稚内地方気象台の仕事

稚内地方気象台の1日

それでは、最北の気象台の1日を簡単にご紹介します。当番者は365日休まずに交替で勤務しています。

天気に休みはありません。では早速見てみましょう。


  • 07:40

    高層担当早番の観測当番が出勤してきます。

    高層気象観測のための気球飛揚のため、この時間から仕事が始まります。

  • 08:15

    高層気象観測の準備が進んでいます。

    気球に水素ガスを充填してGPSゾンデという観測器械をつけて飛揚の準備をします。水素ガスは危険が伴うので慎重な作業が要求されます。

    左は気球を広げて水素ガスを充填するところです。

    右はGPSゾンデという観測器械です。

  • 08:30

    準備していた気球を飛揚します。

    左は気球に水素ガスが充填済のところです。

    右は飛揚の瞬間です。

  • 08:50

    観測室では先ほど空へ飛揚した機器から送られてくるデータを受信しています。高層気象観測のデータは予報を作成するうえでとても重要です。

    観測室ではデータを受信しています。

  • 08:30

    一方、同じころ観測予報を行う現業室では、昨日からの札幌管区気象台の夜勤者が稚内地方気象台の日勤者に引継を行うとともに、予報の検討を行います。

    札幌管区気象台の夜勤者からの引継が行われています。

  • 09:00ごろ

    冬の季節はこの時間に海氷観測を行います。

    今年は稚内に流氷はくるのでしょうか?

    なお、流氷が近づいてきた場合には必要に応じて随時観測をします。

    屋上から双眼鏡による海氷の観測を行っています。

  • 10:30

    11時(昼)予報を発表するために予報官が膨大な資料と格闘中です。

    (11:00に発表します。)

    左は昼予報発表のため予報官が資料の解析や予報の検討をしています。

    右は予報の確認作業をしています。

  • 11:00

    事務室もちょっと覗いてみましょう。

    ここでは総合的な案内や情報公開に関する受付窓口の仕事や気象資料の閲覧窓口の仕事、気象に関する証明等の仕事をしています。

    事務室の様子です。

  • 13:45

    高層担当の遅番が出勤してきます。

    この時間に出勤して22:00まで仕事が続きます。

  • 16:30

    17時(夕方)予報を発表するための作業を行います。
    (17:00に発表します。)

  • 16:45

    朝08:30と同様に、稚内地方気象台の日勤者が札幌管区気象台の夜勤者に引継を行います。

  • 17:15

    事務室では本日の業務終了です。

  • 20:30

    高層気象観測として、朝08:30と同様のGPSゾンデの飛揚作業が行われます。

    左は風船に水素ガスを充填しているところです。

    右は徐々に膨らむ気球です。


駆け足で稚内地方気象台の1日を見てきましたがいかがでしたか?
365日休むことなく、続けられている仕事です。でも、私たちにはとてもやりがいのある仕事だと思い、みんな誇りを持って働いています。
今後もよりよい情報をより早く、的確に伝えられるよう努力していきます。


高層の気象

稚内地方気象台で行っている高層気象観測をご紹介します。

高層気象観測とは?

水素ガスをつめた大きな気球に器械をつり下げて飛ばし、上空約30キロまでの気圧・高度・気温・湿度・風向・風速を観測することです。

この観測は全世界で同時に行われていて、日本では16ヶ所で朝と夜の2回(8時30分と20時30分)気球を飛ばしています。

観測した結果は天気予報の基礎データとして、また気候変動・地球環境の監視に用いる他、航空機の安全な運航にもかかせないものとなっています。

どんな器械を使うの?

■GPSゾンデ

上空約30キロメートルまで上昇し、気圧・高度・気温・湿度・風向・風速を観測するのに使われます。

温度計と湿度計は、GPSゾンデから突き出たアームに取り付けられており、GPSアンテナ、電池等がGPSゾンデの本体内部にあります。GPSゾンデの下から伸びるアンテナから、ゾンデが観測した気温や湿度等のデータが観測室へ送られてきます。

本体寸法

  • 高さ×幅×奥行き: 131×53×55 ミリメートル
  • 重量(電池を含む): 約40グラム

■気球

天然ゴムで作られています。

この中に、1600グラムのものを持ち上げる量の水素ガスをつめます。

水素ガスをつめ終わると、気球の直径は約1.7メートルになります。

気球は高度が上がるにつれて膨らんでいき、最終的には写真の数倍となり、やがて破裂します。

■パラシュート

気球が破裂したあとに開き、観測器械がゆっくりと落下してくるようになっています。

■全景

これらをつなげると全長が約17メートルにもなります。

落ちている器械を拾ったら?

気球が破裂することで観測が終わり、観測器械は落下を始めます。

稚内から飛ばされた観測器械のほとんどは、オホーツク海へと落ちていきます。
しかし、夏など上空の風が弱いときや、風向きによって陸地に落ちることがあります。


稚内地方気象台(気象庁)が使っている器械には次のようなシールが貼られていますので、拾われた場合には確認をお願いします。

万が一、稚内地方気象台(気象庁)が使っている器械により損害が生じましたら、観測器械に記載されている連絡先までご連絡ください。

ちなみに...
気象庁以外に気球を使って高層気象観測を行っている機関はいくつかありますので、無理のない範囲でご確認をするか、最寄の警察に連絡をお願いいたします。


  • 他の機関例
    • 「防衛省」
    • 「大学などの研究機関」
    • 「日本気象協会」