「津波フラッグ」は避難の合図!

台長

こんにちは、鹿児島地方気象台長の瀧下です。

連日のように猛暑が続き、海のレジャーを楽しむ機会も増えたのではないでしょうか。
しかし、海水浴場などでレジャーを楽しむ際には、津波への注意が必要です。

日本は、世界有数の地震大国で、これまで多くの地震や津波による災害を経験してきました。
地震は一般の気象災害とは異なり、事前に発生を予測することができません。
気象庁では、大きな地震が発生し、津波による災害が予想される場合は、地震発生後約3分を目標に大津波警報、津波警報、津波注意報を発表して注意や警戒を呼び掛けています。
津波が伝わる速度は水深が深くなるほど早く伝わる性質があり、沖合ではジェット機に匹敵する時速800kmにもなります。
水深が浅くなるほど伝わる速度は遅くなりますが、海岸付近でも車と同じくらいの速さのため、津波を見てから逃げても間に合いません。
このため、津波警報等を見聞きしたり、海の近くで強い揺れが発生した場合には、まず身を守った後、ただちに海辺から離れ、より高い安全な場所へ避難することが重要です。

津波警報等は、テレビやラジオ、携帯電話、サイレンなど様々な手段で伝達されます。
さらに令和2年6月からは、海水浴場などで「津波フラッグ」という旗を人が振ることで視覚的伝達も行われるようになってきました。
「津波フラッグ」は、長方形を四分割した赤白格子模様の旗(※)で、これを用いることにより聴覚に障害をお持ちの方や、波音や風で音が聞き取りにくい遊泳中の方などにも、津波警報等の発表を視覚的にお伝えするものです。
鹿児島県内でも「津波フラッグ」を導入している市町村が少しずつ増えてきています。
海水浴場や海岸付近で津波フラッグを見かけたら、速やかにより高い場所へ避難してください。

※津波フラッグは、主に船舶間の通信に用いられ、「貴船の進路に危険あり」を意味する国際信号旗である「U旗」と同様のデザインです。U旗は、海外では海からの緊急避難を知らせる旗として多く用いられています。ただし、U旗は、他の国際信号旗と組み合わせることによって、別の意味になることがあります。

津波から身を守るために
日ごろからの備え

  1. 自宅や学校、職場周辺などで津波に襲われるおそれのある場所をハザードマップや周囲の地形から確認しておきましょう。
  2. 津波避難場所や津波避難ビルがどこにあるか、また避難経路などをご家族や周りの人と確認しておきましょう。避難場所は1か所だけでなく、さらに高い場所にあるところも調べておきましょう。
  3. 津波防災訓練には積極的に参加しましょう(普段できないことはいざという時にもできません)

安全を確保するための行動
  1. 津波からの避難はより遠くではなく、より高くを心がけましょう。
  2. 津波は繰り返し襲ってくるので、津波警報・注意報が解除されるまで、避難を続けましょう。
  3. テレビやラジオ、スマートフォン、行政の広報車、防災行政無線などで正確な情報を入手しましょう。

(2022年8月1日掲載)