東北地方の地勢・気候・コラム

東北地方の地勢と気候

東北地方の地勢

図1 東北地方の地勢

 東北地方は、青森県、秋田県、岩手県、宮城県、山形県、福島県の6県を総称した地域である。南北は約530km、東西は約100~180kmと南北に長い地勢であり、面積は本州の約3分の1を占める(図1)。中央には、南北方向に連なる1000~2000m級の奥羽山脈がのびており、これを境として、西の日本海側と東の太平洋側に分けることができる。

 日本海側には、白神山地、出羽山地、朝日山地、飯豊山地、越後山脈が連なり、これらの山脈・山地の間を縫うように河川が流れ、河口付近には、北から、津軽平野、能代平野、秋田平野、庄内平野が広がっている。また、内陸部には横手盆地、山形盆地等、大小の盆地が点在している。

 太平洋側には、隆起地形が侵食されてなだらかになった北上高地と阿武隈高地が南北にのび、二つの高地に挟まれるように仙台平野が広がっている。岩手県から宮城県にかけて、太平洋に面する三陸海岸では、北上高地が海にせり出したリアス式の地形が見られる。南北に連なる山脈や高地の間には、北上盆地、福島盆地等、多くの盆地が形成されている。

東北地方の気候

写真1 宮城県 松島湾と船形連峰
松島四大観の一つ、大高森から眺めた松島湾。紅葉で色づいた島々の間を船が行き交う。260余りの島々が浮かぶ美しい景観は、遠い昔から松尾芭蕉をはじめ数多くの文人に讃えられた。

 東北地方は四季折々の変化に恵まれており、日本海側、太平洋側で大きく異なる気候特性を持つ。

 冬、日本付近は大陸に高気圧、日本の東海上から千島方面に発達した低気圧がある冬型の気圧配置となり、南北方向に等圧線がのびる。日本付近の等圧線間隔は年間を通じて最も狭く、北西の季節風が卓越する。東北地方の日本海側では、大陸から吹き出す冷たく乾燥した季節風が暖かい日本海を渡る際、海面から熱と水蒸気の補給を受けて雪雲が発生するため、日照時間が少なく、雪の降る日が多い。雪雲は山地にぶつかって上昇し、山沿いに大量の雪を降らせる。冬型の気圧配置が強まると、平地でも大雪となり、交通機関の混乱、除雪や雪下ろし作業中の事故の発生など、市民生活に多大な影響をもたらす。

 一方、太平洋側では季節風が奥羽山脈を越える際に乾燥するため、沿岸地域や平野部を中心に乾いた晴天となることが多い。強い寒気に覆われると雪が降ることもあるが、東北地方南部の太平洋沿岸で長期間積雪が続くことはまれである。

 春が近付くと、大陸の高気圧の勢力が弱まり、日本の東海上に太平洋高気圧が現れる。東北地方を低気圧と高気圧が交互に通過していく。低気圧の通過前には南よりの風が強まり気温が上昇し、通過後は一時的に冬型の気圧配置となり、寒の戻りにさらされる。日本の南岸を通り三陸沖を北上する低気圧は、ときとして太平洋側に湿った大雪をもたらす。日本海を低気圧が進むと暴風が吹き荒れることもあり、寒暖を繰り返しながら、次第に気温が上昇していく。4月も終わりになると、太平洋高気圧が西に張り出す一方、大陸の高気圧の勢力は弱まり、東北地方は移動性高気圧に覆われることが多くなる。東北地方で、一年のうち最も日照時間が多いのはこの時期である。

 6月から7月にかけては、日本の北にあるオホーツク海高気圧と日本の南海上から張り出す太平洋高気圧の境目に梅雨前線が現れ、季節の進行とともに東北地方を北上する。梅雨末期には前線の活動が活発になり局地的な豪雨に見舞われることがある。

