地球温暖化について

鹿児島地方気象台長 菅野

 こんにちは、鹿児島地方気象台長の菅野です。

 地球温暖化は、大気中に二酸化炭素などの温室効果ガスが増えることで、地表面の熱が逃げにくくなり、地球規模で気温や海水温が上昇する現象です。平均的な気温の上昇のみならず、異常高温(熱波)や大雨・干ばつの増加などの様々な気候の変動を伴います。

 今年の夏(6月~8月)の日本の平均気温は平年より1.76℃高く、1898年の統計開始以降、最も高くなりました。また世界の平均気温も1891年の統計開始以降、最も高い値を記録しています。7月28日には世界気象機関が今年の7月が観測史上最も暑い夏になる見通しとの発表を受けて国連のグテーレス事務総長が「地球温暖化の時代は終わり、“地球沸騰”の時代が到来した」と警告したという報道もありました。気象庁では日本の異常気象だけでなく、世界の異常気象についても取りまとめており、ホームページで公開しています。

 気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第 6次統合報告書(AR6)が今年3月20日に発表されましたが、この中では人間の影響により既に約1.1℃の温暖化していること、世界全体の温室効果ガスは増加し続けており、人間活動が主に温室効果ガスの排出を通して地球温暖化を引き起こしてきたことには疑う余地がないと報告されています。さらに大気、海洋、雪氷圏及び生物圏において、広範囲かつ急速な変化が現れており、自然と人々に対して広範な悪影響や損失・損害をもたらしていると評価をしています。

 国内では毎年のように大雨による自然災害が発生しておりますが、大雨や台風の災害に遭われた方は、「長く住んでいるけど、こんなことは初めてだ」とお話しされることが多いです。大気は気温が高いほど、より多くの水蒸気を含むことができる性質があります。地球温暖化がさらに進むと、より大量の水蒸気のために、大雨をはじめとする気象現象も極端さが増し、引き起こされる災害も深刻となることが懸念されます。まさしく”これまでに経験したことのない“ことが起こりえます。いまの私たちにできる最善のことは温暖化防止策を学び、実行することが、郷土を守り、これからの時代を担う子供たちの環境を守ることではないでしょうか。

 気象庁はこれからも地球温暖化の問題に対して、気象・気候の監視、防災気象情報の発信、異常気象の報告、国際協力などに取り組んでまいります。

 (2023年12月12日掲載)