過去の地震・津波被害

奄美地方における過去の地震・津波被害の記録を以下に載せています。

過去の地震被害

円の大きさでマグニチュードの大きさを、円の色で震源の深さを表しています。

震央分布図

*1926年以降のデータは、新マグニチュードに改訂しています。

震央 奄美大島近海 N28° E130°

有感域は東北南部に及ぶが被害は少なかった。

名瀬市で石垣崩壊など小被害があり、宮崎県細島で波高21~24cm。

震源 喜界島近海 N28° E130° 深さ100km

被害は喜界島、奄美大島、徳之島、沖縄島などにおよび、最大は喜界島で死者1名、傷者9名、住家全壊401棟、半壊533棟。全体を通じて死者12名、家屋全壊422棟。

震源 沖縄本島近海 (沖永良部島近海) N27°16.6′ E129°08.8′ 深さ47km

沖永良部で震度4、軽微な被害あり。

震源 沖縄本島近海 (沖永良部島近海) N27°18.6′ E128°43.2′ 深さ8km

沖永良部の役場と体育館の壁にひびが入った。

震源 奄美大島近海 N28°29.5′ E129°05.7′ 深さ0km

奄美本島の名瀬市・大和村に被害が多く、本島で傷者5名、崖崩れ4カ所、徳之島伊仙町で崖崩れ、全体で住家一部破損1,462棟、水道関係32ヶ所、土木関係14件の被害あり。

名瀬港埠頭のコンクリートに亀裂生ず。

震央 トカラ列島近海(小宝島近海) N29.2° E129.3°

小宝島で地割れ・瓦のずれを生じた。(震源要素は日本被害地震総覧による)

震源 奄美大島北東沖 N28°52.6′ E129°59.4′ 深さ31km

小宝島の道路に地割れ。

震源 奄美大島近海 N28°42.4′ E129°14.8′ 深さ45km

名瀬市で、陳列棚から商品が落下して破損するなどの被害があった。(福岡管内地震活動図 1995,7,下旬)

震源 奄美大島近海 N28°01.9′ E130°22.8′ 深さ39km

奄美諸島を中心に南部から沖縄諸島の広い範囲で有感となり、喜界島で震度5を観測した。また、また、この地震により津波が発生し、九州から伊豆大島までの各地で12~24cmの津波を観測した。

この地震による被害は主として喜界島の南部で、軽傷者1名、崖崩れ7箇所、石垣の崩れ91箇所など。

気象庁の現地調査によると、喜界島で津波の遡上高は約2.7mと推定される。但し、翌日(19日)の地震によるものとの分離は困難だったが目撃証言などのよれば18日の地震による津波が若干大きかった。

震源 奄美大島近海 N28°01.1′ E130°26.3′ 深さ21km

奄美諸島を中心に広範囲で有感となり、喜界島で再び震度5を観測した。この地震により九州の東岸から八丈島、父島で3~11cmの津波を観測した。

この地震による被害は、前日の被害によるものとの分離が困難。

震源 トカラ列島近海 N29°24.7′ E129°27.5′ 深さ25km

悪石島で震度5強を観測。落石1箇所、水道管破裂1箇所、小中学校校舎壁面亀裂等亀裂2箇所の被害があった。人的被害はなかった。

震源 奄美大島近海 N28°14.9′ E129°29.3′ 深さ36km

住用村で震度5強を観測。住家一部破損1棟、非住家公共建物1棟(天井パネル落下)、文教施設2棟等の被害があった。人的被害はなかった。

過去の津波被害

奄美地方に影響を及ぼした津波として記録に残っているものは、1911年(明治44年)の喜界島地震、1960年(昭和35年)のチリ地震津波、1995年(平成7年)10月18日、19日に発生した奄美大島近海(喜界島南東沖)によるものがある。

1911年6月15日 喜界島地震による津波

奄美大島鎮西村で小津波により人家過半数が浸水したといわれるが津波の詳細は不明。
(鎮西村:昭和31年の市町村合併で瀬戸内町となる)


1960年5月24日 チリ地震津波

24日2時頃から津波が日本各地に襲来した。奄美大島の名瀬港では06時頃が最もひどく、津波の高さは4.4m(基本水準面上)を記録したが09時頃からしだいに平穏に復した。

被害は名瀬市と笠利村で被害のほとんどを占めた。家屋の床上、床下浸水1800余、そのほか橋の流失、護岸堤防決壊、道路決壊のほか船舶の沈没、木材の流失等が見られた。

震央分布図

写真1 チリ地震津波の状況
(屋仁川通り)

1995年10月18日と19日に奄美大島近海(喜界島南東沖)で発生した地震による津波

18日19時37分頃と19日11時41分頃にほぼ同じ場所で地震が発生した。これらの地震に伴って津波が発生し、九州東岸から八丈島や父島で3~24cmの津波が観測された。

事後の調査によると、喜界島の東海岸では津波の遡上高が2mを超え、最も高い所では2.7mに達していた。18日と19日の津波の状況についての区別は困難であるが、目撃証言から津波は同程度か、ないしは18日の方が若干高かったと推定される。また、聞き取り調査によると奄美大島東海岸では1m前後の津波が到達したものと推定される。

喜界島と奄美大島で小型船舶の破損や転覆などの被害があった。
(遡上高:津波が陸地を這い上がり到達した地点の高さ、検潮儀などの観測値の数倍に及ぶことがある。)

震央分布図

写真2 1995年10月18日、19日に発生した津波の遡上痕跡
(喜界町 塩道長浜)

参考文献

名瀬測候所(1996). 「奄美の気象百年」, 53-64.

福岡管区地震火山課、気象庁地震火山部地震津波監視課(1998). 「1995年10月18日,19日の奄美大島近海の地震(M6.6,6.5)の調査報告」, 『験震時報』(61), 37-55.