彦根地方気象台のコラム「冬のレジャーの備え」

気象台と紅葉

ホームページをご覧のみなさまこんにちは。 彦根地方気象台の小林祥悟です。通信・情報を担当しています。

11月になって、気温が下がり、暖房器具が活躍する季節となりました。気象台では毎年初冠雪を観測しており、昨年は標高の高い伊吹山は11月23日(平年値は11月20日)、比良山は11月27日(平年値は11月21日)でした。11月下旬には平地でも雪の降る地域があり、昨年の彦根の初雪は12月17日(平年値は12月10日)に観測しました。

毎年のことではありますが、大雪とはならない場合でも、道路に雪が積もれば、車のスリップ事故や人の転倒などで思わぬけがをすることがあります。雪の降る前の11月下旬頃には早めに車のタイヤを冬用に交換したり、滑り止めのついた靴を準備しておいた方が良いでしょう。

冬といえば、スキーやスノーボードといったレジャーを思い浮かべますが、中には登山を楽しむ方もいらっしゃるのではないでしょうか。

しかし、山の天気は変わりやすく、先ほどまでは晴れていても、急に吹雪に巻き込まれることがあります。

私は伊吹山山頂にあった伊吹山測候所(現在は閉鎖)で勤務していたことがあります。1週間交代で職員が伊吹山測候所に泊り込み勤務をするのですが、ある冬の勤務終了後の下山時に経験豊富なガイドと一緒であったにも関わらず、吹雪に巻き込まれ、急に視界が悪くなり、方向感覚も無くなり遭難をしかけたことがありました。

また、これからは比良山麓付近で吹く局地的な強風(比良おろし)が吹きやすくなることから、突風などによる被害も増えてきます。

楽しいレジャーが命の危険にさらされることのないように、事前に天気予報を確認し、防寒対策や食料の確保、登山届を提出するなど、充分な事前準備を行い冬のレジャーを楽しんでください。


令和4年 11月

彦根地方気象台

小林 祥悟


彦根地方気象台のコラム(過去分)

おおむね1年分を掲載予定です。

    • 令和4年10月「庁舎の紹介」
      • 古 新

        ホームページをご覧のみなさま、こんにちは。彦根地方気象台で業務係長をしています神谷元幹です。職務内容としては総務会計といった事務全般を担当しています。

        私からは、彦根地方気象台の特徴ある庁舎についてお話しさせていただきます。

        彦根地方気象台の第一庁舎は昭和7年(1932年)に建設された鉄筋コンクリート造の洋風建築であり、貴重な近代建築のひとつです(写真 右)。昭和43年(1968年)の改修工事により外壁や窓周りの意匠が変更されていましたが、平成23年(2011年)の大規模な改修工事で建設当時の姿に蘇りました(写真 左)。

        外壁はタイル貼りに戻しましたが、内装は建設当時のままの1階から搭屋まで螺旋状に上る木造りの階段・手摺や放物線アーチの特徴的な窓、壁の漆喰装飾、床面タイル、1階玄関の照明、玄関枠と大変趣のある意匠が施されています。

        また、意匠を損なわない工法により耐震補強も行っており、建設当時のものはできる限り残しつつも、地震に強い建物に生まれ変わっています。

        現在は新型コロナウイルスによる影響のため、気象台を気軽に見学に来ていただける状況とはなっておりませんが、彦根地方気象台のHPには建物の紹介動画も掲載しておりますので、是非ご覧いただけたらと思います。

        余談にはなりますが、右の写真には無線アンテナの鉄塔や観測のための百葉箱が写っています。しかし現在は、インターネットの普及や観測機器の隔測化などにより鉄塔や百葉箱は無くなっています。


      • ※隔測化とは
        気温や降水量の観測機器(感部)は露場と言われる芝生の上にありますが、測定は建物の中の観測装置で行っています。このように感部から離れた場所で測定することを言います。

      • 令和4年 10月

        彦根地方気象台

        神谷 元幹


    • 令和4年9月「台風の話」
      • 倒れた木

        ホームページをご覧のみなさまこんにちは。 彦根地方気象台の加藤真司です、昨年9月には滋賀県の気象災害についてのお話をさせていただきましたが、今回は私が彦根地方気象台の予報官時代に経験した台風の話をします。

        特に鮮明に記憶しているのは2004年6月の台風第6号により、近江八幡市の新幹線が並走している国道8号線沿いにあるホテルの大きな屋根が風により国道を飛び越え新幹線の架線に覆いかぶさって架線が切れたため7時間も新幹線が運休したほか、ビニールハウスの倒壊や倒木、トラックの横転、停電など、県内各地で暴風による被害が多数発生しました。(台風第6号 平成16年(2004年) 6月18日~6月22日)

        台風はこのような暴風災害とあわせて大雨による災害も忘れてはいけません。

        特に日本列島の近くに前線が停滞しているときなどは台風が遠くにあっても大雨災害が起こることがあります。2013年9月の台風第18号では日本海に前線があって台風最接近の前日15日午後には強い雨が降り始め、夜間には局地的に非常に激しい雨となり16日早朝には大雨特別警報が発表されました。県内各地では、河川の増水や氾濫、土砂災害が発生しています。ご記憶の方も多いのではないでしょうか。

