世界最先端の観測機能を有する「ひまわり8号・9号」の2機体制が確立し、平成41年度までの間、安定的かつ持続的な気象衛星観測を実施する体制が構築されました。

HIMAWARI-9 打ち上げ日 : 2016年(平成28年)11月2日
打ち上げロケット : H-ⅡAロケット31号機
打ち上げ場所 : 種子島宇宙センター
質量(燃料除く) : 約1,300kg
全長 : 約8m
設計寿命 : ミッション8年以上、本体15年以上

歴代ひまわりのあゆみ

日本の気象衛星のあゆみ(年表)
(PDF ファイル:150 KB)

観測バンド数の向上

ひまわり(初号機)からひまわり4号までは、可視1バンドと赤外1バンドの合計2バンドを搭載していました。ひまわり5号では、赤外を「赤外1」及び「赤外2」の2つのバンドに分割し、さらに「赤外3(水蒸気)」バンドを追加したことより、合計4バンドとなりました。その後、ひまわり6号・7号(MTSATシリーズ)では、「赤外4」バンドが追加され、合計5バンドになりました。2015年に運用を開始したひまわり8号では、観測バンドの数は16と、ひまわり(初号機)に比べ、8倍になっています。

歴代ひまわりの観測バンド
静止気象衛星

(ひまわり)
(GMS)
静止気象衛星
2号
(ひまわり2号)
(GMS-2)
静止気象衛星
3号
(ひまわり3号)
(GMS-3)
静止気象衛星
4号
(ひまわり4号)
(GMS-4)
静止気象衛星
5号
(ひまわり5号)
(GMS-5)
運輸多目的衛星
新1号
(ひまわり6号)
(MTSAT-1R)
運輸多目的衛星
新2号
(ひまわり7号)
(MTSAT-2)
静止気象衛星
ひまわり8号

(Himawari-8)
静止気象衛星
ひまわり9号

(Himawari-9)
観測
バンド
可視(0.5μm~0.70μm) 可視(0.55μm~0.90μm) 可視(0.47μm)
可視(0.51μm)
可視(0.64μm)
近赤外(0.86μm)
近赤外(1.6μm)
近赤外(2.3μm)
赤外4
(3.5μm~4.0μm)
赤外(3.9μm)
赤外(6.2μm)
赤外(7.0μm)
赤外(7.3μm)
赤外(8.6μm)
赤外(9.6μm)
赤外(10.4μm)
赤外(11.2μm)
赤外(12.4μm)
赤外(13.3μm)
赤外3
(6.5μm~7.0μm)
赤外(10.5μm~12.5μm) 赤外1
(10.5μm
~11.5μm)
赤外1
(10.3μm~11.3μm)
赤外2(11.5μm~12.5μm)
※中心波長を記載

観測頻度の向上

ひまわり(初号機)及びひまわり2号は、3時間ごとにフルディスク観測(衛星から見える地球全体の観測)を1日に8回、風計算のためのフルディスク観測(雲の動きを捉え上空の風を算出するための観測)を6回行い、1日で合計14回の観測を行っていました。1987年には、ひまわり3号により、3時間ごとのフルディスク観測に加え、毎時の北半球ハーフディスク観測(フルディスクの北側半分の観測)を開始しました。当初の3時間ごとの観測に比べ北半球では毎時の観測を得られるようになり、気象監視機能が大きく向上しました。また、1989年には、毎時のフルディスク観測を開始し、1日4回の風計算のためのフルディスク観測とあわせて、1日28回のフルディスク観測を開始しました。北半球に加え、南半球でも気象監視機能が大きく向上しました。その後、2005年に運用を開始したひまわり6号(MTSAT-1R)では、毎時のフルディスク観測に加え、1日32回のハーフディスク観測を開始し、日本周辺を含む北半球では30分に1回の観測が得られるようになりました。さらに、2015年に運用を開始したひまわり8号では、フルディスク観測は1日に142回、日本域観測と機動観測(台風や火山等の観測に利用)は1日に576回の観測を行っています。日本付近の気象衛星の観測は、ひまわりの3時間ごとからひまわり8号の2.5分ごとへと、70倍以上の頻度に大きく向上しています。

歴代ひまわりの観測頻度 (1日の観測回数)
観測の種類 静止気象衛星

(ひまわり)
(GMS)
静止気象衛星
2号
(ひまわり2号)
(GMS-2)
静止気象衛星
3号
(ひまわり3号)
(GMS-3)
静止気象衛星
4号
(ひまわり4号)
(GMS-4)
静止気象衛星
5号
(ひまわり5号)
(GMS-5)
運輸多目的衛星
新1号
(ひまわり6号)
(MTSAT-1R)
運輸多目的衛星
新2号
(ひまわり7号)
(MTSAT-2)
静止気象衛星
ひまわり8号

(Himawari-8)
静止気象衛星
ひまわり9号

(Himawari-9)
観測
回数
フルディスク 14回 14回 14回 13回 28回 28回 28回 24回 24回 142回 142回
ハーフディスク
(南北半球)
- - - 15回 - - - 32回 32回 - -
日本域,
機動観測
- - - - - - - - - 576回 576回

分解能の向上

ひまわり(初号機)からひまわり5号までのGMSシリーズでは、空間分解能は衛星直下で可視バンドは1.25km、赤外バンドは5kmでした。ひまわり6号・7号のMTSATシリーズでは、可視バンドは1km、赤外バンドは4kmに向上しました。ひまわり8号・9号では、可視バンドの最も分解能の高いバンド3は0.5km、赤外バンドは2kmとMTSATシリーズの2倍に向上しています。

歴代ひまわりの分解能 (衛星直下点での分解能)
静止気象衛星

(ひまわり)
(GMS)
静止気象衛星
2号
(ひまわり2号)
(GMS-2)
静止気象衛星
3号
(ひまわり3号)
(GMS-3)
静止気象衛星
4号
(ひまわり4号)
(GMS-4)
静止気象衛星
5号
(ひまわり5号)
(GMS-5)
運輸多目的衛星
新1号
(ひまわり6号)
(MTSAT-1R)
運輸多目的衛星
新2号
(ひまわり7号)
(MTSAT-2)
静止気象衛星
ひまわり8号

(Himawari-8)
静止気象衛星
ひまわり9号

(Himawari-9)
可視 1.25 km 1.25 km 1.25 km 1.25 km 1.25 km 1.0 km 1.0 km 0.5 km
1.0 km
0.5 km
1.0 km
赤外 5 km 5 km 5 km 5 km 5 km 4 km 4 km 2 km 2 km

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