陸羽地震


はじめに

 1896年(明治29年)8月31日、秋田県と岩手県の県境付近に南北方向に延びる横手盆地東縁断層帯と岩手県側の真昼山地東縁断層帯でマグニチュード7.2の地震が発生しました。秋田県と岩手県を中心に強い地震の揺れが生じ、被害状況などから震源域付近では震度5から6相当の揺れとなり、一部では震度7相当の揺れとなったと推定されています。
 この地震による被害は、秋田県仙北郡・平鹿郡、岩手県西和賀郡・稗貫郡で大きく、秋田県内で205人の方が、岩手県内で4人の方が亡くなりました。また、秋田県内では仙北郡の長信田・千屋・畑屋・飯詰・六郷等の町村(長信田は現在の大仙市太田町、ほかは現在の美郷町)では、住家全潰率が全戸数の40%以上となり、犠牲者の大多数が建物の倒壊により亡くなられました。
 過去の災害を振り返り、地震への備えを改めて確認していただくために、このページをご活用ください。


地震の概要等

陸羽地震(日本被害地震総覧引用)

発生時刻 1896年(明治29年)8月31日17時06分
震央 秋田県・岩手県境
北緯 39.5度
東経 140.7度
マグニチュード 7.2

活発な地震活動

 8月23日から前震があり、多くの地震が発生していました。23日15時56分の前震(M5 1/2)の揺れは強く、秋田県と岩手県の県境の仙岩峠付近で道路の亀裂、壁土の墜落等の被害がありました。また、秋田測候所(現在の秋田地方気象台)の観測では8月31日は朝から地震が続発し、7回の有感地震を観測しています。そのうち、16時37分にも強い揺れを感じる地震があるなど、活発な地震活動がありました。その後、17時06分に最も強い揺れが発生しました。

8月31日17時06分の地震

 8月31日17時06分に最も強い揺れを伴う地震が発生しました。当時は現在と震度階級が異なり「微・弱・強・烈」の4段階でしたが、現在の震度に置き換えると震源域付近では震度5から6相当の揺れとなり、一部では震度7相当の揺れとなったと推定されています(なお、平成8年(1996年)4月以降の震度は「計測震度計」によって測定され、震度階級の震度5と震度6を、それぞれ「弱」と「強」に細分化しています)。
 仙北郡の長信田・千屋・畑屋・飯詰・六郷等の町村では住家全潰率が40%を超える大きな被害が発生しました。また、この地震で秋田県では千屋断層、岩手県では川舟断層に地表のずれが生じました。
陸羽地震の震度分布(現在の震度階級に換算したもの)
(地震調査研究推進本部のHPより)
陸羽地震による住家全潰率(地震調査研究推進本部のHPより)

千屋断層

  横手盆地東縁断層帯北部の一部の断層。この地震により、断層の東側が西側に対して最大3.5メートル隆起しました。

参考

秋田県内の郡役場・町村役場からの報告

 秋田地方気象台には、秋田県内の郡役場・町村役場から提出された地震についての報告書(地震報告)が保管されています。被害の大きかった千屋村(現在の仙北郡美郷町)からの地震報告では8月23日に強震(4段階の階級のうち上から2番目)があったこと、8月31日には朝から多くの地震による揺れがあり、午後5時過ぎに「大烈震」が発生したことが報告されています。当時の震度観測では「微・弱・強・烈」の4段階で報告することとなっていましたが、通常の「烈」では表現できない激しい揺れであったと思われ、大烈震と報告しています。

仙北郡千屋村(現美郷町)からの地震報告
8月23日、24日の地震の報告
8月31日の地震の報告、午後5時に「大烈震」との記述がある。

余震活動

 31日17時過ぎの本震の後も地震活動が活発な状態が続きました。秋田測候所では17時06分の本震の後に52回の有感地震(本震及び本震前の地震を含めると31日は60回)を観測しています。その後も地震活動が活発な状態が続きました。また、震源に近い仙北郡角館町(現在の仙北市角館町)では、日別余震回数の図に載っていない9月15日以降も9月30日ころまで1日に4~5回程度の有感地震があったことが報告されています。
秋田測候所で観測された有感地震回数の推移
仙北郡角館町役場からの地震報告。9月15日から30日までの1日ごとの地震回数が報告されている。

地震による被害の特徴

 秋田県内では陸羽地震により205名の方が亡くなり、736名が負傷しました。また、5,000棟以上の建物が全潰するなど多くの建物に被害が出ました。秋田県内の犠牲者のうち原因が判明している方は、家屋倒壊が176名(91%)、土砂災害が10名(5%)、火災が2名(1%)となっています。建物の倒壊による死者が圧倒的に多いのが特徴です。

死者の被害要因別割合(1896.8.31 陸羽地震の人的被害に関する文献調査より)
年齢別・性別の死亡者比率(判明分)棒グラフ上の数字は死者数
(1896.8.31 陸羽地震の人的被害に関する文献調査より)

被害写真

六郷町行在所跡全潰
六郷町大町住家並びに土蔵全潰
 (写真は震災予防調査会報告第77号より)

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地震から身を守るために

 日本は、世界有数の地震大国で、これまで多くの地震や津波による災害を経験してきました。秋田県内でも「陸羽地震」や「日本海中部地震」のように地震や津波による被害を受けています。
 突然襲ってくる地震から身を守るためには、過去の地震を知り、また、気象庁の発表する各種情報を理解し、建物の耐震化や家具の固定、迅速な避難(安全確保)など日頃からの備えをお願いします。

関連リンク

参考資料・出典

  • 今村明恒, 1913: 明治二十九年ノ陸羽地震,震災予防調査会報告,77,78-87.
  • 水田敏彦・鏡味洋史, 2009: 1896.8.31陸羽地震の人的被害に関する文献調査, 日本建築学会技術報告集,15,31,963-966.
  • 秋田測候所, 1897: 秋田測候所地震観測表, 震災予防調査会報告, 11, 113-120.
  • 宇佐美龍夫,2013: 日本被害地震総覧, 東京大学出版会,236-239.
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