        台風接近前に気象台が発表する台風情報や気象情報などに留意して、市町から避難指示等を確認することは重要なことですが、夜間の避難はとても危険です。このため避難指示を待つことなく明るいうちに自助、共助(最近は自分の家から2~3件くらい隣に対する近助という言葉もあるようです)による早い避難行動をとることは命を守るうえでとても大切なことです。その備えとして非常持出袋などを常備しておくとよいでしょう。


        令和4年 9月

        彦根地方気象台

        加藤 真司


    • 令和4年8月「積乱雲のもたらす急な大雨、雷、突風」
      • 積乱雲

        ホームページをご覧のみなさまこんにちは。彦根地方気象台の片岡彩です。昨年12月のコラムで雪のお話をさせていただきましたが、季節は進み8月、夏真っ盛りです。みなさんは、夏の雲といえばどのような雲が思い浮かびますか?もくもくとした入道雲、いわゆる積乱雲を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。遠くから見る積乱雲は、夏の青空に映えてとても綺麗です。しかし、積乱雲の下では、雷が鳴り、どしゃぶりの雨となっていることがしばしばあります。

        発達した積乱雲がもたらす雨は、雷を伴って短時間に狭い範囲で激しく降ります。大雨によって普段は穏やかな川が急に増水したり、低地やアンダーパス(線路や道路をくぐる地下部分)が冠水するなどして、災害が発生することがあります。雷は、積乱雲の位置次第で海面、平野、山岳など場所を選ばず落ちます。たとえ雷の音が遠くで聞こえても、すでに危険な状況で、自分のいる場所にいつ雷が落ちてもおかしくありません。また、積乱雲からは竜巻やダウンバースト、ガストフロントといった突風もしばしば発生し、短時間で大きな被害をもたらすことがあります。

        先日、友人と「さっきまで晴れていたのに、出かけようとすると急にどしゃぶりの雨になった。」というような会話をしました。このような経験のある方は多くいらっしゃると思います。「真っ黒い雲が近づいてきた」「雷の音が聞こえてきた」「急に冷たい風が吹いてきた」というのは積乱雲が近づいてくるしるしです。こういったことを感じられたら、すぐに危険な場所から離れ、丈夫な建物に避難するなどしてください。気象庁では、発達した積乱雲が引き起こす急な大雨、雷、竜巻等の激しい現象に対し、率先して身の安全を図っていただくことを目的にビデオを作成しています。ぜひ一度ご覧になってください。(防災啓発ビデオ「急な大雨・雷・竜巻から身を守ろう!」

        気象台では、積乱雲が発生しやすい天気の場合、天気予報や気象情報で、「雷を伴う」「大気の状態が不安定」「竜巻などの激しい突風」といった言葉を用いています。また、適宜雷注意報を発表し、さらに竜巻などの激しい突風が起きやすい気象状況である場合は竜巻注意情報を発表します。こういった情報をチェックしていただければと思います。また、雨雲の動き、雷、竜巻の状況などを確かめたい場合はナウキャストもご活用ください。


        令和4年 8月

        彦根地方気象台 防災情報係長

        片岡 彩


    • 令和4年7月「土砂災害から命を守る」
      • 土砂災害

        ホームページをご覧のみなさま、こんにちは。彦根地方気象台の尾上(おのえ)です。滋賀県と彦根地方気象台が共同で発表する土砂災害警戒情報の運用を担当しています。土砂災害警戒情報は、命に危険を及ぼす土砂災害がいつ発生してもおかしくない状況となったときに、対象となる市町を特定して警戒を呼びかける情報です。

        近年、滋賀県では大規模な土砂災害は発生していませんが、昨年(2021年)7月に熱海で発生した土石流については、みなさまもご記憶にあるところかと思います。土砂災害は建物に壊滅的な被害をもたらし、一瞬のうちに尊い人命を奪ってしまう恐ろしい災害です。崖崩れや土石流の発生を確認してから避難するのでは間に合いません。みなさまのお住まいの場所は、土砂災害の危険性はありませんか?

        急傾斜地や渓流の付近など、土砂災害によって命が脅かされる危険性が認められる場所は、滋賀県が土砂災害警戒区域等に指定しています。みなさまのお住いの場所が土砂災害警戒区域等に指定されているかどうかは、各市町のハザードマップや、滋賀県防災情報マップ(土砂災害リスクマップ)等で雨が降り出す前に確認しておきましょう。

        土砂災害警戒区域等にお住まいの方は、大雨のときには建物からの立退き避難が必要です。雨が降り出したら、大雨注意報、大雨警報、土砂災害警戒情報等の発表状況や市町から発令される避難情報に留意してください。


        令和4年 7月

        彦根地方気象台 土砂災害気象官

        尾上 和義


    • 令和4年6月「生物季節観測について」
      • あじさい

        ホームページをご覧のみなさま、こんにちは。彦根地方気象台の西村映音です。今年4月に採用されたばかりの新人です。主に観測・測器の業務を担当しています。

        生物季節観測とは、植物の状態が季節によって変化する現象について行う観測のことです。その結果から季節の遅れ進みや気候の違い、変化などの総合的な気象状況の推移を知ることを目的としています。気象台の構内などにある標本木について、観測員の目視によって観測を行い、現象を確認した日を記録します。

