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航空機に影響を及ぼす気象現象

向かい風と追い風

風向風速計

航空機と大気との相対速度を、大気速度といいます。
航空機が離陸時に向かい風で滑走すれば、短時間で離陸速度に達するので滑走距離は短くなり、着陸時に向かい風のときは、そのときの対地速度は無風のときより小さいから、滑走距離は短くなります。
追い風の場合はこれと逆で対地速度は大気速度より大きくなるので、離陸や着陸のとき滑走距離は伸びます。
航空機が着陸する際、向かい風が急激に弱まると着陸地点より手前に着陸するか、最悪の場合失速して墜落してしまいます。
また、向かい風が急激に増加すると滑空しすぎてオーバーランの恐れがあります。
このように風向の急変、特に向かい風の急激な変化は着陸時の操縦に大きく影響します。

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横風

滑走路に対して直角方向の成分を横風といいます。
横風が強くなると、滑走路からはずれたり、翼端を地面に接触させたりする危険性が高くなり、航空機の操縦が難しくなります。
このため、一定の強さ(最大横風限界)以上では航空機を離着陸させないように決められています。最大横風成分は、航空機の種類や滑走路の状態で異なり、また航空会社によっても違います。
この事から、滑走路の方向はその空港で最も風の吹きやすい方向と一致させて作られています。
中部国際空港では、3500mの滑走路が 360°~180°の方向(磁方位)に作られています。

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強風とガスト

風は強くなったり弱くなったり、また風向も変動しながら不規則に吹くのが普通です。
風速が短時間に不規則に変化する現象を風の息(ガスト)といいます。
ガストは、地物や地形等によって作られた渦の通過や、上空の寒気の急激な下降等によって発生します。
強風は航空機の離着陸を困難にし、場合によっては離着陸が不可能となる場合があります。さらに、風速や風向の変動は航空機の揚力を急激に変化させ操縦を困難にします。
強風の原因としては、台風、低気圧、前線、季節風の強まり等があり、一般的にガストを伴います。
このため、気象台では一定の基準以上の風速や風向の変動に対し特別観測を実施しています。

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低層ウィンドシアー

鉛直または水平方向の風速や風向の差をウィンドシアーと言います。
航空機がウィンドシアーの大きな領域を横切るときは大気速度が急変し、これにともない揚力が急変します。また、大きなウィンドシアーは乱流を発生させ、航空機の操縦に悪影響をもたらします。
特に大型の航空機は離着陸時に失速寸前の限界付近で飛行しているため、低層のウィンドシアーの存在は重大な影響を及ぼします。
また、雷雨に伴うダウンバースト(下降噴流)は極く下層に強いウィンドシアーを発生させると共に、強い下降気流によって航空機の揚力を失わせ墜落等の重大事故につながる危険があります。

ダウンバースト
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視程障害現象

視程を悪化させる主な現象として以下のものがあります。
・煙霧、煙、砂塵、黄砂など大気中のチリや砂などによるもの。
・霧や降水現象-雨や雪によるもの。

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雲量と雲底の高さ

雲の底の部分を雲底といいます。
雲の量が増えて雲底の高さが低くなると、着陸時に滑走路を視認できる高さが低くなり、航空機の着陸が出来なくなります。
中部国際空港の場合、雲底高度が100ft未満になると離着陸が出来なくなります。

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雲の種類とその影響

さまざまな雲の中で離着陸に影響のある雲は、層雲(St)、層積雲(Sc)、乱層雲(Ns)、積雲(Cu)、積乱雲(Cb)などがあります。
層雲:雲層は薄く地表面近くに発生するので、離着陸の大きな障害となります。
層積雲:下層大気がやや不安定で湿潤であるとき、発生しやすく、四季を通して最も発生頻度の多い雲です。
乱層雲:雲底高度が非常に低く、一様な雲底高度ではないことが特徴です。雲底高度が低いため、鉛直視程を悪化させたり、降水を伴う場合は、視程の悪化を伴います。
積雲・積乱雲:積雲が非常に発達したものを積乱雲といいます。積乱雲は、乱気流を発生させ、強雨、ひょう、あられ、強風、突風、雷等を伴います。このため航空機の運航に与える影響が大きく最も警戒しなければならない雲です。
飛行場周辺での積乱雲の移動や盛衰を知ることが大変重要となるため、中部国際空港では、ドップラーレーダーを使って積乱雲に伴う降水域の強弱や気流を詳しく観測しています。

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積乱雲と雷電

雷電は航空機の計器に一時的な誤差を誘発することがあります。また、電光放電によって生じる電波が無線の送受信機を狂わせることがあります。
航空機への落雷は機体に穴をあけたり、コンピューターに損傷を与えることもあります。

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ダウンバースト

積乱雲の下で起こる下降気流が地表付近まで下降し、放射状に発散する破壊的な強風をダウンバーストといいます。
飛行中の航空機の操縦が非常に困難となり、特に離着陸時にダウンバーストに遭遇すると、失速し墜落する危険があります。 ダウンバーストは水平方向の広がりの大きさでマクロバーストとマイクロバーストに分けられています。
マクロバーストは大型で、風は水平方向に4km以上の広がりがあり、風速が60m/s(120Kt)に達することがあります。
マイクロバーストは小型で大きさは4km未満ですが、風速は75m/s(150Kt)に達することがあります。 マイクロバーストは、雨量レーダーでは捕らえることができません。空気の流れや移動方向、移動速度を観測できるドップラーレーダーによって、探知することができます。
空港気象ドップラーレーダー局舎
空港気象ドップラーレーダー局舎

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気温

航空機の離着陸には気温が影響します。
離陸時に気温が高いと空気の密度が小さくエンジンの出力が低下するので、所定の速度に達するまでに時間がかかります。
また、揚力は空気密度に左右されるので、気温が高く空気密度の小さい時には、必要な揚力を得るまでに長い滑走路が必要になります。
このため、滑走路上の気温は、離着陸する航空機の積載量にも大きく影響します。

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