台風による災害

台風とは

 熱帯地方などの海洋上で発生した低気圧を熱帯低気圧と呼び、最大風速が17.2m/s以上になったものを台風と呼びます。台風は巨大な空気の渦で、強い風と雨を伴っています。熱帯地方などで発生した台風は、一般的に太平洋高気圧のへりに沿って進みます。沖縄地方はこの高気圧の西のへりにあり、台風が進路を変える転向点付近にあたります。
 宮古島地方は、台風銀座と呼ばれるくらい、台風の接近の多い地域です。一年間に平均3.8個の台風が接近します。最近大きな被害をもたらした台風としては、平成15年(2003年)の台風第14号(マエミー)があります。


  • 平成15年(2003年)台風第14号(マエミー)

     9月6日15時にマリアナ諸島近海で発生した台風第14号は、発達しながら北西に進み、10日21時には中心付近の最大風速が55m/sの「猛烈な台風」となりました。また、11日03時には中心気圧が910hPaまで下がりました。宮古島地方は、10日17時頃から11日17時頃までの約24時間暴風域に入り、11日に下地島で最大風速49m/s、宮古島で最大瞬間風速74.1m/s、最低気圧912.0hPaを観測しました。また、宮古島では11日06時21分に1時間降水量58.5mmを観測し、9日00時から12日24時までの総降水量は470mmに達しました。

T0314経路図

台風経路図

T0314衛星画像

衛星画像のアニメーション(9月6日12時ごろ~13日12時ごろの8枚を動画表示)

台風による被害

 台風は強い風と雨を伴っているので、屋外に出るのは危険です。飛んできた看板や割れたガラスでケガをする人もいます。また、建物が壊れたり、ビニールハウスや農作物などの被害、高波により護岸等に被害が出ます。その他に、航空機や船舶が欠航になります。宮古島地方では、食料品やガソリンなどの生活必需品のほとんどを船による輸送にたよっているため、欠航が長引くと日常生活に支障が出てきます。また、暴風のため電線が切断されて広い地域で大規模に停電したり、電話が不通になることもあります。
 下の写真は、台風第14号(マエミー)による被害の状況を記録したものです。

強風で倒れた電柱

強風で倒れた電柱

打ち上げられた船舶

打ち上げられた船舶

横転した自動車

横転した自動車

根元から倒れた樹木

根元から倒れた樹木

「宮古島」の名前がついた台風

 顕著な災害を起こした自然現象は、気象庁長官により特別な名称がつけられます。 2020年12月現在、台風等の気象現象32個、地震現象32個、火山現象8個の名称が定められています。 そのなかで、「宮古島」の名が付いた台風が3個あります。これらの台風は、今でも、宮古島地方に大きな被害を出した台風として語り継がれています。

  • 宮古島台風(サラ):昭和34年(1959年)台風第14号

     9月12日にグアム島付近で発生した台風第14号は、発達しながら西北西に進み、非常に強い勢力で15日19時頃宮古島を通過しました。その後は東シナ海から対馬海峡、日本海を通り、19日9時には温帯低気圧に変わりました。宮古島(当時の沖縄県平良市)では最低気圧908.1hP、最大風速53.0m/s(最大瞬間風速64.8m/s)を観測し、島の約7割の住家が損壊しました。


    サラ経路図

    宮古島台風(サラ)の経路図

    サラ天気図

    1959年9月16日09時の天気図

  • 第2宮古島台風(コラ):昭和41年(1966年)台風第18号

     8月31日にグアム島の西海上で発生した台風第18号は発達しながら北西に進み、9月5日9時頃宮古島に達し、この頃最も発達しました。台風はその後も北西に進んで、7日9時前に中国大陸に上陸し、7日21時には弱い熱帯低気圧に変わりました。台風は宮古島付近をゆっくりと進んだため、宮古島では長時間にわたり強風と大雨に見舞われました。宮古島(当時の沖縄県平良市)では最大風速60.8m/s、最大瞬間風速85.3m/s(日本の観測史上1位)を観測しました。宮古島では半数以上の住家が損壊し、さとうきびの7割が収穫不能となるなどの甚大な被害が出ました。

     
    コラ経路図

    第2宮古島台風(コラ)の経路図

    コラ天気図

    1966年9月5日09時の天気図

  • 第3宮古島台風(デラ):昭和43年(1968年)台風第16号

     9月18日に沖ノ鳥島の南南東の海上で発生した台風第16号は、西から北西、北へと進路を変え、22日夜遅くから23日未明にかけて宮古島付近を通過しました。その後南西諸島沿いに進み、24日23時過ぎ鹿児島県に上陸しました。上陸後は急速に衰えながら九州西岸を北上し、25日12時に弱い熱帯低気圧に変わりました。宮古島(当時の沖縄県平良市)で最大風速54.3m/s(最大瞬間風速79.8m/s)を観測するなど、台風の近くでは暴風が吹きました。宮古島では暴風により住家や農作物に大きな被害が出ました。

     
    デラ経路図

    第3宮古島台風(デラ)の経路図

    デラ天気図

    1968年9月23日09時の天気図