埼玉県の風の特徴

 埼玉県は内陸に位置し、沿岸部と比較して強い風が吹きにくい傾向があります。 ただし、台風や低気圧による強風害や発達した積乱雲から発生する竜巻等の突風害など毎年県内で数回程度の強風災害が発生しています。

 このページでは、埼玉県の風の傾向を風向風速風速の極値過去の強風災害の観点からまとめました。

風向について

 埼玉県の風向は北西や南東が多く、地形図と重ねてみると周辺と比べて標高が低い谷筋や川筋などに沿って吹きやすいことが分かります。 季節ごとにみると冬は北西の季節風が吹き、夏は日中に南からの海風が吹きやすい傾向にあります。

風配図(1991~2020年のアメダスデータの1時間ごとの値を元に作成)        

 ※風配図とは、風向(風が吹いてくる方向)ごとの割合を表したもの。

  例の図では、北西から吹く風の割合が一番大きいため、北西風が吹きやすいことが分かります。

風速について

 埼玉県内のアメダス地点の観測結果から、風速の度数分布図を作成しました。 全体の9割以上が平均風速(「風の強さと吹き方」の注2を参照)5m/s以下となっています。平均風速5~9m/sは、全体の1~7%程度で、春と冬に多く観測されています。

 平均風速10m/s以上の風が吹く頻度はさらに少なく、年間日数でみると風が吹きにくい地点(秩父など)では年に1日程度、風が吹きやすい地点(熊谷や所沢など)では年に20~30日程度になっています。

風速の度数分布図(1991~2020年のアメダスデータの1時間ごとの値を元に作成)

 気象庁では、10m/s以上の風を「風の強さと吹き方」としてまとめています。風速15m/s以上20m/s未満を「強い風」とするなど、警報・注意報や気象情報の中での表現を統一しています。 人や建造物への影響についてもまとめているので、確認してみてください。

風の強さと吹き方(気象庁)

 竜巻等の突風については次のページを参考にしてください。 「局地的な大雨・竜巻から身を守る」(熊谷地方気象台HP)

最大風速・最大瞬間風速の極値

 埼玉県内のほとんどの観測点では、最大風速第1位の記録は「強い風(15~20m/s)」程度、瞬間風速第1位の記録は30m/s前後となっており、それらの大部分は台風接近時に記録されました。 また、最大風速・最大瞬間風速第10位までの記録を調べたところ、大部分は台風接近時に、次いで前線・低気圧が近くにある時に記録されました。

各地点の最大風速・最大瞬間風速の1位の記録(観測開始時~2020年)

各地点10位までの記録の気象要因の割合(観測開始時~2020年)



※平均風速と瞬間風速の観測開始時は異なります。

特徴的な気象要因による過去の強風災害

防災上のポイント

 埼玉県に強風災害をもたらす気象要因は、台風が大部分を占め、それ以外の要因として前線・低気圧、冬型の気圧配置が挙げられます。また活発な積乱雲に伴って発生する竜巻害もあります。 特徴的な気象要因ごとにいくつか過去の災害事例を取り上げ、防災上のポイントをまとめました。

(②2019年10月12日台風による強風事例と③2013年3月10日寒冷前線通過による強風事例、⑥2022年6月2日発達した積乱雲による突風や降ひょう事例については、強風発生のメカニズムを別にまとめています。)

  • 台風による強風事例


  • 寒冷前線通過による強風事例と冬型の気圧配置による強風事例


  • 竜巻等突風事例


  • 強風発生のメカニズム

     3事例(②、③、⑥)については、数値実験により当時の気象状況を再現することで強風の発生メカニズムを詳しく調査しました。

     ※数値実験とは、コンピューターを使用し、大気の状態をシミュレーションによって再現する実験。

  • ②2019年10月12日台風による強風事例と③2013年3月10日寒冷前線通過による強風事例



  • ⑥2022年6月2日発達した積乱雲による突風や降ひょう事例

  • 問い合わせ先

     熊谷地方気象台 防災担当

     ・電話 : 048-521-5858(平日8:30~17:15)

     ・住所 : 〒360-0814 埼玉県熊谷市桜町1-6-10