        現在はあじさい(開花)、いちょう(黄葉・落葉)、うめ(開花)、かえで(紅葉・落葉)、さくら(開花・満開)、すすき(開花)の6種目について観測が行われています。さくらの開花はニュースなどでもよく取り上げられるため、ご存じの方も多いと思います。そのなかでも、今回は6月14日に開花が観測されたあじさいについてお話しします。

        多くの方は、あじさいと聞くと、いくつもの花がボールのように咲く様子を想像するのではないでしょうか。しかし、開花の観測はこの花ではなく、「真の花」について行われます。花だと思われている部分は真の花ではなく、「装飾花」と呼ばれる、萼(がく)が発達したものなのです。真の花は、装飾花の柄が集った中心で咲きます。写真の丸で囲まれているものが真の花です。装飾花をかき分けると見ることができます。あじさいは、この真の花が2~3輪咲いた日が開花日となります。私は真の花について、気象台に採用されるまで知りませんでした。みなさんはご存じでしたか?

        次に観測されるのはススキの開花となります。開花日の平年値は9月4日です。観測結果は彦根地方気象台や気象庁のホームページで見ることができます。ぜひ植物から季節の移り変わりを感じてみてください。


        令和4年 6月

        彦根地方気象台

        西村 映音


    • 令和4年5月「陸域の浅い地震」
      • プレート模式図

         図1 日本付近のプレートの模式図

        陸域の浅い地震(滋賀県)

         図2 2021年に滋賀県周辺で発生したM0.5以上で深さ30km以浅の地震と地震調査委員会による主要活断層帯を表示したもの。赤い球が地震の発生場所を表し、球の大きさは地震の規模を表現している。また滋賀県のすぐ近くにある主要活断層帯については名称を表示している。

        ホームページをご覧のみなさま、こんにちは。彦根地方気象台の小原です。地震に関する業務を主に担当しています。

        最近、京都府南部で地震活動が活発となっており、滋賀県内でも地震の揺れを感じることがあります。この地震は内陸の浅いところで発生しており、テレビ・新聞などにも取り上げられたため、ご存知の方もいらっしゃるかもしれません。そこで、今回は内陸の浅いところで発生する地震について紹介させていただきます。

        日本列島付近は陸のプレート(ユーラシアプレート、北米プレート)の下に海のプレート(太平洋プレート、フィリピン海プレート)が沈み込む形になっています(図1)。この複数のプレートが押し合う形になっているため、日本は世界的に見ても地震の多い国として知られています。特にプレートの境界付近では大きな地震が周期的に発生しており、2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震(M9.0)や発生の可能性が高まっている南海トラフ地震などがプレート境界で発生する地震になります。一方、プレートの境界から離れた陸のプレート内部の浅い領域でも地震が発生しています。これはプレートの押し合う力がプレート境界だけでなく、プレート内部にも働いているためで、この力は陸のプレートにひずみとして蓄積していき、限界を超えた時に断層運動という形でプレートの浅い領域で地震が発生します。この内陸の浅い地震はプレート境界の地震に比べると規模が小さい地震が多いですが、人々が生活しているすぐ真下で発生するため局地的に大きな震度が観測され、大きな被害が発生することがあります。図2は滋賀県周辺で昨年1年間に発生した内陸の浅い地震を表示したもので、これをみると地震は色々な場所で発生していることがわかります。また図には地震調査委員会※1が決めた主要活断層※2も図示しており、滋賀県でも琵琶湖西岸断層帯、柳ヶ瀬・関ヶ原断層帯などが知られています。

        近年滋賀県を震源とする大きな地震は発生していませんが、周辺には多くの主要活断層が存在しているため大きな地震が発生する可能性があることを知っておく必要があります。実際1909年8月14日には江濃(姉川)地震(M6.8)により、県内で死者35人、負傷者643人、住家全壊972棟などの大きな被害が、県北部を中心に出ています(「日本被害地震総覧」による)。また、気を付けてほしいのは、大きな地震は主要活断層だけで起きるわけではないことです。これは活断層で地震が発生しても地表に変化が現れなかったり風化や浸食により痕跡が消えてしまう事があり、まだ知られていない活断層が存在していることがあるからです。

        今回の京都府南部の地震活動を契機に地震への備えを考えてみてはいかがでしょう。

        日頃の備えとしては、家具をしっかり固定する。寝室や居間に物が落ちたり、倒れてこない安全スペースを確保する。水や食料品の備蓄、避難場所や連絡手段の確認などがあります。


        ※1 地震調査委員会では、気象庁や大学などの研究機関からの調査結果などをとりまとめ、最近の地震活動や長期評価などについて政府として総合的に評価しています。また、津波や強震動の予測手法の評価・検討なども実施しています。

        ※2 主要活断層帯とは、全国に多数ある活断層のうち、その活動度や、活動した時の影響等を考慮して踏まえて地震調査委員会が選定したもの。主要活断層帯が動いた地震としては、1995年1月17日に発生した兵庫県南部地震(M7.3)が知られています。



