津波から身を守るために

鹿児島地方気象台長 瀧下

 こんにちは、鹿児島地方気象台長の瀧下です。

 「平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震」の発生から11年が経ちました。毎年3月11日が近づくと多くのメディアが当時を振り返り、津波の怖さや津波から身を守るための特集が組まれています。その報道を見て皆さんはどのように感じておられるでしょうか。

 今年1月15日昼過ぎにトンガ諸島付近で大規模な火山噴火が発生し、噴火に伴う潮位変化を観測したことから、気象庁は16日夜半過ぎに、「奄美群島・トカラ列島」に津波警報を、「鹿児島県東部」「鹿児島県西部」「種子島・屋久島地方」などの太平洋沿岸の広い地域に津波注意報を発表しました。今回の潮位変化は、地震に伴い発生する通常の津波とは異なるものの、防災上の観点から「津波警報・注意報」を使って防災対応を呼びかけたものです。国内に津波警報が発表されたのは平成28年(2016年)11月22日の福島県沖の地震以来6年ぶり、鹿児島県に津波警報が発表されたのは東日本大震災以来11年ぶりでした。今回の津波注警報の発表に伴い、県内では、車を利用して避難したものの渋滞に巻き込まれて高台まで避難できなかったり、津波避難ビルが近くにあることを知らなかったために遠くの避難場所を目指してしまうなど、津波からの避難に関して様々な課題が明らかになりました。

 南海トラフのプレート沿いで発生する「南海トラフ地震」は概ね100年から150年間隔で繰り返し発生しており、前回の大地震発生から70年以上が経過した現在では、次の南海トラフ地震発生の切迫性が高まっています。鹿児島県の想定によると南海トラフで最大クラスの地震が発生した場合、鹿児島の太平洋沿岸に最大で10mを超える津波が到達するおそれがあります。
 津波から身を守るためには、日ごろからの備えが重要です。下記リンク先の津波への備えや避難の方法を参考にして、その時に備えてください。

参考資料
気象庁ホームページ 津波から身を守るために
気象庁リーフレット 津波防災
気象庁リーフレット 「南海トラフ地震–その時の備え-」

(2022年3月7日掲載)