熊谷地方気象台の歴史

     熊谷地方気象台は、明治29(1896)年12月1日に埼玉県熊谷測候所として気象観測などの業務を開始しました。

     明治20(1887)年8月3日には地方測候所を設立するよう勅令があり、埼玉県の場合は測候所を浦和に置くよう、同年10月11日には内務省の告示がありました。これを受けて県立測候所の設立を埼玉県議会が可決したのは明治28(1895)年のことで、その間の提案は否決されています。また、明治24(1891)年6月10日の内務省の告示で、埼玉県の測候所の位置が、浦和から熊谷に変更されています。変更理由は定かではありませんが、浦和では東京に接近していること、また、当時の基幹産業である蚕業の中心地が熊谷であったこと等によるものと推測されます。

     当時の職員は所長以下3名でした。その後、昭和14(1939)年に国営となり、昭和32(1957)年には熊谷地方気象台と改称して現在に至っています。

     熊谷地方気象台は、創設以来、百年以上にわたって移転をしていない、全国でも数少ない気象観測所の一つです。

  • 庁舎写真_令和4年
  • 熊谷地方気象台(令和4年)

    <主な沿革>
    ・明治29(1896)年11月17日 埼玉県熊谷測候所を創立(埼玉県告示第82号)
    ・明治29(1896)年12月1日 業務開始
    ・昭和14(1939)年10月31日 気象官署は国営移管となり文部省の管理となる
    ・昭和18(1943)年11月1日 文部省から運輸通信省に移管となる
    ・昭和20(1945)年5月19日 運輸省の所管となる
    ・昭和32(1957)年9月1日 熊谷測候所は熊谷地方気象台となる
    ・昭和40(1965)年2月20日 現庁舎(2代目)が完成する
    ・平成13(2001)年1月6日 国土交通省の所管となる
    ・平成21(2009)年10月30日 庁舎耐震工事を完了する
    ・平成31(2019)年4月1日 交替制から宿直制となる


     なお、埼玉県内には秩父測候所(大正15(1926年)年1月1日設立)がありましたが、平成10(1998)年3月1日に廃止され、現在は特別地域気象観測所として、気温、降水量、風向風速、日照時間、積雪、湿度、気圧、視程など基本となる観測を器械によって自動的に行っています。
     このほか、熊谷地方気象台と埼玉県との連絡、調整などの業務を行うために、昭和53(1978)年10月1日に熊谷地方気象台浦和連絡事務所を埼玉県庁に設置しましたが、平成9(1997)年3月31日に廃止しています。


     <写真>  
  • 庁舎写真_昭和8年
  •  埼玉県立熊谷測候所(昭和8年頃)
     
  • 庁舎写真_昭和30年
  •  熊谷地方気象台(昭和30年代なかば)
     
  • 庁舎写真_平成4年
  •  熊谷地方気象台(平成4年 飛行船から撮影)