        令和4年 5月

        彦根地方気象台 南海トラフ地震防災官

        小原 久典



    • 令和4年4月「アメダス」
      • アメダス

        こんにちは。防災業務係長の朝比です。主にアメダスの保守点検や維持管理等を担当しています。

        アメダス(AMeDAS)とは「Automated Meteorological Data Acquisition System」の略で、「地域気象観測システム」といいます。 雨、風、雪などの気象状況を時間的、地域的に細かく監視するために、降水量、風向・風速、気温、湿度の観測を自動的におこない、気象災害の防止・軽減に重要な役割を果たしています。

        アメダスは1974年11月1日に運用を開始して、現在、降水量を観測する観測所は全国に約1,300か所(約17km間隔)あります。 このうち、約840か所(約21km間隔)では降水量に加えて、風向・風速、気温、湿度を観測しているほか、雪の多い地方の約330か所では積雪の深さも観測しています(湿度は一部の観測所)。

        滋賀県内には、上記アメダスが11ケ所あり常時自動観測を行っております。観測している要素は風向・風速、気温、雨量(米原、今津はこれに加えて積雪、柳ケ瀬は積雪と雨量、近江八幡・朽木平良は雨量のみ)です。

        この度、南小松地域気象観測所で観測機器の更新があり湿度計の追加等がありましたので、観測機器の説明も含めてご紹介させていただきます。写真は昨年11月30日に更新しました南小松地域気象観測所です。地上高約10mの位置についているのが風向風速計(①)です。超音波式といって角から距離の変化を測定して風向と風速を算出しています。その下についている筒の中に温度計と湿度計(②)が入っています。こちらは、雨量計で筒の中に転倒する桝が入っており、筒に入った雨を桝が受けて転倒することで雨量をカウントしており転倒ます型雨量計(③)といいます。

        各観測所で観測した気象データは、リアルタイムに上で公開されており注意報・警報発表の根拠や天気予報の基礎資料として利用しています。このことから、アメダスは非常に重要な役割も持っているともに、比較的長期的な観測データを持っていることから気候変動の監視にも重要です。

        アメダスは主に管理フェンスに囲われ無人でひっそりと観測をしていますが、継続的に観測データを提供してくれる気象業務に非常に重要な施設となっています。運よく写真のような観測施設をお目にされた場合は、何卒温かい目で応援していただけると幸いです。


        令和4年 4月

        彦根地方気象台 防災業務係長

        朝比 紀彦


    • 令和4年2月「春一番」
      • 天気図

        ホームページをご覧のみなさま、こんにちは。彦根地方気象台で主に情報・通信業務を担当しております、主任技術専門官の林です。

        さて、2月というと季節が冬から春へと変化していく時期で、気温からもその様子がわかります。彦根地方気象台(彦根市城町)の平均気温(平年値)は、1月中旬4.0℃、1月下旬3.5℃、2月上旬3.5℃、2月中旬4.1℃となっています。春の訪れはこれから…といったところでしょうか。

        また、春が近づくと「春一番」というのがあります。これは「冬から春への移行期に、初めて吹く暖かい強い南よりの風。」のことで、具体的には立春~春分までの間に、広い範囲で初めて吹く、暖かい(やや)強い南よりの風と気象庁では定義しています。(この定義に当てはまらず、春一番が吹かない年もあります。2019年、2020年はありませんでした)

        ところで「春一番」は、言葉の印象とは違い、災害の危険もあることにご注意ください。春一番が吹くようなときは、気温の上昇による山地での雪崩の発生、強風による海上でのしけ、気温上昇及び強風に伴う火災の発生などが起きることがあります。「春一番」の後には、寒冷前線が日本列島を通過し、雷(落雷)、竜巻などの突風の発生確率が高まります。そして春一番を吹かせた日本海の低気圧が日本列島を通過し、東の海上(太平洋)に移動すると、西高東低の冬型の気圧配置に逆戻りして、北風が吹き気温も下がるため、寒暖差による体調不調にも気を付けることが必要です。

        昨年(2021年)の近畿地方の春一番は、3月2日に発表され、この時は3年ぶりの発表となりました。今年の春一番がどうなるのかはまだわかりませんが、1日ごとに春が近づいている事は確かです。


        令和4年 2月

        彦根地方気象台 主任技術専門官

        林 憲行



    • 令和4年1月「大雪に一層の警戒を呼びかける気象情報」
      • 風景

        ホームページをご覧のみなさま、彦根地方気象台気象情報官の山田和広です。いつもは、気象台の新しい情報や取り組みについて防災関係機関の方々にお知らせする業務を担当しています。

        滋賀県では今冬とても雪が多いと感じている方もいらっしゃると思います。特に、昨年12月26日~27日にかけての大雪では、彦根で24時間の降雪量(降った雪の高さ)は68cmで、彦根地方気象台の統計で過去の記録を超える最大の値となりました。また、期間中の最大の積雪深(降り積もった雪の高さ)も73cmを記録し、これは12月における過去最大の記録となりました。この大雪により、彦根の国道8号線では、複数台の車が立ち往生し、2キロ以上の渋滞が発生しました。またJR琶湖線では、27日は終日運休となる等、重大な交通災害が発生しました。

