牧之原気象レーダー観測所(静岡レーダー)

静岡レーダー誕生の経緯

静岡レーダーは、富士山レーダーの代替として誕生しました。
昭和53年に更新した富士山レーダー2号機は、20年間使用してきたために老朽化が著しく、そろそろ更新の時期にきていました。 富士山レーダーは、遙か南海上から接近する台風の観測を主たる目的として整備され、その役割は十分果たしてきたのですが、台風の早期探知は、いまや観測技術の発達によって気象衛星で十分可能となっています。
このようなことから、レーダー更新にあたっては莫大な経費がかかり、しかも維持管理に困難な富士山頂で更新するよりも、陸上や沿岸部で発生する大雨などの定量的な観測に適したレーダーを 富士山レーダーの観測範囲とほぼ同等となるような場所に、新たに設置することが望ましいと判断されました。
その結果、静岡県の牧之原台地と長野県の車山の2カ所に設置すれば、富士山レーダーとほぼ同等の観測範囲が確保できるため、平成10年度、11年度の2カ年計画で整備され、平成11年11月1日10時(日本時間)から運用を開始しました。
牧之原台地に整備したレーダーを静岡レーダー、また、車山に整備したレーダーを長野レーダーと呼びます。なお、静岡レーダーは遠隔制御監視方式のレーダーで、通常は気象庁及び静岡地方気象台でレーダーの制御・監視などを行います。

気象レーダー観測

気象観測では、レーダーという「電波の目」を使って、現在どこにどのくらいの強さの雨や雪が降っているのかを常に見つめています。レーダーによる観測は、 各地の気象台やアメダスなどによる雨や気温、風などの観測、気象衛星による宇宙からの観測とともに、地球の大気の中で何が起こっているのかを知る重要な手段となっています。
気象庁では、このような観測を行う気象レーダー観測所を、国土のほぼ全域をカバーするように、全国20カ所に配置し、天気予報や注意報・警報などの発表に利用しています。

気象レーダーの原理

気象レーダーでは、マイクロ波と呼ばれる電波を使って、雨や雪を観測します。レーダーは、電波が空間を直進し、その進路上の物体(気象レーダーでは雨や雪)でエネルギーの一部が反射されるという性質を利用して観測を行います。
つまり、アンテナから発射され再び戻ってきた電波の強さから空中の雨や雪の量あるいは強さを測っています。また、電波は光と同じスピードで空間を伝搬する原理を利用して、電波が往復するのに要する時間から雨や雪までの距離を測ることができます。
さらにアンテナを回転させたり、アンテナを上下することにより、雨や雪の位置を測ることができます。なお、雨や雪などで反射された電波を「レーダーエコー」あるいは単に「エコー」と呼びます。

気象レーダー観測の概要