近畿地方の平年の天候(コラム)

コラム(春一番)

春一番の天気図

春一番の天気図(2017年2月20日9時)

春一番とは季節が冬から春へと変わる時期に、初めて吹く暖かい南よりの強い風のことを言います。近畿地方では、立春(2月4日頃)~春分(3月20日頃)の間に、低気圧が日本海にあって、南よりの最大風速が8m/s以上となり、最高気温が平年(または前日)より高くなった初めての日に、気象状況を総合的に判断して発表しています(沖縄地方、東北地方、北海道地方では発表していません)。春一番が吹くと暖かい南風により気温が上昇し、融雪による洪水や強風による災害、雪が多い地方では雪崩が起こりやすくなります。一方、その翌日は日本から見て西の大陸側の気圧が高く、東の海側の気圧が低い西高東低の冬型の気圧配置となり、強い北風が吹いて寒さが戻り、突風を伴うことも珍しくありませんので、海や山のレジャーなどには注意が必要です。年によっては、この期間に日本海を発達した低気圧が進まず、南よりの強風が吹かないで春一番が観測されない年もあります。春一番は、梅雨入り・梅雨明けのような気象情報とは違い、季節のお知らせとなっているため、統計を取っていません。


コラム(梅雨)

梅雨の天気図

梅雨の天気図(2020年6月28日9時)

梅雨は、春から夏に移行する過程で、その前後の時期と比べて曇りや雨の日が多くなり、日照が少なくなる季節現象です。

日本に梅雨をもたらす梅雨前線は、6~7月頃、左図のように本州付近に東西にのびて停滞します。前線の北側は大陸性の乾燥した気団及びオホーツク海高気圧の冷たい気団に覆われています。一方、前線の南側には、日本へ夏の暖かい湿った空気を運ぶ太平洋高気圧が張り出しています。この南北の性質の異なる空気がぶつかりあったところに雲ができて雨を降らせます。

梅雨のはじめは梅雨前線が日本から離れた南海上に停滞しているため、前線上を低気圧が進んで来て天気が崩れても一時的なものです。しかし、梅雨前線の南に位置する太平洋高気圧の強まりとともに梅雨前線が除々に北上すると、次第に曇りや雨の天気が続くようになります。

梅雨の後半になると、次第に太平洋高気圧の勢力が強くなって梅雨前線を北に押し上げます。このとき、太平洋高気圧の縁辺を回って暖かく湿った空気が梅雨前線に流れ込むようになり、梅雨前線の活動が活発になって大雨が降りやすくなります。このような状態が同じ場所で続くと、狭い範囲に激しい雨が降り続く「集中豪雨」となりますので、注意が必要です。太平洋高気圧の勢力がさらに強まり、梅雨前線を北に押し上げると典型的な梅雨明けとなります。

一方、梅雨時期の降水量が少なく、ダム等に水がたまらないと、夏場に渇水となることがあります。梅雨時期は、盛夏期に必要な農業用水などを蓄える重要な時期でもあります。

近畿地方の梅雨

近畿地方では、6月上旬から7月中旬は梅雨の時期となります。太平洋側では、梅雨の時期の降水量が年間で最も多くなります。

近畿地方の過去の梅雨明けに関しては、「昭和26年(1951年)以降の梅雨入りと梅雨明け(確定値):近畿」を参照してください。


コラム(台風)

台風の主な経路

台風の月別の主な経路(気象庁HPより

(実線は主な経路、破線はそれに準ずる経路)

多くの台風は、海面水温が28℃を超えるような高いところで、海面から蒸発した水蒸気で発生した積乱雲が、東南アジアからの西風と太平洋高気圧からの東風がぶつかることによって、渦を巻いて発生します。

台風は、夏は太平洋高気圧が日本付近へ張り出してくるため、太平洋高気圧のまわりを回って北上することが多くなります。8月は台風を動かす上空の偏西風が弱いため、ゆっくり北上し、進路が定まらないことが多くなります。秋になると台風を動かす上空の偏西風が日本付近へ南下してくるため、偏西風により北東に向きを変えて日本付近に接近しやすくなります。

台風は、大雨や暴風、高波、沿岸部での高潮に注意・警戒が必要ですが、近畿地方への影響は、台風の勢力や進路、速度などによって異なります。

台風が近畿地方より西側を通った場合は、南よりの風となり、南に開けた地域を中心に大雨や南よりの暴風、高潮などに注意・警戒が必要です。一方、近畿地方より東側を通る場合は、はじめは南東風の吹きつけやすい地域、その後は東風、北東風、北風、北西風の吹きつけやすい地域の順に大雨や暴風等に注意・警戒が必要です。

また、台風が近畿地方の南にあり、前線が近畿地方周辺に停滞している場合は、台風からの湿った空気により前線の活動が活発となり、台風の通過まで雨が降り続き大雨となって大きな被害をもたらすことがあります。

しかし、台風は悪いことばかりではなく、まとまった雨により水不足を解消する効果もあります。


コラム(南岸低気圧による降雪)

南岸低気圧の天気図

南岸低気圧の天気図(2014年2月14日9時)

冬から春先に、低気圧が西日本の太平洋沿岸を北東に進むとき(南岸低気圧と呼ばれます)、太平洋側では、低気圧北側に流れ込む冷たい空気の影響で雪が降り、積雪となることがあります。特に、南からの湿った空気が多くなると大雪となることがあります。

太平洋側では雪が積もることが珍しいため、数センチの積雪でも道路の通行止めや電車の運休など交通機関に影響が出ます。また、南岸低気圧による雪は湿った雪のため、降雪が多くなると着雪による送電線の切断やビニールハウスの倒壊などの被害が発生することがあります。

南岸低気圧により雪となるか雨となるかは、地表付近の気温や湿度と関係があります。地上付近の温度や湿度は、低気圧の通るコースや低気圧の東側にある寒気を持った高気圧の存在などに関係します。低気圧が日本列島に近づきすぎると、低気圧には南よりの暖かい空気が入るため雪となる可能性は低くなります。