        今回の大雪に際しては、その数日前から報道機関などを通して様々な呼びかけを行いましたので、テレビやラジオ等により、事前に「大雪になる」ことを耳にされた方も大勢いらしたと思います。特に26日11時に発表した「大雪に一層の警戒を呼びかける気象情報」では、「警報基準を大幅に超える降雪量が予想されます」「重大な交通障害が発生するおそれがあります」「不要不急の外出は控えてください」とこれまでにない表現で雪への警戒を呼びかけましたが、お気づきいただけましたでしょうか。

        これは、社会的影響が大きい交通障害を未然に防ぐために始めた取り組みの一つで、彦根では初めての事例となりました。残念ながら、様々な要因により今回は、国道8号線で大きな交通障害が発生してしまいましたが、今後、気象情報のなかで上記のような説明がありましたら、「普段と異なる大変な大雪なんだな」と危機感を持っていただき、不要不急の外出を控えるなど大雪災害、重大な交通障害への備えをしていただければ幸いです。

        気象台では、いざという時にお役に立てるよう今後も様々な自然災害に対して被害の防止や軽減につながる情報提供に努めていく所存です。


        令和4年 1月

        彦根地方気象台 気象情報官

        山田 和広



    • 令和3年12月「「今後の雪」はじめました」
      • 伊吹山初冠雪

        ホームページをご覧のみなさま、こんにちは。彦根地方気象台の片岡彩です。観測に関する業務を主に担当しています。

        師走ですね。彦根地方気象台では、先日、伊吹山と比良山の初冠雪、彦根の初霜、初氷を観測し、冬到来といったところです。

        さて、冬の気象災害といえば雪によるものが思い浮かびます。雪害は、豪雪地域における除雪中の転落事故や雪崩といったものだけでなく、路面の凍結による交通事故や転倒による怪我など、普段あまり雪の積もらない地域でも発生します。

        滋賀県でも、雪による被害はほぼ毎年発生しています。近年、特に滋賀県の広い範囲で影響が大きかった例は、2017年1月23日から24日にかけての大雪です。この期間、滋賀県内で降雪が強まり、彦根では最深積雪60センチを観測しました。この影響で、鉄道の遅れや道路の通行止め、渋滞、スリップ事故が相次いで発生しました。

        全国に目を向けると、2018年1月には、首都圏で、大雪により鉄道の運休・遅延、航空機や船舶の欠航、高速道路の通行止めなど大規模な交通障害が発生、また同年2月には、北陸地方で、大雪により約1500台の自動車が立往生し、自衛隊への災害派遣要請が行われました。このように近年、大雪による社会活動への影響が問題となっています。

        気象庁では、道路管理者の通行規制や除雪体制の判断、事業者や国民が利用する交通経路の判断の支援などを目的に、2019年11月から気象庁ホームページにて、積雪の深さと降雪量の24時間前から現在の状況について面的な分布情報を「現在の雪」として提供を行ってきました。そして先月、2021年11月に、「現在の雪」に積雪の深さと降雪量について6時間先までの1時間ごとの予報を加えて「今後の雪」としてリニューアルしました。

        「今後の雪」では、積雪の深さ及び3時間、6時間、12時間、24時間、48時間、72時間の降雪量を選んで表示することができ、時間のバーを操作することにより、24時間前から6時間先まで1時間ごとにシームレスに確認することができます。また、地図も確認したい地域にズームすることができます。これから冬本番。お出かけ前などに、雪による交通等への影響を前もって判断するための情報として、ぜひ「今後の雪」をチェックしてみてください。


        令和3年 12月

        彦根地方気象台 技術専門官

        片岡 彩


        気象庁ホームページ「今後の雪」https://www.jma.go.jp/bosai/snow/

        (※)「今後の雪」は約5km四方の平均的な値を表しています。そのため、ピンポイントの降雪実況・予想として使うのではなく、雪の降るエリアや降雪量などの大まかな分布状況の把握にご活用ください。



    • 令和3年11月「気象庁で働いてみませんか」
      • ホームページをご覧のみなさま、こんにちは。彦根地方気象台で縁の下の力持ち的な事務を担当している岡本真由美です。

        気象庁は、自然災害から国民の生命・財産を守るための防災気象情報や交通の安全を支援する交通安全に関する情報、農業・電力・観光などの各種産業活動を支援するための情報、国民の日常生活に役立つ生活情報から人類の将来に警鐘をならす地球温暖化など地球環境に関する情報まで様々な情報を発信しています。

        彦根地方気象台は、滋賀県唯一の気象庁の機関として、滋賀県内の気象観測、予報、防災、広報業務を行い、観測データの収集や警報や注意報などの防災気象情報の発表を担っています。特に近年は相次いで発生する風水害や地震などの自然災害に対して、地域の気象防災力の向上が求められており、その実践のために滋賀県や各市町と連携して多彩な取り組みを行っています。

        ところで、気象台で働いていると「気象台で働くためには、どんな資格がいるの?」「気象予報士になれば気象庁に入れるの?」など、気象庁への就職方法について質問されることがあります。そこで気象庁職員になる方法について簡単にご説明いたします。

        気象台で働くためには、「国家公務員採用総合職」や「国家公務員採用一般職(技術系)」、私のように専門家たちを支える総務部門であれば「国家公務員採用一般職(事務系)」などの公務員試験に合格したのち、気象庁の採用面接を受けるのが一般的です。そのほか多くはないですが、経験者採用試験、専門技術を持った方を採用する選考採用や、任期を限った臨時的な採用もあります。また、海上保安大学や防衛大学と同じように給料をもらいながら勉強して大学卒業の資格を得ることができる「気象大学校」を受験する方法もあります。

