ホーム > オゾン紫外線と日射放射 > 大気の光学的厚さの観測
日射は地上に到達するまでに、大気中の空気分子・エーロゾル・雲等により一部が吸収・散乱・反射されます。 大気による日射の減衰は、地球の放射収支にとって重要です。 また近年、地球の温暖化に関して、エーロゾルによる地球-大気系への直接的・間接的放射強制力の重要性が指摘されています。
大気による日射の減衰率(光学的厚さ)は、地上に到達する直達日射の強さを測定することにより算出できます。 高層気象台(つくば)では、地球大気による日射の減衰を表す量として、直達日射量から大気混濁係数(ホイスナー・デュボアの大気混濁係数)を算出しています。 また、サンフォトメータにより観測した特定の波長の日射から、エーロゾルによる日射の減衰を示すエーロゾルの光学的厚さを算出しています。
つくばにおける観測結果を以下に紹介します。 平年値(1981-2010)を基準とした大気混濁係数の月別最小値の経年変化を見ると、火山噴火による成層圏エーロゾルの影響が明瞭に確認することができます。 1963年から数年継続しているやや高い値、1982~1983年と1991~1993年にみられる極大は、それぞれ1963年2~5月のアグン火山噴火(インドネシア)、 1982年3~4月のエルチチョン火山噴火(メキシコ)、1991年6月のピナトゥボ火山噴火(フィリピン)によって火山ガスが成層圏に大量に注入され、 成層圏が長期間にわたって混濁しました。 ピナトゥボ火山噴火以降は大規模な火山噴火が発生していないため、大気混濁係数はアグン火山噴火前のレベルまで戻っています。