東南海地震


はじめに

2024年は東南海地震から80年!

 1944年(昭和19年)12月7日、三重県南東沖を震源とするマグニチュード(M)7.9の地震が発生しました。いわゆる昭和東南海地震です。
 この地震は戦争中に発生したため被害の詳細は不明ですが、1,200名を超える方が亡くなり、住家全壊戸数は16,000棟を超えるなど、静岡県、愛知県、三重県を中心に大きな被害が発生しました。
 南海トラフを震源域とする地震は、繰り返し発生しています(図1)。2024年で80年が経過し、次の大地震が迫っています。
 過去の災害を振り返り、地震・津波への備えを改めて確認いただくために、このページをご活用ください。
図1:過去に発生した南海トラフ地震
(出典:「南海トラフの地震活動長期評価(第二版)」
(地震調査研究推進本部))

概要

表1:地震の概要
震央 三重県南東沖
北緯 33度34.4分
東経 136度10.5分
マグニチュード 7.9
 1944年(昭和19年)12月7日(木)13時35分、三重県南東沖を震源とするマグニチュード(M)7.9の地震が発生しました。 この地震により、静岡県、三重県で震度6(※当時の震度階級の最大)を、愛知県、岐阜県、福井県、山梨県、滋賀県及び奈良県で震度5を観測したほか、 北海道から九州にかけて震度4~1を観測しました(図2)。 また、この地震により太平洋沿岸に津波が来襲しました。特に、紀伊半島では6mを超える津波が観測されました(図3)。
 戦争中のため被害の詳細は不明ですが、「災害教訓の継承に関する専門調査会報告書 平成19年3月 中央防災会議」に、次のような記述があります。 「東南海地震による死者は全体で1,233人を数える。死者が出たのは、愛知県(438人)・三重県(406人)・静岡県(295人)・和歌山県(51人)・岐阜県(16人)・大阪府(14人)・奈良県(3人)の7府県で、 特に愛知、三重、静岡の3県に被害が集中している。家屋被害もこの3県が突出しており、住家全壊が1,000戸を超えたのはこの3県のみである。」
 この地震以降、付近では地震活動が活発となりました。1944年12月13日24時までの1週間に岐阜県・静岡県・愛知県及び三重県で震度を観測した地震回数は111回 (表2)、震央は紀伊半島東部から伊豆半島まで拡がっています(図4)。

図2:1944年12月7日13時35分に発生した三重県南東沖の地震の震度分布
全国の震度分布図は、図をクリックしてください
(気象庁震度データベースを閲覧)。
図3:東南海地震の津波の高さ
(出典:「日本の地震活動」(地震調査研究推進本部))

表2:12月7日13時35分~12月13日24時までの震度観測回数
震度1 震度2 震度3 震度4 震度5 震度6 合計
岐阜県 2 2 6 0 1 0 11
静岡県 22 16 3 0 0 1 42
愛知県 4 7 0 0 1 0 12
三重県 55 9 7 4 1 1 77
合計 71 23 11 4 1 1 111
図4:12月7日13時35分~12月13日24時までの震央分布

愛知県の地震・津波の被害など

表3:昭和19年12月22日時点の被害状況
死者
(含む行方不明者)
負傷者 住家 非住家
全壊 半壊 全壊 半壊
438 1,148 6,411 19,408 10,121 15,890


 愛知県は「昭和19年12月7日東南海地震の震害と震度分布 昭和52年3月 愛知県防災会議」で、人的被害、建物被害を表3のように取りまとめており、 愛知県内のほとんどの地域で被害がありました。また、地盤の隆起・沈降や液状化現象も見られています。

 また同資料で、愛知県における津波観測を表4のように取りまとめています。 例えば、名古屋は観測施設が地震により故障したため観測値はありませんが、地震後の調査から0.5mと推定されています。 なお、尾鷲で8~10m、熊野灘沿岸で5~6mの高い津波が観測されています。

 なお、中央気象台(現在の気象庁)がとりまとめた「昭和十九年十二月七日東南海大地震調査概報 中央気象台」の現地調査に関する報告においても、住家や液状化現象の被害について記載されています。 地盤は「30~40cmの沈降が短時間うちに起こった」とも報告されています。
表4:愛知県内観測点での津波の高さ
観測点 津波の高さ(m)
伊良湖 1.5 ※
福江 0.5
形原 0.5
西浦 0.5
衣ヶ浦 0.5 ※
師崎 0.9
内海 0.7
名古屋 0.5 ※

※地震後の調査による推定値   

南海トラフ地震への備え

 南海トラフ地震は、駿河湾から日向灘沖にかけてのプレート境界を震源域とし、過去に大きな被害をもたらしてきた大規模地震です。 「はじめに」で紹介した南海トラフ地震の年表の通り、繰り返し発生しています。

 次の南海トラフ地震はいつ起きてもおかしくありません。自らの命、大切な人の命を守るために、今から準備をしておきましょう。

 気象庁HPでは、南海トラフ地震に関連する情報が発表された際の行動等について説明した小冊子の電子版を掲載しておりますので、確認しておきましょう。
クリックすると、掲載ページを閲覧できます。

各種資料等

図5:昭和十九年十二月七日東南海大地震調査報告概報の表紙
(当時は極秘資料として扱っていました。)
図6:昭和19年12月7日東南海地震の名古屋地方気象台の
地震計で観測された波形(大森式)


図7:昭和19年12月7日東南海地震の名古屋地方気象台の
地震計で観測された波形(ウィーヘルト式)


関連リンク

  • 地震から身を守るために 気象庁HP(地震編
  • 地震発生のしくみ 気象庁HP(地震編
  • 津波から身を守るために 気象庁HP(津波編
  • 津波発生と伝播のしくみ 気象庁HP(津波編
  • 液状化マップ 愛知県防災学習システム(防災マップ
  • 津波浸水想定図(平成26年度版) 愛知県HP(津波浸水想定図

参考資料・出典

  • 南海トラフの地震活動長期評価(第二版) 平成25年5月 地震調査研究推進本部
  • 災害教訓の継承に関する専門調査会報告書 平成19年3月 -1944 東南海地震・1945 三河地震- 中央防災会議 (内閣府 防災情報のページ)
  • 日本の地震活動 平成11年 地震調査研究推進本部
  • 昭和19年12月7日東南海地震の震害と震度分布 昭和52年3月 愛知県防災会議
  • 昭和十九年十二月七日東南海大地震調査概報 中央気象台(名古屋地方気象台にて所有)
  • 南海トラフについて (気象庁 知識・解説のページ)
  • 南海トラフ地震 -その時の備え- (気象庁リーフレット)