奈良地方気象台長からのメッセージ


台長の写真

奈良地方気象台のホームページをご覧いただき、ありがとうございます。台長の廣尾です。


9月も厳しい残暑が続きましたが、10月に入ってようやく最高気温が30度を下回るようになり、朝晩などは秋らしくなってきました。

一方で、10月は秋雨による大雨や台風の影響を受ける時期でもあります。


平成29年(2017年)の台風第21号は日本の南の海上を強い勢力を保ったまま北上し、静岡県に上陸しました。

台風の北上に伴って本州付近の前線の活動が活発化し、県内では暴風を伴った大雨となりました。

このときの奈良の日降水量は196.5ミリを観測し、年間を通じて1位の記録となっています。  

県内では住家の損壊や50棟以上の床上・床下浸水が発生しています。


地球温暖化の影響もあって大雨の発生頻度は増える傾向にあります。

季節感にとらわれず、最新の気象情報や自治体からの情報等を入手していただき対策をお願いします。

お住まいの地域などの災害のリスクをハザードマップなどでご確認いただくととともに、大雨に関する警報などが発表されたときや強い雨が降ってきたときに、どこで土砂災害や浸水害、洪水災害の危険度が高まっているかを知ることができる「キキクル」(危険度分布)をご活用ください。


また、地震への備えも必要です。

政府の地震調査委員会は、南海トラフを震源とするマグニチュード8~9クラスの巨大地震について、今後30年以内の発生確率の見直しを行ったところですが、これまでと変わらず「高い」と評価されています。

昭和東南海地震・昭和南海地震の発生から約80年が経過し、次の南海トラフ地震はいつ起きてもおかしくありません。

大きな地震が起きたときは、まず自分の命を守る行動が重要です。

地震はいつどこで発生するかわかりません。

家具の固定や避難場所・避難経路の確認、水の確保や非常食の期限が切れていないかなど、ときどき確認するようにしてください。

日ごろから、地震の発生に備えていただくようお願いします。





令和7年 10月

奈良地方気象台長  廣尾 進(ひろお すすむ)