平成11年4月9日 凍霜害による被害
 【1999年:平成11年】
概況
 4月8日夜から翌日9日朝にかけて本州付近は移動性高気圧に広く覆われた。また、8日21時、東海地方の上空約5,000m付近には約−25℃、上空約1,500m付近では0℃の寒気が流入した。このため、県内は快晴で、風も弱くなったことから放射冷却現象が強まった。県内の9日朝の最低気温は、稲武の−5.4℃を始めとして三河地方の山間部を中心に氷点下となった他、県内各地で最低気温の平年値を大きく下まわり、南知多では平年より9.3℃も低い−2.3℃を記録した。この気温の低下により各地で凍霜害が発生し、柿・梨の新芽等の枯死により400,592千円の大被害となった。特に、豊橋市で被害が大きく、柿294,174千円、梨50,025千円、茶44,160千円の合計388,359千円の被害額となり、全体の約97%を占めた。
 このように春は農作物の萌芽の時期でもあり、上空に寒気が入り移動性高気圧に覆われ晴れると放射冷却現象が強まり、朝の気温が下がるため凍霜害が発生しやすい。
愛知県農業被害状況    (愛知県災害誌から)
地 域 果 実 被害面積(ha) 被害金額
豊橋市 柿、梨、茶 254 388,359
新城市 18 10,780
豊田市 11 1,453
県 計 柿、梨、茶 283 400,592
最低気温分布図
  (平成11年4月9日)

 9日明け方、県内は三河山間部を中心に気温が下がり、稲武で−5.4℃、南知多で−2.3℃、豊田で−1.6℃、岡崎−1.2℃、鳳来で−0.1℃と氷点下となった。
※各地の最低気温は、名古屋・伊良湖は連続観測値から、その他は毎正時の観測値からの記録。
地上天気図
 (平成11年4月8日21時)

 8日夜、日本付近は本州中部に中心をもつ移動性高気圧に広く覆われている。21時県内は、快晴で風が弱く、放射冷却現象が強まる気象要因であった。
850hpa天気図
 (平成11年4月8日21時)

 8日夜、上空1,500m付近では寒気の中心は日本の東海上にぬけたが、東海地方にはまだ約0℃(赤線)の寒気が残っている。
 点線:温度線3℃毎
 実線:高度線60m毎
500hpa天気図
 (平成11年4月8日21時)

8日夜、上空5,000m付近では、北日本中心に−30℃(赤線)以下の寒気があり、東海地方には約−25℃の寒気が南下している。
 点線:温度線3℃毎
 実線:高度線60m毎