高層気象台彙報 第79号

収録内容

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高層気象台彙報 第79号 2023年
題  目 著  者
第79号の刊行によせて 益子 直文
南極昭和基地におけるドブソン分光光度計とブリューワー分光光度計のオゾン全量観測値の相互比較 [要旨] 上里 至・上野 圭介・津田 元気
WMO/GAWドブソンオゾン分光光度計国際相互比較(2022年) [要旨] 津田 元気・上野 圭介

要旨一覧

題目
南極昭和基地におけるドブソン分光光度計とブリューワー分光光度計のオゾン全量観測値の相互比較
著者
上里 至・上野 圭介・津田 元気
要旨

気象庁は2022年に南極昭和基地のオゾン層観測測器をドブソン分光光度計からブリューワー分光光度計へ移行し,変換関数を用いる手法によりオゾン全量観測の統計接続を行った.しかし,この手法は,変換関数を両測器の並行観測期間の観測値から経験的に求め,測器特性や観測値の算出方法の違いにより生じる系統的な差を正確に扱っていないため,将来的には的確なトレンド解析に支障をきたす可能性がある.このため,両測器間の系統的な差の要因と考えられる「オゾン吸収断面積の変更」,「オゾン有効温度の季節変動の影響」,「オゾン平均高度の違い」について,これらの補正の効果を検証した.

南極昭和基地におけるドブソン分光光度計(AD波長組観測とCD波長組観測がある)とブリューワー分光光度計のオゾン全量観測値を比較すると,補正前は測器間の差に大きな季節変動があり,その振幅はAD波長組観測との比較で2.3%,CD波長組観測との比較で3.2%であった.3つの差の要因を補正した結果,差の季節変動は改善し,その振幅はAD波長組観測との比較で0.6%,CD波長組観測との比較で0.5%となった.また,差の月平均値は,1年をとおして概ねWMO/GAWの要求精度である±1%以内となることを確認した.なお,補正後も残る両測器間の差は,測器校正方法の改善により解消できる可能性がある.

題目
WMO/GAWドブソンオゾン分光光度計国際相互比較(2022年)
著者
津田 元気・上野 圭介
要旨

高層気象台が維持管理するドブソン分光光度計アジア地区準器の校正のため,オーストラリア国メルボルンのオーストラリア気象局において2022年12月5日から16日の日程で開催されたWMOドブソンオゾン分光光度計国際相互比較に参加し,ドブソン分光光度計世界第一準器との比較観測を実施した.比較観測の結果,前回(2017年2月)の国際相互比較から今回の国際相互比較までの5年間,アジア地区準器は良好に維持されていること,この間の観測値について修正は不要であることが確認された.