神戸コレクション

神戸コレクションのうち商船等によるものの、年別データ数・船舶数

図1 神戸コレクションのうち商船等によるものの、年別データ数・船舶数

 神戸地方気象台(旧神戸海洋気象台)では、1890年(明治23年)以降の日本近海や外洋を航行する商船・漁船・観測船による気温、気圧、海面水温、風、波浪等の観測データを書き入れた海上気象観測表を収集・保管してきました。 商船等によるものは1889年から1960年までにわたる680万通にのぼり(図1)、さらに同気象台にて保管してきた旧海軍データは1903年から1944年にかけて数百万通に達します。 世界的にデータの少ない時代及び海域をカバーしているこれらの貴重なデータは、海洋学関係者の間で「神戸コレクション (the Kobe Collection)」と呼ばれています。

 1961年(昭和36年)には、このうち、1933年(昭和8年)以降の商船等の観測データ(約270万通)について、気象庁と米国海洋大気庁 (NOAA) の共同事業によってデジタル化を行いました。 デジタル化されたデータは世界的に広く利用されている海上気象データセットである「統合海洋気象データセット (COADS: NOAAと米国大気研究センター(NCAR) で作成) 」にも収録されて、様々な研究・解析に活用されています。 1933年以前のデータについては、最近までマイクロフィルムで保管されており調査研究を行うのに利用しにくい状態となっていたので、そのデジタル化が強く望まれてきました。
 このため、気象庁の指導の下、(財)日本気象協会が日本財団の補助事業として1932年(昭和7年)以前のデータのデジタル化に取組んできました。 補助事業でデジタル化されたもの及び気象庁で試験的にデジタル化されたものを併せて、気象庁での品質管理を行い、そのデータ計1,045,862通が公開されることになりました。

 これまでにデジタル化された神戸コレクションの地理的分布図を下(図2)に示します。これを見ると、その約8割が北太平洋にあり、特に日本近海及び日本と北米西岸を結ぶ航路上、ハワイ航路上などにデータが多いことが分かります。

デジタル化された神戸コレクションの地理的分布図

図2 デジタル化された神戸コレクションの地理的分布図