観測船による海洋・海上気象観測

函館地方気象台(旧函館海洋気象台)の海洋気象観測船「高風丸」は、函館港を母港に、主に北海道周辺・本州東方海域で上空約25kmまでの気圧、 気温、湿度、風の観測から水深約4000mまでの水温、海流、化学成分などの観測を季節ごとに2010(平成22年)2月まで実施してきました。
ここでは、実施してきた海洋・海上気象観測と各種観測機器の設置・回収について紹介します。
観測船の歴史については、函館海洋気象台(旧函館海洋気象台)の観測船の歴史を、観測結果については、 海洋気象観測船による海洋・海上気象観測資料 をご参照ください。

2010(平成22年)4月以降、函館地方気象台(旧函館海洋気象台)が担当していた北海道周辺・本州東方海域は気象庁本庁(東京)所属の凌風丸・啓風丸 が観測しています。

海洋観測について

函館地方気象台(旧函館海洋気象台)で実施してきた海洋観測業務について紹介します。


函館地方気象台(旧函館海洋気象台)が観測していた海域


観測していた海域

 函館地方気象台(旧函館海洋気象台)所属の海洋気象観測船「高風丸」は、主に北海道周辺・本州東方海域において、 海面から海底付近までの海洋観測を季節ごとに実施してきました。
 左図は高風丸の主な観測定線を表示しています。これらの観測定線に沿って、定期的に海洋観測を行なっていました。
 図をクリックすると、より大きな画像(gif: 21k byte)が見られます。


海洋観測の種類


海洋観測の種類

 海洋観測定線に沿って、海面から海底付近までの海水温や塩分、化学成分の観測を実施してきました。また、 深さ100m付近までの海水の流れや、動植物プランクトン、海洋汚染物質等の観測も行ってきました。これらのデータを解析し、海水温や親潮 の状態など海況の実況把握と予報をします。
 高風丸によって観測された結果は、「海洋気象観測船による定期海洋観測結果(北海道周辺・日本東方)」で 詳しく閲覧することが出来ます。
 左図は、2005年6月に高風丸によって観測された、東経141度40分から146度40分までの北緯41度30分線上に沿った海水温の断面図です。 この結果を利用して親潮の勢力などを調べます。
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海上気象観測について

高層気象観測

 海洋気象観測船「高風丸」による海上気象観測では、北海道周辺・本州東方海域において、やませ・海霧・季節風・大雪・流氷等の 気象現象の観測を行っていました。これらの観測結果は、日々の気象予報、各種の注意報・警報や気象情報に利用されています。 また、長年にわたる観測データは気候変動の監視にも利用されます。
 左は高層気象観測の様子です。上空約25kmまでの大気の状態(気温、湿度、気圧、風向風速)を観測しています。


各種観測機器の設置・回収について

 高風丸は北海道周辺・本州東方海域で、気象庁や大学などで実施している観測に用いられる次の機器の設置・回収および放流などを実施してきました。


漂流型海洋気象ブイロボット

・漂流型海洋気象ブイロボット(気象庁)
 船舶の安全航行や気候変動などの調査のため放流しており、海面の気圧、水温、波浪を自動観測しています。
 漂流型海洋気象ブイロボット観測データ
・中層フロート(気象庁)
 全世界の海洋の状態を常に監視することを目指し、2000年から開始された国際プロジェクト「アルゴ計画」により投入しており、海中の水温・塩分を測定しています。
 Argo(アルゴ)計画(海洋の健康診断表 総合診断表)


自己浮上式海底地震計

・自己浮上式海底地震計(気象庁ほか)
 宮城県沖で発生する地震活動の特徴を把握することを目的として、東京大学・東北大学と共同観測を実施しています。
 上の写真は漂流型海洋気象ブイロボット、下の写真は自己浮上式海底地震計です。


観測結果は、みなさまの生活へ反映されています。

海流

親潮の情報は、北日本の海霧や低温などの予報に役立ち、海水温の情報は大雪をもたらす恐れがあるなどの天気予報 や冬の海氷の予報にも使われます。 また、地球温暖化をはじめとする気候変動を捉える目的にも使われます。海洋観測の結果は地球温暖化をはじめとする 気候変動の解明や季節予報のほか、気球環境の監視と予測のためのデータして活用されます。地球環境に関連した海洋 現象を総合的に判断し、その結果をわかりやすく解説した海洋の健康診断表 を気象庁HPでは提供しています。
左図は、北海道周辺・日本東方沖の主な海流と気象現象を模式化したものです。図をクリックすると、より大きな画像(gif: 61k byte)が見られます。