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沿岸防災業務
和歌山地方気象台では、和歌山県にある和歌山・白浜・串本・浦神(那智勝浦)の4カ所の検潮所と御坊の水位観測所にて、海面の高さ(潮位)を常時観測しています。得られたデータは、潮汐、津波、高潮、異常潮などの調査研究だけでなく、地殻変動や海況変動、地球温暖化による海面の上昇など様々な分野の基礎資料として利用されています。
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1.和歌山県の潮汐観測施設(気象庁管轄)
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和歌山県内には、和歌山・白浜・串本・浦神(那智勝浦)の4カ所の検潮所と御坊に水位観測所があって、海面の高さ(潮位)を常時観測しています。
和歌山・白浜・浦神(那智勝浦)の検潮所は、海岸に設置した井戸に導水管を通じて海水が導かれ、井戸内の水面の高さが海面の高さと等しくなるようになっており、井戸の真上に設置された検潮儀とよばれる観測機器からワイヤでつながれた浮き(フロート)を水面に浮かべます。浮きの上下運動(海面の変動)はワイヤを通じて検潮儀に伝わる仕組みになっています。
串本の検潮所及び御坊の水位観測所は、測定管とよばれる管が海中に向けて下され、測定管内部の水面の高さが海面の高さと等しく保たれており、管内部の水面に向けて音波を発信し、その返ってくる時間から海面の高さ(潮位)を測るものです。
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2.異常潮
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異常潮は、異常潮位と副振動(セイシュ)の2つに区別されます。
異常潮位は津波や高潮のように発生原因がはっきりとしているものを除いた、潮位の異常な上昇又は下降現象を言い、副振動のような短い振動現象で急激に潮位が高く(低く)なることはありませんが、数10pの海面の昇(降)が数日から数十日の間続く現象のことをいいます。
夏場から秋にかけての平常潮位が高い時期に異常潮位が発生し、低気圧などの通過が重なると更に潮位が上昇して、低地では浸水被害を起こすことがあります。
図1は、1999年9月から12月の三重県鳥羽市の日平均潮位を示したグラフです。
水色の曲線は、平常潮位(推算潮位)です。赤色の曲線は、実際に記録した(実測)潮位です。9月末から11月上旬にかけて、実測潮位が高くなっています。
図2にその時の実測潮位と推算潮位の差(潮位偏差)を棒グラフで表しています。このグラフから、最大40p程度平常より高くなったことがわかります。この時には、鳥羽港で床下浸水の被害が出ました。
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図1:1999年9月から12月の鳥羽検潮所の日平均潮位っ
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図2:1999年9月から12月の鳥羽検潮所の潮位偏差(日平均潮位)
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副振動(セイシュ)は、湾や海峡などで発生する水面の振動現象をいいます。周期は数分から数十分程度、振幅は数センチから数十センチで、急激に潮位の変動が起こることもあります。長崎で起こる「アビキ」と呼ばれる現象は副振動の顕著な例です。以下に昭和54年3月に起きた「アビキ」について説明します。(「海と安全」'98-9 今井正直から)
長崎湾では、春先を中心に、多くは穏やかな晴天時に、数10分の周期を持つ顕著な海面の振動が発生します。これは、長崎湾の副振動(満潮と干潮による大きな海面の振動を主振動と考え、これに対して周期が数10分程度の港湾の固有振動を副振動と呼びます)で、アビキと呼ばれ、この土地では古くから知られています。アビキという名称は、湾内での漁において網が流されること=「網引き」が語源であると言われています。
この副振動は奥まった内湾なら大なり小なりどこにでも発生していて、特に珍しいわけではありませんが、長崎湾の副振動は他の湾に比べて振幅が非常に大きく、しばしば被害を出します。
副振動は、通常、風、気圧の急変、津波、高潮等を原因として海洋に発生する長波により誘起されますが、長崎湾の副振動は、台風の通過の様な激しい気象擾乱の時にはあまり発達せず、春先の晴天時に通過する気圧の微少変動によって励起されることが多いのが特徴です。また長崎湾では、港湾の固有周期と外海から入ってくる長波の周期が近く、共鳴し易いため、副振動の振幅が大きくなります。
アビキ時には、係船した船の流出、沿岸施設の破損、荷役への影響、大潮期の満潮時ならば低地への浸水、干潮時ならば小型船の座礁等の被害が発生します。
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気象庁では、常時、潮位を監視していて、状況に応じて情報などを発表しています。
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「潮位情報」等が発表された時は十分注意してください。
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3.高潮
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台風が近づいてくると、低い気圧の効果(吸い上げ効果)と、強い風で海水が吹き寄せられる効果(吹き寄せ効果)で海面が上昇します。これが高潮です。遠浅の海や、風が吹いてくる方向に開いた湾の奥では特に潮位が高くなります。
吸い上げ効果によって、一般に気圧が1hPa低くなると海面は約1p上昇すると言われています。例えば、それまで1000hPaだった所で、中心気圧950hPaの台風が接近すると、台風の中心付近では約50p高くなり、その周辺でも気圧の低下に応じて海面は高くなります。
吹き寄せ効果による海面の上昇は風速の2乗に比例します(風速が2倍になると、海面の高まりは4倍になる)。また、吹き寄せ効果は、水深が浅い海域が広がっている程大きくなるという性格があります。このため、大阪湾、伊勢湾や有明海等の内湾で過去に大きな高潮が発生しています。
潮位はふつう、月や太陽の引力などの影響で1日に2回上下します(満潮と干潮)。高潮と満潮が重なると一段と潮位が高くなって非常に危険です。平成12年台風第18号では、熊本県八代海で大きな高潮が発生し、不知火町では、12名の方が亡くなるという大きな災害が発生しました。この時には、満潮まで時間があるとして、避難勧告を出すタイミングが遅れるということがありました。下図の平成10年台風10号の例でもわかるように、干潮時刻に来襲する場合でも決して安心できません。
高潮災害の防止のためには、満潮時刻だけでなく、台風の来襲時を中心に気象情報に十分注意して早めに警戒と対策をとることが大切です。
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4.潮汐観測に関する用語の解説
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ここでは、 「潮汐観測」に使用する基礎的な用語(現象を表す用語、
観測用語、 観測施設に関する用語、報告・予報に使用する用語に関する用語)の解説をしています。なお、解説文中に用いた記号の説明は次のとおりです。
「 」 :語句の読み方、〈 〉: 語句の同義語、[ ]:語句の英語表現、( ):語句の補足説明または参考、 ⇔:語句の反意語。
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