 梅雨明け後の盛夏時には、西へと張り出した太平洋高気圧に覆われ、安定した晴天が続く。日本海側では、山地を吹き下ろす風が、ときとしてフェーン現象を引き起こし、非常に高温となることがある。一方、太平洋側ではオホーツク海高気圧から吹き出す冷たく湿った東寄りの風(ヤマセ)の影響を受け、沿岸地域を中心に曇りや雨の日が続き低温となることがある。ヤマセによる悪天は、農作物の生育を阻害し、過去幾度も冷害を引き起こしてきた。日本海側では、奥羽山脈に遮られるためヤマセの影響をほとんど受けず、晴天が続き、太平洋側に比べ気温は高い。

 短い残暑が過ぎると、秋雨前線が東北地方を南下する。北上する台風の影響を受けることも多い。太平洋側では、9月が一年で最も降水量の多い月である。10月に入ると、大陸の高気圧が発達し、その一部が移動性高気圧となって東北地方を覆い爽やかな晴天が続く。季節が進み、気圧の谷の通過後に冬型の気圧配置が強まるようになると、高い山から雪に覆われはじめる。日本海側では雨やみぞれの天気が増え、次第に平地でも雪が積もりはじめ、冬へと季節が移り変わっていく。


東北地方の気象観測

図2 東北地方の気候変化の調査に利用した観測点

 東北地方の気象観測は、1881年(明治14年)に現在の宮城県東松島市野蒜(のびる)に内務省地理局直轄の野蒜測候所が設立されたことに始まる(石巻測候所,1981)。その後、県や地元有志などにより、各地に測候所が設けられ、気象の観測が行われるようになったが、観測の方法や統計の取り方は測候所によって異なっていた。1886年に「気象観測法」が定められ、それ以後は全国で統一した観測法及び統計法が用いられている。

 現在は、仙台管区気象台と5か所の地方気象台及び11か所の特別地域気象観測所(旧測候所、現在は無人化され自動観測となっている)で地上気象観測を行っている。また、1974年以降、アメダス(地域気象観測システム)を運用して気温・降水量等の自動観測を行っており、2017年1月現在、213地点で観測を行っている(気象台、特別地域気象観測所を含む)。

 気象台と特別地域気象観測所のうち、図2に示す6地点(青森、秋田、宮古、石巻、山形、福島)では、19世紀末からの120年以上の観測データが残っており、それをもとに東北地方の気候変化を把握することができる。

 日本海側の気候の例として、青森、秋田、山形の3地点平均の月平均気温、月降水量、月間日照時間の平年値を図3に示す。同様に、太平洋側の気候の例として、宮古、石巻、福島の平年値の3地点平均値を図4に示す。日本海側は、太平洋側に比べ11月から2月の降水量が多く日照時間が少ない。太平洋側は、日本海側に比べ6月から9月の日照時間が少なく、9月が年間を通じて最も降水量が多い。

写真2 宮城県 野蒜測候所跡
石巻測候所の前身であり、東北地方の気象官署発祥の地である野蒜測候所跡の石碑(東松島市)。鳴瀬川河口の野蒜築港は、明治政府が日本初の近代港湾として1878年に着工したが、台風の被害を受け計画は断念された(この石碑は2011年3月11日の津波で一時流失したが、発見され再設置された)。
図3 東北地方日本海側(青森・秋田・山形)の月平均気温、月降水量、月間日照時間の平年値
左図は日平均気温・日最高気温・日最低気温の月平均値(℃)、中図は月降水量(mm)、右図は月間日照時間(h)。それぞれ青森・秋田・山形の平年値(1981~2010年の30年平均値)を平均した値。日照時間は1986年に測器変更があったため、変更前の値を補正している。
図4 東北地方太平洋側(宮古・石巻・福島)の月平均気温、月降水量、月間日照時間の平年値
宮古・石巻・福島の平均値である以外は、図3と同じ。日照時間は、宮古、福島は1986年、石巻は1987年に測器変更があったため、変更前の値を補正している。

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