東京管区気象台長からのご挨拶

台長メッセージ  東京管区気象台のホームページをご覧いただき、ありがとうございます。台長の藤川 典久(ふじかわ のりひさ)です。
 このたびの令和6年能登半島地震により亡くなられた方々に心からお悔やみを申し上げるとともに、被災された全ての方々にお見舞いを申し上げます。 

 東京管区気象台は、昭和20年8月に東京・大手町に創設されました。以来、長らく大手町の気象庁本庁庁舎内で業務を行ってきましたが、令和元年7月に現在の東京都清瀬市の気象衛星センター敷地内に移転し、令和8年には創立80周年の節目の年を迎えます。
 当台は、管内の関東甲信(1都8県)、北陸(4県)、東海(4県)の1都16県を管轄しています。管内各県には地方気象台があり、気象・地震・津波・火山などの観測・予報やさまざま情報発表等の業務を行っています。また、羽田、成田、中部の各国際空港には航空地方気象台があり、航空機向けの観測や気象情報の提供を通じて航空機の安全運航を支えています。

 日本の脊梁山脈がそびえる広い管内では、日本海側、太平洋側、内陸性と異なる3つの気候区分がみられ、小笠原諸島は亜熱帯の気候となっています。普段は、それぞれの気候がもたらす毎日の天気を享受して暮らしていますが、自然は時に牙を剥き、大雨、大雪、暴風等による災害をもたらします。近年の地球温暖化の進行は、熱中症の危険を高めているだけでなく、大気中の水蒸気が増えることによって、雨の降り方にも影響し、短時間の大雨が増加してきています。これに伴い、土砂災害や洪水、浸水の災害発生のリスクも増加しており、実際に毎年各地でこのような災害が発生しています。

 また、我が国は4つのプレートの境界上に位置しており、今後、南海トラフ地震や首都直下地震の発生が懸念されます。これらへの対策が進められる一方で、冒頭で述べたとおり、 令和6年1月1日からの令和6年能登半島地震で最大震度7を観測し、甚大の被害が発生する等、地震による被害は日本のどこかで毎年のように発生しています。さらに、管内には過去に大きな被害をもたらした浅間山や富士山など多くの活火山が存在し、火山噴火への準備も必要です。

 これまでの人生で経験のない事に対して、日頃からの十分な備えと、いざというときに身の安全を守る的確な行動を取れることが大事です。自然の牙から住民の皆様を守るため、当台は、日々管内の気象台と連携して適時・的確な防災気象情報の発表に努めています。特に、自治体の防災対応の支援として、平時からのコミュニケーションを通じて信頼関係の構築に努め、緊急時には都県や市区町村に出向いて直接解説を行い、事後には協力して対応に係る検証を行って改善につなげています。また、地域住民に対する普及啓発にも積極的に取り組んでおり、地域の防災力向上に向けた様々な取り組みを強化しています。

 今後もこれらの取組を通じ、自然災害からの防災・減災、地域の皆様の安心・安全の確保に努めてまいります。このホームページをご覧いただき、私たち東京管区気象台や気象業務への関心を深めていただく良い機会となれば幸いです。

令和6年4月1日 東京管区気象台長 藤川 典久