        あわせて福利厚生などについても説明します。気象庁では、産前・産後などの休暇はもちろん、育児休業、子が未就学時に病気等にかかったときの看護休暇、結婚休暇、テレワーク、フレックスタイムなど、それぞれの働き方を支える制度が豊富に用意されており、働きやすい職場環境が整っています。

        いかがでしょうか。地方気象台の実際の仕事はプレッシャーと緊張感はありますが、それを上回るやりがいがあります。これから就職される学生の皆さん、すでに就職されていて転職を希望される皆さん、自然災害から地域の人々を守るために気象庁で一緒に働いてみませんか。

        ご興味のある方は下記大阪管区気象台ホームページをご覧ください。


        大阪管区気象台ホームページ https://www.jma-net.go.jp/osaka/an-nai/saiyou.html


        令和3年 11月

        彦根地方気象台 業務係長

        岡本 真由美


    • 令和3年10月「南海トラフ地震」
      • ホームページをご覧のみなさま、こんにちは。彦根地方気象台の関谷博です。地震に関する業務を主に担当しています。

        近年、滋賀県では、幸いにも、大きな地震災害に見舞われておりません。しかし、およそ100年前の1909年8月14日に、江濃(姉川)地震(M6.8)が発生し、県内で死者35人、負傷者643人、住家全壊972棟など、県北東部を中心に大きな被害が生じています(「日本被害地震総覧」による)。日本中で地震の心配のないところなどありません。滋賀県でも地震への備えが必要です。

        今後、滋賀県において大きな被害が生じると考えられる地震として南海トラフ地震が懸念されています。南海トラフ地震は、概ね100~150年間隔で繰り返し発生しており、前回の南海トラフ地震(昭和東南海地震(M7.9:1944年)及び昭和南海地震(M8.0:1946年))が発生してから70年以上が経過した現在では、次の南海トラフ地震発生の切迫性が高まってきています。

        政府の中央防災会議は、科学的に想定される最大クラスの南海トラフ地震(以下、「南海トラフ巨大地震」)が発生した際の被害想定を行っています。想定南海トラフ巨大地震の規模は、前回の南海トラフ地震(M8級:昭和東南海地震及び昭和南海地震)をはるかに超えるM9級とされ、南海トラフ巨大地震がひとたび発生すると、前回の南海トラフ地震を大きく上回る揺れ(静岡県から宮崎県にかけての一部では震度7想定)及び被害が生じると考えられます。

        滋賀県でも最大震度6強が想定され、死者最大約500人、負傷者最大約10000人、住家全壊約11000棟など、激甚な被害が見込まれています(「滋賀県地震被害想定」(滋賀県、2014)による)。


        地震の揺れは突然襲ってくるため、日頃から地震への備えが必要です。いつ揺れに遭っても身を守ることができるよう、家具はしっかり固定されていますか。寝ているときに揺れに襲われることも想定して寝室は、物が落ちたり、倒れたりしないようにしていますか。また、地震が起きた後への備えも大切です。水や食料の備蓄、避難場所や避難経路の事前確認など、いまだからできる備えをお願いします。


        震度分布(全国) 震度分布(滋賀県)

        図1 南海トラフ巨大地震の震度分布(強震動生成域を陸側寄りに設定した場合)(「南海トラフ巨大地震の被害想定(第二次報告)」(中央防災会議、 2013))より抜粋、加筆

        図2 南海トラフ巨大地震(陸側ケース)の滋賀県の震度分布(図1中の赤矩形領域)(「滋賀県地震被害想定」(滋賀県、2014))より抜粋、加筆


        令和3年 10月

        彦根地方気象台 南海トラフ地震防災官

        関 谷 博


    • 令和3年9月「滋賀県の気象災害と大雨への備え」
      • 彼岸花

        ホームページをご覧のみなさま、こんにちは。彦根地方気象台の加藤真司です。広報に関する業務を主に担当しています。

        新古今集に「野分(のわき)せし 小野(おの)の草伏(くさぶ)し 荒(あ)れはてて み山(やま)に深(ふか)き さを鹿(しか)の声(こえ)」という歌があります。この野分(のわき)とは台風のことで秋(9月)の季語になっています。

        9月といえば、秋の気配も感じられるようになり、食欲の秋、芸術の秋と言われ、行楽にも適した季節です。一方で、野分(台風)の発生、上陸が多い時期でもあり、災害に対する備えも重要になってきます。

        さて、皆さんは、滋賀県の気象災害について、どのように思っておられるでしょうか。滋賀県は、「災害に強い都道府県ランキング」で1位となっており、県民の自然災害に対する防災意識は相対的に低いことが知られています。しかし、過去には甚大な被害をもたらすような災害が幾度となく発生しています。

