運輸多目的衛星の概要

運輸多目的衛星(Multi-functional Transport Satellite:MTSAT)シリーズは、国土交通省(気象庁及び航空局)が運用する静止衛星です。 MTSATは、「ひまわり(GMS)」シリーズの後継機としての気象観測・気象衛星の機能(気象ミッション)と 航空管制の機能(航空ミッション)を併せ持っています。

目次

運輸多目的衛星の気象ミッション

気象衛星は、気象観測・気象衛星を行うことが困難な海洋や砂漠・山岳地帯を含む広い地域の雲、水蒸気、海氷等 の分布を一様に観測することができるため、大気、海洋、雪氷等の地球規模の監視に非常に有効です。 世界気象機関(WMO)は、世界気象監視計画の重要な柱の一つとして、複数個の静止気象衛星や極軌道気象衛星等からなる世界気象衛星観測網を提唱しています。 我が国は、その一翼を担う静止気象衛星「GMS」シリーズを、1977年(昭和52年)以来運用してきました。 MTSATの気象ミッションは、これを継承し、 我が国及びアジア・西太平洋域内各国における天気予報はもとより、 台風・集中豪雨、気候変動などの監視・予測、船舶や航空機の運航の安全確保に貢献します。

運輸多目的衛星の気象ミッション運用計画

運輸多目的衛星による観測

地球の雲の状態を撮影するために、MTSATに搭載されているイメージャは、可視域1チャンネル、赤外域4チャンネルのセンサーを持っています。 また、従来の1時間毎の撮影から、新たに30分毎の撮影(全球観測は毎時)を行うことにより、 これまで以上に連続的に台風その他の雲の移動を把握することが可能となります。 さらに、「ひまわり5号」と比べると、 1.赤外センサーを1チャンネル追加し、夜間における霧及び海面水温の観測精度を向上させる、 2.水平分解能及び階調数を向上させ高品質の画像を得る、 などの改良が図られています。 MTSATで得られた観測データは、雲画像はもとより、更にコンピュータ処理により風データが計算され数値予報に活用されるほか、 広域雲解析情報図、雲量分布資料等の解析情報が作成されます。

イメージャによる観測の仕組み

イメージャは、内蔵された走査鏡を東西及び南北方向に動かして地球を走査します。 走査鏡で集められた光は、さらにレンズ、フィルタで可視域(1波長帯)と赤外域(4波長帯)に分光され、 それぞれの強度が検出器で電気信号に変換されて地上に送られてきます。

Imager

運輸多目的衛星の主要諸元

位置 東経約140度、約145度の各赤道上約35,800kmの静止軌道上
姿勢制御方式 三軸姿勢制御方式(進行方向(ロール軸)、地軸方向(ピッチ軸)、
地心方向(ヨー軸)それぞれをスラスタ、ホイール等で制御する方式)
運用予定期間 気象ミッション 5年、航空ミッション 10年
Whole MTSAT2 figure

気象ミッションの主要諸元

センサーの波長
(μm)
可視
0.55~0.90
赤外1
10.3~11.3
赤外2
11.5~12.5
赤外3
6.5~7.0
赤外4
3.5~4.0
水平分解能 衛星直下点で可視1km、赤外4km
画像の階調 可視、赤外とも10ビット(1,024階調)
周波数 Sバンド(受信:2026~2035MHz、送信:1677~1695MHz)
UHF (受信:402MHz、送信:468MHz)

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