寄り回り波を知る

寄り回り波(よりまわりなみ)とは

「寄り回り波」は、富山湾特有のうねり性の高波です。 暴風によって日本海北部で発生した波が伝播して「うねり」となって富山湾に侵入します。
うねりは、海岸で局所的に高くなったり、富山湾の風や波が比較的静かになった頃に不意に打ち寄せることがあります。 このため、古来より多くの被害が発生しています。

「寄り回り波を知る」リーフレット(平成25年3月作成)

 富山地方気象台では、波浪災害に備えるために「寄り回り波を知る」というリーフレットを作成しました。
このホームページではリーフレットを掲載しています。ダウンロードしてお使いください。

「寄り回り波を知る」(PDFファイル:1.98MB)ダウンロード
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富山湾の地形と寄り回り波について

 富山県の海は、西方に能登半島を控えた袋状のため、北西の季節風が卓越する冬期でも、能登半島が自然の防波堤となり、外海に比べて概して平穏です。しかし、北から北東方向の開口部は、この方向からの高波の侵入が容易であるため、富山県の波浪害の多くは、この方向からの高波によって起こっています。
 富山県の波浪害の原因となる高波に、古くから寄り回り波と呼ばれる波があります。低気圧が発達しながら通過した後、風や波が静まり、漁や浜辺での作業を開始しようとする頃に、突如として打ち寄せる波をいいます。不意をつかれるために被害も大きく、古来より多くの悲惨な記録が残されています。この寄り回りは、主に北海道西方海上の海域で発生した波浪が、うねりとして富山湾やその周辺の海岸に伝搬してきた高波です。
 冬型の気圧配置となり、北海道あるいはその東方海上に非常に発達した低気圧があり、北海道西方海上で強い季節風が長時間続くと、この海域では高波が発生します。この高波がうねりとなって南南西に向かうわけですが、日本海から富山湾の奥にまでのびる海域は1,000m以上の深海域のため、うねりのエネルギーを減衰させることが少なく、その伝搬に格好の条件を備えています。
寄り回り波発生時の天気図例と水深概略図