静止気象衛星(GMSシリーズ)
静止気象衛星(Geostationary Meteorological Satellite:GMS)は「ひまわり」の愛称で知られている衛星です。 昭和52年7月に打ち上げられ、それ以降、ひまわり5号までの5機の運用が行われました。
目次
気象衛星計画の始まり
気象衛星としては、1960年に米国が地球の両極の上空を通る極軌道衛星TIROS-1を打ち上げたのが始まりです。
静止軌道には、これは正確には気象衛星ではないのですが、同じく米国が1966年に打ち上げた応用技術衛星ATS-1に、
地球を撮影するカメラを搭載していました。これにより地球の1/4の範囲の雲の分布などが詳細に分かるようになりました。
ただ、静止気象衛星1機では地球全体は観測できません。
そこで、世界気象機関(WMO)は複数の衛星により地球全体をカバーする観測網を構築しようとしていました。
このため、WMOは国際学術連合(ICSU)と共同で、1978年に地球全体の大気を観測する計画を実施することにしました。
この計画に日本も参画することとなったのです。
その計画、第一次地球大気開発計画全球実験(FGGE)は、当初は4機の衛星で観測する計画でした。
日本の衛星は、現在の東経140度ではなく、東経120度に配置される予定でした。
ところが実験直前になってロシアも参画することとなり、5機の静止衛星による観測網となったため、
日本の衛星の位置が日本の真南の東経140度になりました。その後、ロシアによる衛星開発が実験に間に合わなくなったため、
米国の待機衛星(GOES-1)により代替観測を実施しました。
こうして始まった国際協力による衛星観測網ですが、現在では多くの静止気象衛星と極軌道気象衛星で構成されています。
この中でも、気象庁は一環して東経140度近辺からの観測を継続しており、
東アジア・オセアニア・西太平洋地域の国々を含む国際社会に大きな貢献をしています。
TIROS-1による地球の画像(1960年4月1日)
https://www.nasa.gov/vision/earth/features/bm_gallery_3.html より
ひまわりの名前の由来
昭和50年に宇宙開発事業団(現宇宙航空研究開発機構)初の人工衛星が打ち上げられたとき、宇宙に花開け、という願いをこめて「きく」と名づけられました。 昭和52年に静止気象衛星が打ち上げられときも、いつも地球を見つめていることを、 天気に関係する衛星ということで太陽をイメージさせる名前がふさわしいということから「ひまわり」と名づけられました。 ただし、これはあくまでも愛称であり、ひまわり5号までの正式名称は、「静止気象衛星」「Geostationary Meteorological Satellite」、略してGMSでした。 なお、平成27年7月に運用を開始したひまわり8号は、正式名称が「静止気象衛星ひまわり8号」と正式名称も「ひまわり」です。 「ひまわり」は愛称から本名になりました。
観測の仕組み
「ひまわり」から「ひまわり5号」までのGMSシリーズの静止気象衛星は、衛星本体が回転するスピン安定方式の衛星です。 衛星搭載の可視赤外走査放射計(VISSR)の走査鏡を衛星が1回転する毎に1ステップずつ北から南へ動かします。 走査鏡を約25分間で2500ステップ動かすことで、衛星から見える地球全体を観測します。
歴代ひまわりの画像
歴代の「ひまわり」の運用開始の画像(可視画像)です。
ひまわり
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ひまわりの運用開始画像 1978年4月6日9時(日本時間)の可視画像 |
ひまわり2号
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ひまわり2号の運用開始画像 1981年12月21日15時(日本時間)の可視画像 |
ひまわり3号
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ひまわり3号の運用開始画像 1984年9月27日15時(日本時間)の可視画像 |
ひまわり4号
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ひまわり4号の運用開始画像 1989年12月14日9時(日本時間)の可視画像 |
ひまわり5号
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ひまわり5号の運用開始画像 1995年6月21日9時(日本時間)の可視画像 |
リンク
静止気象衛星(GMS)ひまわりの打ち上げ
ひまわり(初号機)は、昭和52年7月14日にケープカナベラルから打上げられました。
ひまわり5号の軌道離脱前の最後の画像
ひまわり5号は、「ひまわり6号」(輸多目的衛星新1号(MTSAT-1R))の気象ミッションの正式運用開始に伴い、2005年7月に運用を終了しました。
ひまわり5号は、設計寿命を大幅に超えた8年間に亘り、衛星画像の取得を行い、日本のみならずアジア・太平洋地域の気象業務に大きく貢献しました。
運用終了前の6月24日に最後の画像を取得しました。
ひまわり5号の軌道離脱前の最後の画像(可視画像)(2005年6月24日)