出水期をむかえて

鹿児島地方気象台長 瀧下


 こんにちは、鹿児島地方気象台長の瀧下です。

 奄美地方は平年より1日早く、5月11日ごろに梅雨入りしたと見られます。
 (6月2日時点では)九州南部も間もなく梅雨入りを迎えようとしています。
 【6月11日:九州南部は梅雨入りしたとみられます】

 鹿児島県では梅雨から台風シーズンにかけて、これまでに大雨による土砂災害や河川の氾濫などが度々発生しています。

 近年、集中豪雨による土砂崩れや河川の氾濫により、全国各地で甚大な被害が発生しています。
集中豪雨をもたらす現象の1つに線状降水帯があります。
鹿児島県では昨年7月10日明け方から朝にかけて薩摩地方の北部で線状降水帯が発生し、大雨特別警報を発表しました。
甚大な被害をもたらす線状降水帯の発生を事前に予測することは技術的に困難ですが、できるだけ早めの避難につながるよう、本年6月1日から、九州南部・奄美地方のどこかで線状降水帯の発生する可能性が高いと予想された場合には、半日程度前から気象情報で呼びかけを行うこととしました。

 お住いの地域についてハザードマップなどでどのような危険があるか確認していただき、大雨となった際の避難場所や避難経路を確認しておいてください。避難先としては、避難所だけでなく安全な親戚・知人宅なども考慮してください。

 毎日の天気予報で雨の予報が出ている場合は、大雨の早期注意情報(警報級の可能性)を確認していただき[中]や[高]が出ているときは、大雨となる可能性があります。鹿児島地方気象台が段階的に発表する大雨注意報・大雨警報などの防災気象情報、雨雲の動きキキクル(危険度分布)を活用し、早め早めに自ら安全な場所へ移動する判断をしてください。キキクル(危険度分布)では、遅くともお住いの地域に「非常に危険(うす紫色)」が出現した時点で速やかに避難を開始することが重要です。(本年6月30日に危険度の段階(色分け)の変更が予定されています。詳細は「今出水期から行う防災気象情報の伝え方の改善について」をご覧ください)

 また、大雨注意報・警報が出ている時は、崖には近づかない、川の様子や田畑の様子を見にいかないようにお願いします。
大雨の際は、災害が想定される地域にお住いの方は、市町村から発令される避難情報に従い、適切な避難行動をとってください。
周りの状況を確認し、避難場所への避難がかえって危険な場合は、少しでも崖や沢から離れた建物や、少しでも浸水しにくい高い場所に移動するなど、身の安全を確保してください。

 雨雲の動きやキキクル(危険度分布)などの気象情報は、スマートフォンなどで気象庁ホームページを確認していただくようお願いします。(参考:気象庁ホームページ防災情報ページカスタマイズ案内)

 少しでも危険を感じた場合には、自ら安全な場所へ移動する判断をお願いします。自分の命、大切な家族の命を守るという強い意識を持って、大雨に備えましょう。

(2022年6月2日掲載)