火山の噴火警報・予報と噴火警戒レベルについて

鹿児島地方気象台長 瀧下


 こんにちは、鹿児島地方気象台長の瀧下です。

 日本には多くの火山があり、美しい景観や温泉など私たちに多くの恩恵を与えてくれます。一方、ひとたび噴火すると人命にかかわる災害をもたらすこともあり、火山活動の状況に留意しておく必要があります。

 気象庁は、噴火災害軽減のため、日本にある111の活火山を対象に噴火警報・予報を発表しています。このうち、今後100年程度の中長期的な噴火の可能性や噴火した際の社会的影響を踏まえ、50火山については噴火の前兆を捉えて噴火警報等を適確に発表するために地震計や傾斜計、監視カメラなどの火山観測施設を整備し、大学等の研究機関や自治体・防災機関等が行う観測データの提供も受けて、火山活動を24時間体制で常時観測・監視しています(常時観測火山)。

 鹿児島県には11の活火山があり、そのうち桜島、霧島山、薩摩硫黄島、口永良部島、諏訪之瀬島の5火山については常時観測火山としています。この5火山に対しては、火山活動の状況に応じて「警戒が必要な範囲(生命に危険を及ぼす範囲)」と、防災機関や火山周辺の住民の方、観光客、登山者などが「とるべき防災対応」を5段階に区分した噴火警戒レベル及びキーワード(レベル1:活火山であることに留意、レベル2:火口周辺規制、レベル3:入山規制、レベル4:高齢者等避難、レベル5:避難)を噴火警報や噴火予報に付して発表しています。

噴火警戒レベルとキーワード

 噴火警戒レベルは、鹿児島県と各火山の地元市町村が共同で設置する「火山防災協議会」において、平時から構成機関(気象台、国土交通省地方整備局等の砂防部局、自衛隊、警察、消防、研究機関の火山専門家など)と共同で各レベルに対応する火山活動状況や防災対応などを検討したうえで設定されているものです。

 実際に身近にある火山に噴火警報が発表されたとき、適切な行動をとれるよう日頃から火山の活動状況を知っておくことが大切です。発表中の噴火警報、噴火警戒レベルや火山情報は気象庁のホームページ(桜島霧島山(えびの高原(硫黄山)周辺大幡池新燃岳御鉢)、薩摩硫黄島口永良部島諏訪之瀬島)で確認することが出来ます。あらかじめそれぞれのレベルにおける警戒が必要な範囲や取るべき行動を確認していただき、噴火活動に対して身を守る行動をお願いします。

 また、噴火警戒レベルが1の火山や噴火警戒レベルが発表されていない静穏な火山でも、活火山であることを意識しておくことも必要です。火山に登山される際には、噴火に遭遇した際に身を隠す退避壕などの場所の事前確認や、「ヘルメット」や「噴火速報を受信できる端末」を持参するなどの準備をしていただき、登山中は火口付近の様子に気を付けるなど、常に身を守る行動が取れるよう心がけておくことが大切です。

(2022年2月24日掲載)