地上気象観測の概要

地上気象観測について

高層気象台では、JMA-10型地上気象観測装置による気圧、気温、湿度、風向、風速、降水量、積雪の深さ、日照時間、日射量、視程の観測をしています。

観測機器(測器)は、芝生を植えた露場(ろじょう)と建物の屋上に設置しています。

露場

露場

JMA-10型地上気象観測装置の構成

機器構成は測器・屋内筺体収納機器、通信処理部(通信処理装置、ルータ)・監視端末に大別できます。気圧計以外の測器は露場または庁舎屋上等に設置しています。気圧計は屋内筺体に収納され通信処理部とともに観測室内に設置しています。

(1)測器

高層気象台に設置してある測器は、電気式温度計(白金抵抗型)・電気式湿度計(静電容量型)・雨量計(転倒ます型)・感雨器・電気式気圧計(静電容量型)・風車型風向風速計・全天電気式日射計・回転式日照計・積雪計(光電式)・視程計です。

(2)屋内筐体収納機器

屋内筐体は、19インチラック(EIA規格に準拠)で、信号変換部・データ通信部・電源部等の構成機器および通信処理部などの関連機器が入っています。

(3)監視端末

監視端末は、実況監視、各種設定、原簿作成等を行うための端末です。

屋内筐体収納機器      監視端末

屋内筐体収納機器(左)と監視端末(右)

測器

(1)電気式温度計(白金抵抗型)

電気式温度計は、温度変化とともに電気抵抗が変化する材料の抵抗値を測定することにより温度を求めます。使用する材料には、高い純度が得られ、熱的、化学的に安定で伸張性にも優れている白金を用いています。感部は雲母や磁器などの薄板上に白金線を巻き熱伝導度が優れ腐食しにくいステンレスなどの保護管に納め完全防水しています。

屋外で気温、湿度を測定するには、日射や風雨の影響を受けないようにする必要があります。このため温度・湿度センサを通風筒の内部に設置して測定します。気象庁の使用している通風筒は二重の円筒となっており、その間に断熱材を入れて日射や反射光が直接センサに当たらないような構造になっています。また、常にファンにより通風(約4~7m/s)しています。また、温度・湿度センサを日射や風雨から守る役割もあります。

(2)電気式湿度計(静電容量型)

湿度計の感部は、高分子膜を絶縁体としたコンデンサ構造で、この高分子膜の吸湿性を利用し、相対湿度の変化による静電容量の変化を電気信号に変換する構造になっています。

通風筒の外観

通風筒の外観

(3)転倒ます型雨量計

口径20cmの「受水器」に入った降水(雨や雪など)を「濾水器(ろすいき)」で受け、転倒ますに注ぎます。転倒ますは2つの「ます」がシーソーのような構造になっており、降水量0.5mmに相当する雨水が「ます」に貯まると反対方向に転倒して水を下に排出します。その転倒数を計測することによって「降水量」を知ることができます。

「降水量」とは、ある時間内に降った雨や雪などの量で、降水が流れ去らずに地表面を覆ったときの水の深さ(雪などの固形降水の場合は溶かして水にしたときの深さ)です。

寒冷地で使用されている雨量計はヒーターにより雪を溶かしてから降水量を測るように作られています。温水式と呼ばれる雨量計がこれにあたり、高層気象台でも冬季に用いています。

転倒ます型雨量計の構造

転倒ます型雨量計の構造

(4)感雨器

感雨器の感雨面には、降水による通電を検知するための櫛形パターンのプリント板電極を張り付けてあります。感雨面は直径約8㎝で、水はけをよくするため頂部は傘状に傾斜させています。感部の裏側には、加熱用のヒーターと温度検出用のセンサが取り付けられていて、降水現象を感知した場合は、パルス信号を出力すると同時に加熱用ヒーターの加熱温度を上昇させ雨水の蒸発を早めます。

感雨器の外観(左)と感雨面(右)

感雨器の外観(左)と感雨面(右)

(5)電気式気圧計(静電容量型)

電気式気圧計のセンサーは、縦・横約6㎜、厚さ約1.5㎜のシリコン基板に薄さ約4μmの真空部を形成したものです。大気圧の変化に伴い真空部上下の電極間に変位が生じて、その静電容量が変化するので、このわずかな変化を電気信号で得る構造となっています。電気式気圧計は、小型の樹脂ケースの中に感部・変換回路及び処理回路が収められていて、直流電源の供給によって連続的に気圧を測定して、測定値をシリアル信号(RS-485)で出力します。

電気式気圧計の外観

電気式気圧計の外観

電気式気圧計の内部

電気式気圧計の内部

(6)風車型風向風速計

風車型風向風速計は、流線型の胴体の先端に4枚の羽根を持つプロペラ(風車)を、後部に垂直尾翼を配置して、これを水平に自由に回転するように支柱に取り付けています。常に風車が風上を向くようにして、風車の回転数から風速を、胴体の向きから風向を測定しています。1台で風向と風速を同時に観測することができます。

風車型風向風速計

風車型風向風速計

(7)全天電気式日射計

全天日射計感部は、面積が異なる2つの黒色の受光面に熱電堆をそれぞれ電気的に絶縁して接着してあります。受光面は、風雨などからの防護及び風による受光面温度の乱れを防ぐために、半球のガラスドームの中に封じられていて、ガラスは日射エネルギーの大部分が含まれる波長0.3~3.0μmの日射を透過するものが使われています。また、ガラスドームの防塵・防霜用として通風ファンが取り付けられています。半球面のガラスドームから入射した日射エネルギーを受光面で吸収させ、熱エネルギーに変換し、日射エネルギーの強さに比例した熱起電力が発生します。この熱起電力を日射量に変換しています。

全天電気式日射計

全天電気式日射計

(8)回転式日照計

回転式日照計は、ガラス円筒内に本体の主軸(南北方向)に沿って30秒で一回転する散乱反射鏡(以下、反射鏡)が取り付けてある。また、その反射鏡の回転を検出する機構も取り付けてあります。この反射鏡による反射光(太陽光)は受光素子(焦電素子)に導かれるようになって、受光素子に太陽光が入ったときに太陽光の強度(直達日射量)と「日照のしきい値0.12kW・m-2」を比較して、しきい値以上あれば「日照有り」のパルス信号が出力されます。

回転式日照計

回転式日照計

(9)積雪計(光電式)

支柱に固定された積雪計から発射したレーザ光が、雪面で反射して感部に戻るまでの位相差を計測して、その計測値より積雪計から積雪面までの距離を求めます。積雪計は、10秒間隔で光を発信し感部から雪面までの距離をシリアル信号(RS-485)で出力します。支柱の影響を避けるため支柱と約30度の傾きで積雪計を設置して、露場反射面には降雪板を置きます。なお、人体の移動による赤外線変化を検出する人体検知器を併設して、人体を検知した場合、一定期間レーザ光の照射を止めています。

積雪計

積雪計

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