備えていますか?東日本台風の再来

今後の台風はどうなる?

地球温暖化で、降水量はさらに増える!?

 今後、更に地球温暖化が進行した場合、台風の気圧や降水量等はどのように変化し、我々の生活にどのような影響をもたらすのでしょうか。

 環境省の報告書では、関東・東北地方の雨が、2℃上昇シナリオでは平均して6%(5ケースの最小値及び最大値は4%、11%)、4℃上昇シナリオでは平均して22%(同じく9%、32%)増加することを示しています。

図3

 図3 関東・東北地方において平均した時間降水量・累積降水量の変化

「勢力を増す台風 ~我々はどのようなリスクに直面しているのか~ [令和元年東日本台風の疑似温暖化実験]」(環境省)より抜粋

地球温暖化で、川の流量も増える!?

 こちらは、河川のシミュレーション結果です。ある地点におけるピークの流量では、オレンジの2℃上昇シナリオでは平均して15%増加、赤の4℃上昇シナリオでは平均して29%増加する傾向となりました。

 令和元年東日本台風では、大河川でも氾濫危険水位、つまり、これ以上、流量が増えると氾濫する恐れがある水位までのギリギリの状態に達した川は13水系もありました。

 これらギリギリの大河川で、流量が15%、29%増えたらどうなるでしょうか。

図4

 図4 対象河川・基準地点とピーク流量の変化

「勢力を増す台風 ~我々はどのようなリスクに直面しているのか~ [令和元年東日本台風の疑似温暖化実験]」(環境省)より抜粋

地球温暖化で、台風の風速も増加!?

 風について比較すると、東京湾では、現在気候で見られなかった34m/s以上の領域が4度上昇シナリオでは広がっています。温暖化により台風の風も強くなります。

図5

 図5 東京湾上の最大風速の分布(左:現在気候、右:4℃上昇シナリオ)

「勢力を増す台風 ~我々はどのようなリスクに直面しているのか~ [令和元年東日本台風の疑似温暖化実験]」(環境省)より抜粋

地球温暖化で、潮位も高くなる!?

 この図は、東京湾周辺における高潮のシミュレーションです。

 ※SuWATは、この図で用いた高潮モデルの名前。詳細は参考文献「勢力を増す台風 ~我々はどのようなリスクに直面しているのか~ [令和元年東日本台風の疑似温暖化実験]」(環境省)を参照。

 令和元年東日本台風の襲来時には干潮に向かう時に高潮となり通常時より1.6mほど高くなりました。もし、満潮だったらというのが真ん中の図で2.5mほど高くなっています。さらに地球温暖化が進めば右の図のとおり3.5mを超える高い値が出ています。

 東京都東側には、海より低いいわゆる「ゼロメートル地帯」がありますが、これらの地域でのリスクが高まります。

 また、高潮になることで、大河川の水が海に流れることができなくなり、結果、河川におけるリスクも高まります。

図6

 図6 東京湾周辺における最大水位の変化(満潮時+海面水位上昇を考慮、SuWAT)

「勢力を増す台風 ~我々はどのようなリスクに直面しているのか~ [令和元年東日本台風の疑似温暖化実験]」(環境省)より抜粋

今後、日本の近海で非常に強い台風が増える!?

 こちらは、今後地球温暖化が進んだら、熱帯低気圧はどこで増えて、どこで減るのかというをシミュレーションしたものです。

 上の図では、温暖化により日本の南海上では熱帯低気圧の存在頻度は減るということを示しています。下の図は非常に強い熱帯低気圧、ここではカテゴリー4以上の最大風速秒速59m以上の熱帯低気圧、日本だと「猛烈な台風」となりますが、この「猛烈な台風」の日本近海で増えることが示されています。

 日本近海で台風が発生したり急発達すると、避難や防災対応のリードタイムが取れないということになります。特に、時間的猶予が必要な広域避難などは難しくなる可能性があります。

図7

 図7 熱帯低気圧の存在頻度の将来変化(4℃上昇シナリオと過去の再現実験の差分)

「日本の気候変動2020」(文部科学省及び気象庁)より抜粋

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