沖縄本島の陸上で発生する不安定性降水(方言:カタブイ)について

夏季、沖縄本島は太平洋高気圧に覆われ、風が弱く晴れる日が多くなります。そのような日は午後を中心に局地的に積乱雲が発生し大雨となることがあります。これは「不安定性降水」という現象です。この現象により、年に数回は非常に激しい雨が降り大雨警報を発表することもあります。 不安定性降水の発生場所は主に陸上となりますが、ある地域で雨が降っているのにすぐ近くが晴れていることも多いため、沖縄では古くから「片降り(カタブイ)」と言われています。

天気図

レーダー画像

カタブイの発生から衰弱までの流れ

  • >発生・発達期

  • 風が弱い日、太平洋高気圧に覆われて晴れて日射が強まると、陸地付近で暖められた空気が軽くなって上昇します(上昇気流)。また、陸地では上昇した空気を補うように周辺の海から湿った空気が流れ込み、大気の状態が不安定となります。上昇した空気は冷たい上空で凝結して雲になりますが、周辺の海から次々と暖かく湿った空気が流れ込むため雲は発達し、局地的な積乱雲となります。1つの積乱雲の寿命は約30分程度です。

  • >最盛期

  • 普段より上空が冷たいと大気の状態がより不安定となり、積乱雲はさらに発達します。このような積乱雲の発生・発達が同じ場所で次々起こると、局地的に激しい雨や非常に激しい雨が降ります。場合によっては、それ以上の雨になることもあります。

  • >衰弱期

  • 日没後は陸地の温度が下がり、上昇気流が弱くなります。このため積乱雲が発生しにくくなり、次第に大雨は終息します。
     

カタブイの発生から衰弱までの流れと防災情報

カタブイのイメージ



カタブイ予測の難しさ

  • ・カタブイの発生場所はある程度予測可能
  • カタブイは沖縄本島周辺に吹く風の風下に発生する傾向があります*。ただし、詳細な発生場所の特定までは難しい現象です。
    *例:西風が吹いている場合、その風下にあたる東側(東海岸沿い)に発生しやすい。

  • ・どのくらいの大雨になるのか予測が難しい
  • 警報級の雨となる可能性がある場合は、早期注意情報で大雨警報を発表する可能性を[中]としてお知らせしています。
    しかし、カタブイのように時間・空間的に規模の小さな現象を的確に予測するのは難しく、警報級の可能性は低いと判断しても予想以上に大雨となり、大雨警報を発表することもあります。

  • ・警報のリードタイムが十分に確保できない
  • リードタイムとは猶予時間のことで、気象警報・注意報が防災関係機関や住民に伝わり、安全確保行動がとられるまでにかかる時間を考慮して設けています。
    カタブイは上述のとおり事前の発生予測が難しく、大雨警報の発表が現象発生の直前となる場合があります。
    ただし、カタブイをもたらす大気の不安定な状態を予測している場合、雷注意報を発表するため、カタブイが発生する可能性の一つの目安とすることができます。

     

カタブイの発生場所

  • ・沖縄気象台で調査した風向別カタブイの発生場所の図です。風下側に発生場所が集中していることがわかります。
  • ・風速が概ね6m/s以上になるとカタブイは発生しづらくなります。
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    カタブイの発生場所

カタブイの留意点

カタブイをもたらす積乱雲は、短時間で急に発達する特徴があります。年に数回は大雨警報等を発表することがあります。
過去にはカタブイにより河川で鉄砲水による痛ましい事故も発生しています。このため、以下のことに注意しましょう。

  • ・沖縄では夏の晴れた日に、カタブイといって局地的に強い雨が降ることがある。
  • ・川の下流で雨が降っていなくても、上流で降った雨で急に増水することがある。雷鳴が聞こえたり川に異変を感じたら、すぐに水辺から離れる。
  • ・カタブイをもたらす雨雲は急に発達することがあるので、気象庁ホームページで、雨雲の動きや注意報・警報、キキクルなどをこまめに確認する。
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川の上流と下流

川の上流付近で降った雨を下流付近では気づきにくい

水中歩行

水深が20cm程度と比較的浅くても、流速の速い川などでの歩行は困難である。背の低い子どもなどは、大人よりも、さらに危険性が増すこととなる。