気象衛星による気象監視

衛星観測により、海上及び陸上の区別なく、台風や低気圧に伴う雲域の移動など気象の変化を観測することができます。 このため、「ひまわり」が観測した画像は、気象実況に関する有益な情報として、防災や気象予報の現場で幅広く活用されています。

台風

台風は多くの場合、日本のはるか南の海洋上で発生します。 海上には観測点が少ないため、台風の監視に「ひまわり」が大きな役割を発揮し、 その観測データは、台風の発生、移動、強さなどを把握するために活用されています。

平成28年台風第18号は9月29日15時にマリアナ諸島の西で熱帯低気圧から台風となり、 10月3日18時には中心気圧905hPa、最大風速60 m/sに発達し、猛烈な強さで沖縄に接近しました。 ひまわり8号では高解像度の可視画像を撮像できるようになったため、台風の眼の中で下層の雲が渦を巻く様子が明瞭にわかります。 この台風の影響で、沖縄には特別警報が発表され、沖縄県久米島空港では最大風速48.1m/s(最大瞬間風速59.7m/s)を記録しました。

2016年10月3日9時~15時(日本時間)
ひまわり8号の可視(バンド3)画像(2.5分ごと)
[mp4形式 : 5 MB ]

積乱雲

急速に発達する積乱雲は、急な強い雨や竜巻などの激しい突風をもたらすことがあります。 「ひまわり8号・9号」は、日本付近を最短2.5分間隔で観測を行うことで、積乱雲の発達状況を詳細に把握することができます。

平成28年8月4日は、西~北日本にかけて高気圧に覆われて晴れましたが、 紀伊半島沖の上空には寒冷低気圧があって大気の状態が不安定となり、 午後は西~東日本の山間部を中心に局地的に雷を伴った非常に激しい雨となりました。

2016年8月4日9時~18時(日本時間)
ひまわり8号のカラー再現画像(2.5分ごと)
[mp4形式 : 20 MB ]

低気圧

日本付近が低気圧が急速に発達すると、暴風や大雨をもたらし、大きな災害を引き起こすことがあります。 低気圧が発達する際には、赤外画像では、低気圧の発達に応じて特徴のある雲域が観測されます。 また、水蒸気画像では、低気圧の発達と関連がある対流圏上層の大気の流れを把握することができます。 このため、衛星画像は、低気圧の発達や移動などの動向を把握するために活用されています。

発達中の低気圧(4月16日9時で978hPa)が日本海にあって東北東に進んでいます。 寒冷前線に対応した雲が本州を縦断し台湾付近まで伸びているのがわかります。 この低気圧の影響で、高知県安芸では1時間に60mmの激しい雨が降り、石川県輪島では最大瞬間風速35.7m/sの風が吹きました。 また、三重県津では最高気温が31度まであがり真夏日となりました。

2016年4月16日7時~17時(日本時間)
ひまわり8号のカラー再現画像(10分ごと)
[mp4形式 : 7.8 MB ]

霧・下層の雲

霧により水平方向の見通しが悪くなると、船舶、航空機、鉄道や高速道路などの交通機関へ大きな影響を与えます。 気象衛星による観測では霧を含む低い雲域は、水滴でできており、周囲の陸面や海面との温度差が小さく、 比較的なめらかで均一に見えるといった特徴があります。

津軽海峡や北海道の太平洋側の海上、石狩平野、十勝平野、渡島半島南部や津軽半島などで霧を含む雲域が広がっていることがわかります。

2016年6月29日5時~10時(日本時間)
ひまわり8号のカラー再現画像(2.5分ごと)
[mp4形式 : 3 MB ]

火山噴煙

火山噴火に伴い空から降ってくる火山灰(降灰)や小さな噴石は、上空の風に運ばれて広い地域に及ぶとともに、 降灰の量に応じてさまざまな被害をもたらします。 カラー再現画像を利用すると火山灰は雲よりも茶色の領域として識別することができます。 また、火山灰に含まれる石英成分が水と比べて赤外線の吸収や散乱の特性が異なる特徴を利用することで、火山灰を強調して表示することも可能です。

下の衛星画像は、桜島の2017年4月28日の爆発的噴火の様子を捉えた動画です。 雲よりも少し茶色く見える火山灰が桜島から噴出し、東から南東方向に広がっていることがわかります。

2017年4月28日10時50分~18時(日本時間)
ひまわり8号のカラー再現画像(2.5分ごと)
[mp4形式 : 1.4 MB ]

海氷

海氷は船舶の航行に危険をもたらします。 また、海氷は海水と大気を遮断することで、両者の熱や水蒸気の交換に大きな影響を与えるほか、 海面に比べて太陽光の反射率が高く日射によって得られる熱量も大きく減少させます。 そのため、気象や気候の実態把握や予測には海氷の状況を正確に把握する必要があります。

下の衛星画像では2016年3月23日のオホーツク海の海氷を捕らえた画像です。 雲と氷で反射する光の強さが波長によって異なるという性質を利用し、海氷を水色で表示しています。 オホーツク海の海氷が明瞭に判別できます。

2016年3月23日9時~15時(日本時間)
ひまわり8号の可視と近赤外の画像を合成して作成した画像(10分ごと)
(Natural Color RGB合成画像)
[mp4形式 : 2.9 MB ]

黄砂

黄砂は、東アジアの砂漠域(ゴビ砂漠、タクラマカン砂漠など)や黄土地帯から強風により大気中に舞い上がった黄砂粒子が浮遊しつつ降下する現象です。 カラー再現画像を利用すると黄砂は雲よりも茶色の領域として識別することができます。 また、黄砂に含まれる土壌成分が水と比べて赤外線の吸収や散乱の特性が異なる特徴を利用することで、黄砂を強調して表示することも可能です。

下の衛星画像は、2016年5月7日に日本海に飛来した黄砂の状況です。 雲よりも茶色の砂が明瞭に判別できます。

2016年5月7日7時~18時(日本時間)
ひまわり8号のカラー再現画像(10分ごと)
[mp4形式 : 6 MB ]

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