ホームページご覧の皆さん、はじめまして彦根地方気象台職員です。
このコラムが掲載される頃、さくらの開花についての話題が多くなってきます。
気象台では生物季節観測という業務があり指定した植物(うめ、さくら、あじさい、すすき、いちょう、かえで)で標本(木)を定めて季節の進み具合や気候の違い、変化など、総合的な気象状況の推移を知るために観測しています。
さくらについては開花日と満開日の観測を実施しています。開花日とは、標本木で5~6輪以上の花が開いた状態となった最初の日をいい、満開日とは、標本木で約 80%以上のつぼみが開いた状態となった最初の日をいいます。観測の対象は主に「そめいよしの」です。「そめいよしの」は江戸末期からはじまる品種で、九州から北海道の石狩平野あたりまで植栽されているといわれています。「そめいよしの」は「えどひがん」と「おおしまざくら」の交雑種で、「そめいよしの」が生育しない地域では、「ひかんざくら」(南西諸島)、「えぞやまざくら」(北海道の一部)を観測します。
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さくらの観測について、全国の観測対象地点(58地点)で開花日の観測を実施しており、1953年以降の経年変化を示したものが右図です。黒い折れ線は平年差(観測地点で現象を観測した日の平年値(1991~2020年の平均値)からの差を全国平均した値)を、青い折れ線は平年差の5年移動平均値を、赤い直線は長期的な変化傾向(トレンド)を示しています。右図から「さくらの開花日」の長期的な変化傾向(トレンド)は、10 年あたり 1.2 日程度早くなっています。
参考までに彦根地方気象台のさくらの開花日の早い順を調べたものが下の表となり、さくらの開花の観測を開始した1953年から2025年までの上から10位までを記載しました。結果1990年以降、早い開花日がランクインしています。原因としては様々な要因が考えられますが、長期的な気温上昇が影響しているものと考えられます。
様々な場所に植栽されているさくらですが、名所や公園などで花見を楽しむほか、少し視点を変えて町全体を見渡すことのできる場所、例えば山や高いビルの展望スペースから、さくら色になった町なみを観るのも楽しいひと時かも。
令和8年3月
彦根地方気象台

















