彦根地方気象台のコラム「梅雨」

麦畑

麦畑が黄金に色づき、そろそろ収穫の時期でしょうか。この時期の雨を麦雨とも言うようです。

近畿地方は、5月16日に梅雨入りしました。例年にない早い梅雨入りで平年より21日、昨年より25日早く、統計開始(1951年)以来、最も早い梅雨入りとなりました。梅雨入りが早いとその分梅雨明けが早くなるというものでもありません。梅雨明けの平年値は7月19日なので、梅雨の期間は2か月を超える可能性があります。

梅雨入り後、さっそく5月20日から21日かけて県内の広い範囲で大雨となり、大津市と高島市では避難が必要と考えられる土砂災害警戒情報の発表に至りました。この雨で高島市の南小松では5月の日最大雨量の記録を更新しています。

稲や野菜など含め、この季節の雨は植物の生育に重要なものですが、雨量が多すぎると様々な災害を引き起こすことになります。梅雨期には毎年のように各地で大雨による災害が発生します。滋賀県は周りを山脈・山地に取り囲まれており、比較的大雨が少ない地域ではありますが、過去には梅雨前線の影響で大雨になった事例もあります。最近では、広島での土砂災害や岡山での洪水災害で甚大な被害となった平成30年7月豪雨(西日本豪雨)の時に滋賀県でも前線による大雨で大きな被害となりました。

梅雨の時期は大雨に備えることが大切です。例えば、ハザードマップを確認して自分の住んでいるところの浸水する可能性や土砂災害の発生する可能性を確認する(2階の屋根を超える浸水や土石流の可能性がある場合、垂直避難で危機を逃れることは難しく早めの行動が必要となります)。いざというときの避難所と避難ルート(避難ルートに危険な場所はありませんか?夜中の大雨の時でも通れる道ですか?)を確認する。非常持ち出し品や水・食料などの備蓄を確認する。これらの事前確認がときには生死を分けることになります。いざという時に慌てないように、ぜひ、事前の備えをしっかりしてください。

気象台では危険な状況になったことをお知らせする情報を適切に発表できるように日々努めていますが、実際に命を救うのは皆さんの意識と行動です。事前の備えの大切さを強く思う梅雨の季節です。


令和3年 6月

彦根地方気象台長

赤 石 一 英


彦根地方気象台のコラム(過去分)

おおむね1年分を掲載予定です。

    • 令和3年5月「出水期に備えて」
      • 風景

        ホームページをご覧のみなさま、こんにちは。彦根地方気象台長の赤石一英(あかいしかずひで)です。

        さわやかな風が吹き渡る季節となりました。瀬戸内の工業地帯で育った私には、5月を迎えて田植えの準備が進む美しい風景は新鮮なものであるとともに、なぜか懐かしくもあり、心安らかな気持ちになります。

        5月は彦根地方気象台をはじめとする様々な防災機関で会議や訓練が目白押しの時期でもあります。これからの出水期に備えて、各機関とも大雨への対応方法や防災対策の確認・協議を行うためです。彦根地方気象台でも、関係機関との様々な会議に積極的に対応するとともに、台内でも新しく着任した職員を中心に滋賀県の気象特性の理解や情報発表の方法の確認など、研修や訓練を重ねているところです。

        滋賀県では、これまで主に台風の影響による大雨の災害が顕著ではありますが、梅雨期も油断はできません。特に近年は、地球温暖化の影響などにより局所的で激しい雨の降る傾向が増えてきていると言われています。

        梅雨入りまで穏やかな日が多いこの時期だからこそ、ぜひ皆さまもこの先の梅雨や台風のことを想像して、どのような準備が必要か、今から用意できることはないかなど、具体的に考えてみてはいかがでしょうか。

        気象災害への備えについては、ご覧頂いているこのHPにも有益な情報を掲載しています。また、新型コロナウィルス感染症の感染拡大防止のために制約はありますが、講演会や勉強会へもご協力させて頂いていますので、ご相談いただければと存じます。

        彦根地方気象台では、これからも皆様に信頼されるよう適時適切に情報を発表して、地域の防災に資する取り組みを進めてまいります。


        令和3年 5月

        彦根地方気象台長

        赤 石 一 英