津波から身を守るために

鹿児島地方気象台長 菅野

こんにちは、鹿児島地方気象台長の菅野です。

今年の1月1日に発生した「令和6年能登半島地震」では、最大震度7を観測する強い揺れにより建物などに大きな被害を生じましたが、同時に大きな津波が観測されており、報道によると石川県だけでなく新潟県や富山県でも被害が確認されています。また、今から13年前に発生した「平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震」では、最大で9メートルを超える高さの津波が発生し、甚大な被害が生じたことは皆さんもご存じの通りです。この地震が発生した3月11日が近づくと、毎年多くのメディアが津波の特集番組を組み、津波の怖さや身を守るための啓蒙活動が取り組まれています。

鹿児島県は周囲を海に囲まれ、数多くの離島を抱えているため、過去に何度も津波による被害を受けてきました。そこで鹿児島県庁では、過去の知見に基づき、さまざまな津波についてシミュレーションを行って想定をされており、その中には「南海トラフ地震」や鹿児島湾直下型地震のように地震に伴う津波、そして桜島の海底噴火による津波などもあります。

なかでも「南海トラフ地震」は概ね100年から150年間隔で繰り返し発生しており、前回の大地震発生(昭和21年(1946年))から80年近くが経過した現在では、次の南海トラフ地震発生の切迫性が高まっています。先ほどの鹿児島県庁の想定によると、南海トラフで最大クラスの地震が発生した場合、鹿児島の太平洋沿岸に最大で10mを超える津波が到達するおそれがあります。

南海トラフ地震に対しては、国の研究機関などにより観測網の整備が進められており、気象庁は、これらの観測データを活用して、より早く、より正確な緊急地震速報や津波警報などの提供に努めてまいります。

津波からご自身の身を守るには、日頃からの備えが重要です。気象庁ではホームページをとおして、津波への備えについての情報を提供しています。ぜひご一読して、安全・安心のための知識を身につけてください。

❏写真で紹介しているリーフレット・パンフレット


(2024年3月6日掲載)