        1896年(明治29年)9月3日から12日にかけて、本州に停滞する前線と南海上の台風からの湿った空気の影響により、彦根で約1000ミリの記録的な大雨が降り、滋賀県全域で大規模な洪水となりました。「明治29年琵琶湖洪水」と呼ばれているこの洪水では、損壊・浸水家屋90,000棟以上の甚大な被害が発生しています。また、1953年(昭和28年)8月14日から15日に、停滞する前線と台風の影響によって滋賀県南部を中心に大雨となり、信楽町多羅尾では土砂災害により多くの犠牲者がでました。「昭和28年8月多羅尾豪雨」と呼ばれています。近年においても、2013年(平成25年)9月15日から16日にかけて、台風第18号と前線の影響により大雨となり、県内各地で土砂崩れや河川の氾濫が発生し、全国ではじめての特別警報が発表されました。

        これらの大雨災害に共通するのは、停滞する前線に台風の影響が重なることにより、活動が活発となって大雨となり、甚大な被害をもたらしているということです。これから本格的な台風シーズンとなります。台風の進路に注意していただくことはもちろん、たとえ台風は離れたところにあっても前線の動きにも着目しておくことが必要です。

        日頃から自分の住んでいるところはどのような気象災害が発生しやすいか、避難所はどこかなどハザードマップで確認しておくことが大事です。また、いざ大雨となった場合は、「まだ大丈夫」ではなく「もしも・・」~「・・たら」を念頭に置き、大雨や台風などに関する気象情報を活用して早めの避難行動をとり自分自身で身を守ることが大切です。


        令和3年 9月

        彦根地方気象台

        加 藤 真 司


    • 令和3年8月「将来、気温はどうなっていく?」
      • 風景

        ホームページをご覧のみなさま、こんにちは。彦根地方気象台の田中秀和です。先月に引き続き、よろしくお願いします。

        先月のコラム「熱中症に気をつけて」において、1981年からと1991年からの30年間、それぞれの平均値を比べると、30℃以上の真夏日は年間で4.1日増えて52.4日、35℃以上の猛暑日は年間で2.6日増えて4.6日となったことをお伝えしました。今月のコラムでは、将来、気温はどうなっていくと考えられているかについて紹介します。

        昨年、文部科学省と気象庁が公表した「日本の気候変動2020」によると、温室効果ガス削減の政策を行わなかった場合、21世紀末には年間の平均気温は約4.5℃上昇、猛暑日の年間日数は約19.1日増加すると予想されています。

        ところで、みなさんは「パリ協定」という言葉は聞いたことがありますでしょうか。「京都議定書」は聞いたことがある方も多いと思いますが、2020年までを対象としていた京都議定書に代わり、気温の上昇をより抑える政策を行うための協定です。この協定による政策が十分に達成されたならば、年間の平均気温は約1.4℃上昇、猛暑日の年間日数は約2.8日の増加に抑えられると予想されています。

        気候変動の問題を考えるには国際的な協力が不可欠です。日本の気候変動2020も世界の気候の専門家が集まった組織であるIPCC(※)の知見がもとになっています。先日、IPCCの第6次評価報告書の要約が公表され、「人間の影響により温暖化させてきたことには疑う余地がない。」「最近10年間に発生した極端な高温のいくつかは、人間の影響がなければ、発生した可能性は極めて低い。」といった、温暖化への人間の明確な関与が書かれています。

        温室効果ガスの削減は世界的な問題であり、「私ひとりが努力しても、何も変わらないのでは?」と思うかもしれません。しかし、人がいない場所の電灯やエアコン、テレビのつけっぱなしといった明らかな無駄を一人一人がやめれば、結果として温室効果ガスの削減につながり、将来の気温の上昇をより抑えられる結果につながります。より温室効果ガスを削減できるよう一人一人が心がけていただくことが大切です。


        令和3年 8月

        彦根地方気象台 調査官

        田 中 秀 和


        (※)IPCC:気候変動に関する政府間パネル。人為起源による気候変化、影響、適応及び緩和方策に関し、科学的、技術的、社会経済学的な見地から包括的な評価を行うことを目的として、1988 年に世界気象機関(WMO)と国連環境計画 (UNEP)により設立された組織。


      • 日本の気候変動2020
      • IPCC第6次評価報告書第1作業部会報告書(自然科学的根拠)の公表について(報道発表)

    • 令和3年7月「熱中症に気をつけて」
      • 雲

        ホームページをご覧のみなさま、こんにちは。彦根地方気象台の田中秀和です。季節予報、地球温暖化に関する業務を主に担当しています。

        梅雨も明けて、いよいよ本格的な夏になりました。これから暑い日が続くようになります。彦根では、暑い日の日数は最近増加傾向にあります。

        1981年から2010年までの30年間と1991年から2020年までの30年間、それぞれの平均値を比べると、30℃以上の真夏日は年間で4.1日増えて52.4日、35℃以上の猛暑日は年間で2.6日増えて4.6日となっており、熱中症の危険性が以前より高まっています。消防庁の統計では、2020年の夏に熱中症で救急搬送された人は全国で約65000人にのぼります。これは大雨などの災害に比べて圧倒的に多い数です。熱中症は全く他人事ではないことがわかります。

        気象庁では、熱中症の危険があるような天気の時、昨年までは高温注意情報を発表し、熱中症への注意を促していましたが、今年から高温注意情報に代えて「熱中症警戒アラート」を新たに開始しました。実は、熱中症になる危険性は、気温の他に湿度なども大きく影響します。熱中症警戒アラートは気温や湿度などを組み合わせて熱中症になりやすい状況を「暑さ指数」として算出して、その暑さ指数の高さをもとに発表します。

