伏木特別地域気象観測所(旧伏木測候所)の変遷

藤井能三氏
伏木燈明台
臥浦
古国府
移転の変遷

1. 創設の経緯

 伏木測候所は伏木港の回船問屋、藤井能三氏により私立伏木測候所として設立された。
 氏は、海外との貿易を目的に、伏木港の近代化を計画して伏木燈明台(とうめいだい)を私費で構築した。
 明治15年9月に伏木燈明台の一部を伏木庁舎にあて、明治16年4月より観測事務を始め、同年12月1日をもって伏木測候所の創立としている。

2. 臥浦への移転経緯

 設立当初は観測者1名体制であったが、日増しに業務量が増加し、明治19年に県への移管請願書を提出。
 明治20年4月1日に県立伏木測候所として再発足した。
 県営への移管後、業務量は更に発展拡張され、観測器械の設置にも適切さを欠くようになったため 有志者の
 寄付により臥浦(ふしうら)に新庁舎(495㎡)を建設・移設した。
 この工事は明治25年5月起工し6月20日竣工してこれを県に寄付している。

3. 古国府字東館への移転経緯

 海岸の隣近した位置にあったため浸蝕を受けることが多く、わずか十数年の間に退廃して庁舎が傾いたため、臥浦から移転改築に迫られた。
 明治33年と同40年の2回に渡って激浪が構内を襲い、建物破壊、観測器械流出等の被害を受け、次の移転地への改築が急務となった。
 明治42年3月31日に古国府(ふるこくふ)字東館に新庁舎が落成、同年4月30日に移転(合併後は古国府47番地)後、同年5月1日から観測開始した。

4. 第二次世界大戦後から現在

 富山県伏木測候所は、昭和14年11月1日国に移管され中央気象台伏木観測所と改称、同16年10月25日伏木測候所と改称した。
 昭和49年11月アメダス一要素(雨量)観測開始、同50年12月12日アメダス四要素(気温・日照・雨量・風向風速)観測開始。平成10年3月1日、伏木特別地域気象観測所となった。

組織・制度の変遷

明治16年12月1日私立伏木測候所として伏木燈明台に設立,観測開始
明治18年 地震観測開始
明治19年1月1日6回観測実施
明治20年4月1日県営に移管され,富山県伏木測候所と改称される
明治25年7月3日伏木町臥浦に移転
明治26年4月1日地方天気予報発布
明治28年2月1日ミルン式地震計による観測開始
明治42年3月31日現庁舎(現在は高岡市伏木気象資料館)完成
明治42年5月1日伏木町古国府字東館にて観測開始
昭和14年11月1日国営に移管され,中央気象台伏木観測所となる
昭和16年10月25日伏木測候所と改称
昭和17年4月1日伏木町は高岡市に合併
昭和20年5月19日気象官署の所管が運輸省となる
昭和20年10月2日地震計による地震観測業務を廃止
体感観測(震度,聴覚,視覚)のみとなる
昭和56年4月1日夜間業務を富山地方気象台へ集約
昭和58年12月1日創立100周年
昭和63年12月23日80型地上気象観測置による観測開始
平成3年4月1日定員3名になる
計測震度計運用開始
平成4年2月1日積雪深計の運用開始
平成10年2月 95型地上気象観測装置による観測開始
平成10年3月1日特別地域気象観測所へ移行
平成23年12月1日10型地上気象観測装置による観測開始

伏木特別地域気象観測所が新しくなった経緯

平成10年3月の測候所自動化(無人化)に伴い、庁舎については、間仕切りして観測機器等を配置し、その他は使用しない状況となった。このため、当該敷地の使用状況は非効率であり、必要部分以外は国有地として有効利用する必要があるとされ、財務局との調整のうえ、敷地550㎡の中に観測局舎を再配置することとなった。  観測局舎を再配置するための工事は、平成13年12月中旬より行なわれ、平成14年1月末完成し地上気象観測、震度観測を再開した。

観測局舎正面
観測局舎側面
DCPアンテナ
震度計