        熱中症警戒アラートは、午後5時に翌日の予報を発表し、午前5時にその日の予報を発表します。気象庁ホームページ※で見ることができるほか、自治体の防災無線、メール配信サービス、報道機関などを通じてお知らせされています。熱中症警戒アラートが発表された際は、熱中症の危険性が極めて高い気象状況になることが予想されます。外出はなるべく避け、室内をエアコン等で涼しい環境にして過ごす、こまめに水分補給するなどが大切です。子供やお年寄り、身体の不自由な方などは特に注意していただくとともに、まわりの方も特に配慮していただきたく思います。また、できれば屋外での活動は控えるなど熱中症を避けるような行動をとってください。

        熱中症は命に関わる大変なことですが、地震や大雨とは違い、自らの判断で防ぐことができます。熱中症警戒アラートを有効にご活用ください。


        令和3年 7月

        彦根地方気象台 調査官

        田 中 秀 和


        ※気象庁ホームページ「熱中症警戒アラート」


    • 令和3年6月「梅雨」
      • 麦畑

        麦畑が黄金に色づき、そろそろ収穫の時期でしょうか。この時期の雨を麦雨とも言うようです。

        近畿地方は、5月16日に梅雨入りしました。例年にない早い梅雨入りで平年より21日、昨年より25日早く、統計開始(1951年)以来、最も早い梅雨入りとなりました。梅雨入りが早いとその分梅雨明けが早くなるというものでもありません。梅雨明けの平年値は7月19日なので、梅雨の期間は2か月を超える可能性があります。

        梅雨入り後、さっそく5月20日から21日かけて県内の広い範囲で大雨となり、大津市と高島市では避難が必要と考えられる土砂災害警戒情報の発表に至りました。この雨で高島市の南小松では5月の日最大雨量の記録を更新しています。

        稲や野菜など含め、この季節の雨は植物の生育に重要なものですが、雨量が多すぎると様々な災害を引き起こすことになります。梅雨期には毎年のように各地で大雨による災害が発生します。滋賀県は周りを山脈・山地に取り囲まれており、比較的大雨が少ない地域ではありますが、過去には梅雨前線の影響で大雨になった事例もあります。最近では、広島での土砂災害や岡山での洪水災害で甚大な被害となった平成30年7月豪雨(西日本豪雨)の時に滋賀県でも前線による大雨で大きな被害となりました。

        梅雨の時期は大雨に備えることが大切です。例えば、ハザードマップを確認して自分の住んでいるところの浸水する可能性や土砂災害の発生する可能性を確認する(2階の屋根を超える浸水や土石流の可能性がある場合、垂直避難で危機を逃れることは難しく早めの行動が必要となります)。いざというときの避難所と避難ルート(避難ルートに危険な場所はありませんか?夜中の大雨の時でも通れる道ですか?)を確認する。非常持ち出し品や水・食料などの備蓄を確認する。これらの事前確認がときには生死を分けることになります。いざという時に慌てないように、ぜひ、事前の備えをしっかりしてください。

        気象台では危険な状況になったことをお知らせする情報を適切に発表できるように日々努めていますが、実際に命を救うのは皆さんの意識と行動です。事前の備えの大切さを強く思う梅雨の季節です。


        令和3年 6月

        彦根地方気象台長

        赤 石 一 英


    • 令和3年5月「出水期に備えて」
      • 風景

        ホームページをご覧のみなさま、こんにちは。彦根地方気象台長の赤石一英(あかいしかずひで)です。

        さわやかな風が吹き渡る季節となりました。瀬戸内の工業地帯で育った私には、5月を迎えて田植えの準備が進む美しい風景は新鮮なものであるとともに、なぜか懐かしくもあり、心安らかな気持ちになります。

        5月は彦根地方気象台をはじめとする様々な防災機関で会議や訓練が目白押しの時期でもあります。これからの出水期に備えて、各機関とも大雨への対応方法や防災対策の確認・協議を行うためです。彦根地方気象台でも、関係機関との様々な会議に積極的に対応するとともに、台内でも新しく着任した職員を中心に滋賀県の気象特性の理解や情報発表の方法の確認など、研修や訓練を重ねているところです。

        滋賀県では、これまで主に台風の影響による大雨の災害が顕著ではありますが、梅雨期も油断はできません。特に近年は、地球温暖化の影響などにより局所的で激しい雨の降る傾向が増えてきていると言われています。

        梅雨入りまで穏やかな日が多いこの時期だからこそ、ぜひ皆さまもこの先の梅雨や台風のことを想像して、どのような準備が必要か、今から用意できることはないかなど、具体的に考えてみてはいかがでしょうか。

        気象災害への備えについては、ご覧頂いているこのHPにも有益な情報を掲載しています。また、新型コロナウィルス感染症の感染拡大防止のために制約はありますが、講演会や勉強会へもご協力させて頂いていますので、ご相談いただければと存じます。

        彦根地方気象台では、これからも皆様に信頼されるよう適時適切に情報を発表して、地域の防災に資する取り組みを進めてまいります。


        令和3年 5月

        彦根地方気象台長

        赤 石 一 英